田中元のニュース解説

人材確保策に「焦り」はないか?

全国社会福祉協議会・中央福祉人材センターの統計によれば、2021年1~3月期の福祉分野の有効求人倍率は4.01。依然として人材不足は深刻です。国は新規分も含めたさまざまな介護人材確保策を打ち出していますが、どこまで効果が期待できるでしょうか。 介護分…

介護福祉士の任用範囲を考える

介護保険をめぐる報酬や運営規程が揺れ動く中、介護福祉士の実務負担と処遇のバランスがますます大きな課題となっています。掘り下げたいのが、介護福祉士の社会的な位置づけです。その就労状況にも着目しつつ、「これからの介護福祉士」のあり方を考えます…

2022年の「骨太の方針」に注意

6月18日、政府が「経済財政運営と改革の基本方針2021」を閣議決定しました。負担と給付の関係(利用者負担の見直しなど)にかかる踏み込みは見られないものの、予定される2年後の法改正、3年後の報酬・基準改定への「布石」となりそうな内容が見られます。…

介護職員数の統計にかかる疑問

第8期介護保険事業計画(以下、事業計画。第8期は2021~2023年度)にもとづく「介護職員の必要数」が公表されました。全国の保険者が導き出した「介護サービスの必要量」から算出されたものです。第8期末となる2023年度までに、約233万人(対2019年度比で+…

ケアマネ処遇改善、どこで図る?

介護給付費分科会(介護事業経営調査委員会)で、2021年度の介護従事者の処遇状況等調査が行われます。ただし、そこではケアマネの処遇状況は含まれていません。ケアマネ不足が深刻化する中、その処遇改善は避けて通れないテーマです。今後どのような対応が…

環境激変に見合った処遇調査を

6月28日に開催された介護給付費分科会で、「令和3年(2021年)度介護従事者処遇状況等調査の実施」をめぐる調査項目等の案が示されました。今調査では、介護従事者の処遇についてさまざまな環境変化などを加味する必要があります。そうした点を含め、処遇状…

保険外支援拡大でケアマネ実務は?

国が掲げる地域包括ケアシステムでは、介護保険外サービスの活用も大きなテーマとなっています。課題となるのが、ケアマネジメントの位置づけです。「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」(老人保健健康増進等事業)の報告書が公表されましたが、…

オンライン認知症支援の広がり

新型コロナウイルスの感染状況は、依然として予断を許しません。さまざまな生活上の制限が長期化する中、認知症の人とその家族の状況も厳しさを増しています。中核症状の進行やBPSDの悪化などのリスクも高まる中でのサポート強化が問われます。 新型コロナ禍…

誤解なき「手引き」活用のために

「『適切なケアマネジメント手法』の手引き」(老人保健健康増進等事業・日本総研)が公表されました。2016年の「ニッポン一億総活躍プラン」で示された「適切なケアマネジメント手法の策定」から始まったものです。この手引きにより、今後のケアマネジメン…

8月からの負担増がもたらす影響

この8月に、介護保険サービスの利用をめぐるさまざまな負担増が施行されます。すでに厚労省は、周知のためのポスターやリーフレットなどを公表しました。サービスの利用意向や提供者・利用者間の関係に影響が及ぶ可能性もある中、どんな注意が必要でしょうか…

過失責任の緩和期待と注意点

日本老年医学会と全国老人保健施設協会が、「介護施設内での転倒に関するステートメント」を公表しました。介護施設等での利用者の転倒・転落を老年症候群の1つととらえ、「すべてが過失による事故ではない」ことを広く共有することを目指しています。 利用…

改めて「同意署名」の規定を整理

2021年度の基準改定で、現場の解釈が未だに錯そうしているものの一つに「利用者の各種同意にかかる署名・押印」があげられます。たとえば、押印は不要として署名はどうなのか。代替え手段はどうすればいいのか。もう一度確認しておきましょう。 規制改革推進…

LIFEフィードバックの活用と課題

今年4月から、新たなデータベースLIFEが稼働しています。運営サイトの告知によれば、6月上旬からLIFEからの初回フィードバックもスタートします。このフィードバックを現場としてどのように活かせばいいのか、課題はどこにあるかなどを掘り下げます。 LIFEか…

ケアマネへのハラスメント実態は?

