薬局薬剤師の役割発揮へ制度上の課題も 厚労省・作業部会

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薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ(第2回 3/10)《厚生労働省》

専門家などでつくる厚生労働省の作業部会「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(WG)は10日、薬局に従事する薬剤師のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などをテーマに議論した。一部の構成メンバーが、薬剤師が本来の役割を果たす上で出来高払いを基本とする診療報酬の仕組みがネックになっているとし、その見直しを提言した。

厚労省は作業部会で、コロナ禍により世界的に医療分野のDXに関心が高まっているが、コロナ禍前から海外では日本よりも電子処方箋などの取り組みが先行していると指摘。ただ、日本は医療データの情報基盤が整いつつあり、ウェアラブル端末などから得られる情報も急増していると説明した。

その上で、▽デジタル技術の進展や諸外国のDXの動向を踏まえ、薬局薬剤師の業務がどのように変化していくべきか▽デジタル化で得た情報を適切に活用するため、薬剤師はどのような知識や技能を身に付けるべきか-などを論点に挙げた。

議論では、佐々木淳構成員(医療法人社団悠翔会理事長)が、特に開業医から地域の薬局に業務を移す場合に大きな障害になっているのが、出来高払いを基本とする診療報酬制度だと指摘。「たくさん診た方が収入は増えるので、医師は細かい簡単な仕事を放したがらない」と現状を述べた。

その上で、現行制度によって薬局薬剤師が活躍できない状況に陥っている部分もあるとし、短期的に着手できる取り組みとして制度の見直しを提案した。

主査の赤池昭紀・和歌山県立医科大学薬学部教授も、薬局と医療機関との情報連携について「極端な言い方をすると、やればやるほど収入が減るのが現状だ」とし、現行の制度上の問題点を指摘。

また、山口育子構成員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、薬局薬剤師が保有する患者の情報が基本的に処方箋だけという状況に触れ「医療機関からの情報がなく、薬局薬剤師が病名も病状も分からない中で対人業務を進めるには限界がある」とし、薬局と医療機関の情報連携の必要性を改めて強調した。

ほかにも、服薬指導について回数だけではなく内容も評価する仕組みに変えるべきだとの意見や、医療分野のデジタル化を進める際にはサイバー攻撃対策への投資も行うべきだとの声もあった。

同WGでは、6月に一定の取りまとめを行う予定。

【資料PDFダウンロード】

>>資料2-1 薬局薬剤師DX推進について