認知症、治療経過や生活背景の情報共有促進へ 厚労省

イメージ画像令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回 4/19)《厚生労働省》

2024年度に行われる診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、中央社会保険医療協議会・総会と社会保障審議会・介護給付費分科会の委員などによる2回目の意見交換会が19日開かれた。厚生労働省は、認知症の人の診断・治療やケアに役立てるため、治療の経過や生活背景などの情報の関係者による共有を促す方針を示した。

医療と介護をまたいで連携を進めるには関係者間でどのような情報を共有するのが有用で、どのような様式が有効かなどを議論する。

厚労省はまた、24年度の同時改定に向けて、▽認知症の早期発見や、認知症の高齢者が社会生活を継続できるようにするための医療・介護・支援の適切な提供方法▽せん妄や徘徊など「行動・心理症状」(BPSD)への対応や医療現場での身体拘束の解消策-なども検討する方針を示した。

中医協の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、身体拘束に関して「療養病床で点滴や採血などいろいろな医療行為が必要なところでも、工夫をすればかなり拘束を外せることが分かった」と述べ、そうした取り組みを同時改定で急性期病院などに広げる必要性を指摘した。

医療と介護をまたぐ情報連携を巡り、厚労省はこれまで、患者が入退院する際の情報連携を評価したり、入院時情報提供書の標準様式を整備したり、入退院時の連携を促してきた。しかし、認知症の人の診断・治療やケアに必要な治療経過や生活背景などの情報共有の方法は医療機関や地域によって差があり、適切に共有されていない可能性があるという。

厚労省老健局の笹子宗一郎認知症施策・地域介護推進課長は「(国によるこれまでの対応の)趣旨を踏まえた対応ができていない所もあるということで、ルール化が必要なのかどうかも含めてご議論いただければと思う」などと述べた。

介護給付費分科会の田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)は「認知症の方を見るには、他疾患以上に生活歴や生き方、考え方を知る必要がある。『生涯カルテ』や『ポートフォリオ』のようなものを作り、患者さんに情報が付いて回るような仕組み作りを提案する」と述べた。