家族の会、総合事業の見直しに反発 「要介護者外しの突破口」

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《 家族の会・鈴木森夫代表理事(2019年5月撮影)》

厚生労働省が進めている介護保険の総合事業の見直しをめぐり、認知症の人と家族の会が猜疑心を募らせている。【Joint編集部】

18日、公式サイトで「緊急声明」を発表。市町村の判断で要介護の高齢者も対象に含めることを認める中身について、「要介護者の保険給付外しに道を拓く突破口。極めて危険」と強く反発した。そのうえで、「介護保険の受給権の侵害につながる。絶対に認めるわけにはいかない」と撤回を求めている。

要介護認定者の総合事業移行は絶対に認められない

厚労省は今回の見直しの趣旨を、サービスの継続性を担保して地域とのつながりを維持してもらうため、と説明してきた。総合事業は要支援者のみを対象としているため、要介護の認定を受けるとそれまでのサービスが急に利用できなくなるケースも生じてしまう。このため、本人の希望を踏まえて弾力的に運用することも可能にしたいという。

施行は来年4月1日。パブリックコメントの手続きを経て、10月中旬を目処に改正省令が公布される予定だ。

家族の会はこうした見直しと、政府内で継続的に取り上げられている改革案とを結びつけている。要介護1、2の訪問介護や通所介護などを給付から外して総合事業へ移す、という改革案だ。

緊急声明では、「制度の持続可能性の確保を名目に進められている給付費削減の流れに沿った見直し」と厚労省を批判。介護保険サービスは給付に一本化すべきと主張し、「そうしない限り、要介護1、2の総合事業への移行などが今後もあの手この手で進められる」と問題を提起している。