社会保障審議会 医療保険部会(第157回 11/11)《厚生労働省》
出産時に各医療保険から支給される出産育児一時金について、社会保障審議会の医療保険部会は11日、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度から関連費用の一部を拠出する仕組みを2024年4月から導入する方針をおおむね了承した。社会全体で子育てを支援するためで、現役世代や後期高齢者の現行の保険料負担に応じ、同制度の負担割合を対象額の7%に設定。その割合は2年ごとの保険料率の改定に合わせて見直す。
出産育児一時金は、健康保険や国民健康保険などの被保険者やその被扶養者が出産した時に、経済的な負担を軽減するため原則42万円(本人支給分40.8万円と産科医療補償制度の掛金分の1.2万円)が支給される制度。
現行では、現役世代が加入する健康保険や国保などの保険者が一時金の費用を負担している一方、後期高齢者医療制度に加入する75歳以上の人は負担していない。ただ、政府の全世代型社会保障構築会議の医療・介護制度改革を議論するチームが、一時金について医療保険全体の中で支え合う方策を検討すべきだと提言していた。
このため、子育てを社会全体で支援する観点から、厚生労働省は11日の部会で、24年4月から後期高齢者医療制度が一時金に係る費用の一部を負担する仕組みの導入を提案した。具体的なイメージは、同制度が費用の一部を拠出し、それを各保険者が一時金に充てるというもの。
24年4月の同制度の負担割合は、対象額の7%に設定。それ以降は、一時金に関する現役世代と後期高齢者の1人当たりの負担額の伸び率がそろうように負担割合を設定していく。
厚労省はまた、原則42万円という一時金を23年4月から引き上げる方針も示した。どれくらい増額するかは、23年度予算編成の過程で決める。
議論では、75歳以上の人も一時金を負担する仕組みへの異論はなかった。ただ、その導入と増額の時期を合わせるべきだといった意見が複数出た。