介護従事者へのハラスメント対策では、今基準改定で事業所の取り組みが明確化されました。ただし、利用者・家族によるハラスメントへの対策は「推奨」にとどまっています。社会状況も頭に入れつつ、これから追加的にどのような施策が必要になるのでしょうか…

ICT導入支援事業は「使える」か?

国は、中長期にわたるICT導入の促進を、介護分野の「生産性向上」のカギと位置づけています。たとえばインフラ部分での推進策として、2019年度から「ICT導入支援事業」の予算化を図り、補助上限額の引き上げや補助対象の拡大にも着手してきました。 プランデ…

介護現場のフェーズが限界に

5月21日、厚労省は「高齢者施設等における感染防止対策および施設内療養を含む感染者発生時の支援策」について事務連絡を発出しました。新型コロナウイルス感染症をめぐり、地域によって病床がひっ迫し、高齢者が自宅療養のみならず施設療養も余儀なくされる…

伴走型支援、望まれる制度設計

2021年度より、国の認知症総合戦略推進事業の一環として「認知症伴走型支援事業」がスタートしました。認知症GHなどを活用し、地域の認知症の人と家族のための「伴走型支援の拠点」を整備するというものです。その効果的な運営に向けた課題に焦点をあてます…

ヤングケアラー支援に必要な土台

大きな社会的課題として注目されてきた「ヤングケアラー」の存在。厚労省は、ヤングケアラー支援に向けたプロジェクトチームを立ち上げ、報告書を取りまとめました。その中では、自治体やケアマネなど専門職への「支援に際しての周知」なども示されています…

コロナ禍でも進まぬ?ICT活用

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業(2020年度老人保健健康増進等事業・実施主体は三菱総合研究所)」の報告書が公表されました。内容は多岐にわたっていますが、この中から「サービス提供事業所や医療機関との連携」にかかるアンケート…

保険料UP+2.5%をどう見るか?

第8期計画期間の第一号介護保険料の月額平均が公表されました。2021年度からの3年間に適用される基準額の平均です。それによれば、月額6,040円と初めて6,000円台に達しています。一方で、第7期からの伸び率としては+2.5%と小幅にとどまりました。これをど…

なぜ? 社会福祉施設の労災急増

今年4月末、厚労省より2020年の労働災害発生状況が公表されました。介護関連では、業種別カテゴリーから「社会福祉施設」に注目します。その社会福祉施設では、「休業4日以上の死傷者数」が1万3267人で、対前年(2019年)比で32.1%の大幅増となっています。…

集中検査に向けた「壁」に注意

新型コロナ感染症について、厚労省のアドバイザリーボード(医療・公衆衛生分野での専門家等による助言等)で、高齢者施設等でのクラスター急増が指摘されています。これを受けて、国は高齢者施設の従事者等への集中的な検査実施の要請などを発出してきまし…

LIFE活用を起動に乗せるには?

新たな介護報酬・基準の適用から、早くも1月半が経過しようとしています。複雑な実務も増える中、混乱の目立つのが「LIFEとのデータ連携」を要件とした加算の取得です。厚労省は、4月算定分のデータ提出についての期限延長を示しましたが、うまく起動に乗せ…

認知症の人の接種、課題は多い

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が、高齢者に対しても始まっています。同ワクチン接種は任意であり、「副反応リスク」などを理解したうえで本人の意思決定が尊重されます。課題となるのが認知症の高齢者ですが、厚労省からは、本人の意思決定支援に…

入浴介助加算見直しの「本筋」

居宅介護支援外の加算でありながら、ケアマネの関心を集めているのが、通所系サービスの入浴介助加算の新区分(II)です。その疑義解釈(Q&Aのvol.8)が出されました。これを読むと、そもそもの新区分の目的がどこにあるのか──が浮かんできます。 まずは、入…

利用者負担導入で財務省の次の一手

財務省の財政制度分科会が、新年度の議論をスタートさせました。次の介護保険制度の見直しに向けた厚労省側の議論にも、大きく影響するのは間違いありません。財務省側の提言の中で、ケアマネとして注目したいのは、やはり利用者負担の導入等についてです。 …

ケアプラン様式変更、今なぜ?

