介護職の賃上げ、保険料・利用者負担の増加を牽制する声が相次ぐ=社保審・介護給付費分科会

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《 社保審・介護給付費分科会 8日 》

政府は来年2月からの介護職員の賃上げを、全額国費の交付金で具体化する方針。これを来年9月までの一時的な措置とし、10月以降は代替策に切り替えて効果を維持していく計画だ。介護報酬を議論する8日の審議会では、この代替策をめぐって多くの意見が出た。【青木太志】

賃上げの交付金の財源(1000億円)を織り込む形で10月に介護報酬を改定する − 。こうした政府の腹案に対し、ディテールを慎重に検討するよう促す声が相次いだ。

第204回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

日本経団連の井上隆常務理事は、「40歳以上の保険料がどれだけ上がるのか。マイナスの影響が大きくなれば、成長と分配の好循環など生まれない」と牽制。健康保険組合連合会の河本滋史常務理事は、「現役世代の負担は既に限界。より一層の給付費の効率化・適正化が不可欠」と主張した。

巨額の保険料を負担する企業サイドだけでなく、利用者サイドも同様に強い懸念を示す。

認知症の人と家族の会の鎌田松代理事は、「介護職員の賃上げは重要だが、利用者は爪に火をともすような暮らしだ。これ以上の負担はできない」と強調。「サービスの利用を減らさないといけなくなる」と続け、利用者負担のアップを回避するよう訴えた。

一方の事業者サイドは、保険料・利用者負担の上昇を抑えるために賃上げ分以外の報酬を減らされるのではないか、と心配している。

全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、「賃上げを介護報酬の中で手当てすることには限界がある。別財源で確保すべき」と要請。全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長も、「必要な財源は介護保険以外から調達できないか。賃上げとサービス提供は別物として考えて欲しい」と注文した。