厚労省、介護現場の押印・署名を効率化へ 重要事項説明書やケアプランなど焦点

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《 社保審・介護給付費分科会 9月30日 》

厚生労働省は来年度の介護報酬改定に向けて、事業所が利用者から同意を得る際の押印・署名を効率化する検討を進めていく。【青木太志】

9月30日に開催した社会保障審議会・介護給付費分科会で明らかにした。重要事項説明書やケアプランなどのルール変更を俎上に載せる。「文書負担の軽減や手続きの効率化を一層推進していく」と説明した。

・第186回社会保障審議会介護給付費分科会資料

介護現場の生産性向上は、人材確保がますます難しくなる今後さらに重要性を増していく。デジタル改革に力を入れる政府全体の方針にも符合する動き。今秋にも具体策が提案されるとみられる。どこまで踏み込んだ中身になるかが焦点だ。

厚労省はこの日、これまでの議論のプロセスで寄せられた押印・署名に関する意見を紹介。「利用者・家族にも負担がかかっている」「初回だけで済むようにすべき」「電子署名、電子メール、SNSなどを活用した同意を認めて欲しい」といった声があると報告した。

あわせて、今年度の「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2020)」に、「書面・押印・対面を前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続きできるリモート社会の実現を目指す」と書かれていることも指摘した。

この日の会合では目立った異論は出ていない。ただ、利用者・家族が不利益を被ることのないようにとクギを刺す委員はいた。厚労省はこのほか、各種記録の事業所での保管についても効率化を図る構えをみせている。