現場のケアマネには、戸惑いが広がりそうです。3月31日、厚労省が「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正の通知を出しました。ケアプランの標準様式と記載要領の一部見直しです。どのような見直しがなされたのでしょうか…

「ダブル担当制」の急増に備えたい

新型コロナ禍で失職者が増える中、政府はそうした人々を介護業界で受け入れる施策に力を入れています。しかし、支援策を拡充しても、その効果に向けた課題は少なくありません。従来の処遇等の課題に加え、新たな「壁」となりそうなのが実は今回の改定です。 …

深く、広い対医療連携が必須の時代

今回の介護報酬・基準改定では、加算要件への対応にかかわらず、運営基準でも「医療職のかかわり」が大きくなっています。介護現場への日常的な医療職の関与が大きくなるとすれば、2022年度の診療報酬改定の行方にも、今まで以上の注意を払うことが必要です…

コロナワクチンと介護保険の関係

新型コロナワクチン接種に関連して、訪問介護および通所系サービスの「臨時的な取り扱い」にかかる厚労省通知が出されました。利用者のワクチン接種にかかるサポートが想定されていますが、実は「ケアマネの役割」が大きくなるという状況が浮かんできます。 …

「お詫び文」では済まない問題

厚労省・老健局の老人保健課の職員が、深夜まで多人数による(飲酒をともなう)会食を行なっていた問題。これについて、厚労大臣名で「介護事業所の皆様へ」と題した「お詫び文」が出されました。行政文書としては異例の発出ですが、「お詫び文」や「当該職…

新・入浴介助をめぐるケアマネ負担

今改定では、利用者の「家でできること」、あるいは「サービス提供外での活動など」を増やしていくという考え方が目立ちます。代表的なものの一つが、通所系サービスに誕生した入浴介助加算の新区分でしょう。留意事項等からケアマネへの影響を掘り下げます…

ケアマネと科学的介護の関係は?

2021年度改定では、科学的介護の推進が大きなテーマとなりました。関連するさまざまな報酬や基準の中で、ケアマネ実務はどのようにかかわってくるのでしょうか。これからのケアマネジメント改革を見すえつつ、ケアマネ実務と科学的介護の関係を整理します。 …

介護福祉士への社会的サポートを

第33回介護福祉士国家試験の結果が公表されました。合格者は5万9975人で、昨年からほぼ横ばいの数字となりました。4年前、実務経験ルートでの実務者研修義務づけで受験者・合格者ともに急減してから、依然として回復は鈍いままとなっています。 受験者・合格…

「生産性」という言葉をめぐる課題

厚労省で、社会援護局の主管課長会議が開催されました。高齢者介護の分野でも関心が高いのは、福祉・介護人材等の確保対策等についてでしょう。この説明資料の中では、やはり施策の目的として、「生産性向上」という言葉がいくつも上がっています。 生産性向…

科学的介護の書式から見えること

2021年度改定では、「科学的介護の推進」が柱の一つに位置づけられました。エンジン役となるデータベース「LIFE」へのアクセス・活用の方法や情報提供の様式(案)について、厚労省からの通知も出されています。ただし、新型コロナ禍で疲弊する現場がどこま…

ケアマネ改定実務で注意すべき点

2021年度の介護報酬・基準改定の解釈通知等が示されました。対応に必要な実務はひと通り明らかになったわけです。その一方で、現場において混乱が生じがちな課題も残ります。今後発出される疑義解釈で、ケアマネとして点検したいポイントをピックアップしま…

いずれ居宅にも?施設系の改定加算

施設系における報酬改定で、居宅のケアマネなども注意したいポイントが2つあります。1つは、新設された自立支援促進加算。もう1つは、アウトカム評価が導入された褥瘡マネジメント加算と排せつ支援加算です。いずれのしくみも、近い将来に居宅のケアマネジメ…

震災後10年、BCP等義務化の中で

多くの人命が奪われた東日本大震災から、10年が経過しました。その後も大きな自然災害が頻発する中、支援専門職であるケアマネにはどんな心構えが必要でしょうか。今改定で課せられた業務継続計画(BCP)作成などを含め、平時からの対応について整理します。…

新たな説明義務の狙いはどこに?

