濃厚接触者の介護職の自宅待機、介護崩壊を招く失策 ルール無視の横行も懸念

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《 淑徳大学総合福祉学部:結城康博教授 》

もう少し柔軟な運用に改めないと、結果的に好ましくない事態を招くのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者となった介護職の取り扱いの話です。【結城康博】

現行のルールでは、2週間の自宅待機を余儀なくされてしまいます。これは問題があると言わざるを得ません。職員を休ませなければならない決まりは、人手不足に苦しむ介護現場を更に追い込んでしまうからです。

今のように感染者が増加している局面では、その影響はより深刻なものとなります。家族やパートナーなどが感染したことで、濃厚接触者と判定される介護職が増えました。私は研究の過程で介護現場へよくお伺いしますが、今回の"第5波"からそうした話を多く聞くようになりました。

もちろん、感染拡大を食い止める対策が重要であることは言うまでもありません。ただ、介護現場のギリギリの状況を考慮すると、私は一定の条件の下でルールを緩和すべきではないかと考えます。

実は医師や看護師など医療従事者の場合、既に緩和措置が適用されています。厚生労働省は先月18日、例えば以下の要件を満たせば濃厚接触者となっても仕事を継続できるとする通知を出しました

◯ 他の医療従事者による代替が困難な医療従事者であること

◯ 2回のワクチン接種が済んでいること

◯ 業務前の検査で陰性が確認されていること

こうした緩和措置を、介護職にも速やかに適用すべきではないでしょうか。医療職だけOK、という理屈ははっきり言ってよく分かりません。このままだと介護現場の人員が回らなくなり、必要なサービスを適切に受けられない高齢者が増えてしまうでしょう。

介護職の確保がなかなか難しいなかで、ルールを無視する介護現場が増えてしまう懸念も拭えません。

濃厚接触者が出ても隠してしまう − 。濃厚接触者となっても事業所へ伝えない − 。

こうしたケースは今も一部にあると思われますが、このままでは更に横行する恐れがあります。そうでもしないとサービスを維持できない訳ですから、単に「介護現場が悪い」と言って片付けることもできないでしょう。

ルールだけ厳格にしていても、実際に対応することが難しいなら有名無実となるのは明らかです。感染者を更に増やす負のスパイラルに陥らないためにも、明確なルールに基づく緩和措置が必要ではないでしょうか。

これから気温が下がっていくと、感染状況が再び悪化してしまう可能性もあります。そうなる前に今から手を打っておくべきでしょう。感染拡大の防止も大事ですが、介護サービスも維持も大事です。また「後手後手」との批判を浴びる前に、速やかに対応しておくことを勧めさせて頂きたい。