2021年度の介護報酬・基準改定で、居宅介護支援に「利用者への新たな説明義務」が課せられました。前6か月のケアプランに位置づけた訪問・通所介護(地域密着型含む)・福祉用具貸与について、利用割合や特定の事業所割合を利用者に説明するというもの。果た…

特定事業所加算・新要件の「布石」

2021年度改定では、感染症対応や科学的介護の推進がクローズアップされています。一方、3年後の改定に向けて、大きくは目立たないものの「布石」とも言うべきポイントもいくつか見られます。ケアマネ関連でいえば、特定事業所加算に設けられた新たな要件です…

LIFEを現場で活かすうえでの課題

今年4月から、CHASEとVISITが「LIFE」として一体運用を開始します。介護報酬上でも、LIFEへのデータ提供やフィードバックの活用を要件とした新加算や新区分が数多く誕生しました。懸念されるのは、現場がただ「振り回される」だけに終わってしまうこと。どの…

コロナ禍の誹謗中傷にどう対処?

新型コロナ感染症の影響が長引く中、介護・医療関係者へ誹謗中傷が現場を苦しめています。静岡県の施設・職能団体が共同声明を出しましたが、こうしたメッセージに多くの人が耳を傾けてもらいたいものです。一方で、個々の事業所・施設として、現場従事者を…

居宅介護支援経営におよぶ大波

2021年度の介護報酬・基準改定の内容が明らかになり、ケアマネジメントの現場でも「実務に生じる変化」などの確認が求められています。今改定で「ケアマネの動き」にどんな影響がおよぶか、それを経営サイドがどのように読み解くかを掘り下げます。 全サービ…

特例加算で退院者受入れは進むか

介護保険施設への「退院基準を満たした人」の受入れ(その施設から入院した者を除く)について、厚労省通知(厚労省通知vol.921)が出されました。「退所前連携加算」を30日にわたって算定できる特例です。過去の介護報酬上の臨時的な取扱いと比べても、イン…

進まぬICT導入で国の打つ手は?

介護労働安定センターが、2020年度の特別調査結果を公表しました。テーマは新型コロナ禍での介護事業所の実態調査ですが、注目はやはり「ICTの導入等」の状況です。「ICTを導入していない」という回答の多さは、今後の報酬・基準改定にも影響を与えそうです…

管理栄養士の役割拡大が示すこと

今回の介護報酬・基準改定を見て、ある特定の職種が介護現場へ深くかかわってきたことに気づく人も多いでしょう。その職種とは、「管理栄養士」です。いくつかの報酬上の要件で配置が明確化されているだけでなく、外部連携に際しての管理栄養士の地域拠点な…

コロナで拡大!? 可視化しにくい負担

2020年全編から現在に至るまで、新型コロナの感染拡大による収入減等は、介護サービスにどれだけの影響を与えているのでしょうか。また、その落ち込みを2021年度からの介護報酬改定で、どこまでカバーできるのでしょうか。今も厳しい状況が進行している中で…

人員基準等の一気緩和の先に…

2021年度の介護報酬・基準改定において、居住系や施設系などで共通するテーマの一つが、人員基準などの緩和策です。介護給付費分科会でも、現場従事者の負担増などを懸念する声が上がっていた課題です。これが実施されることによる影響を改めて掘り下げまし…

報酬体系の簡素化から浮かぶもの

2021年度の介護報酬改定では、報酬体系の簡素化が横断的なテーマの1つです。過去に数多くの加算が生まれ制度が複雑化してきましたが、それが現場負担の増加にもつながってきた面もあります。今改定で、どのような「簡素化」が図られたのか。その先にどのよう…