社会保障審議会 医療部会(第99回 6/2)《厚生労働省》
厚生労働省は2日、「人生会議」(アドバンス・ケア・プランニング、ACP)について「よく知っている」と答えた医師や看護師などが半数に満たないなどとする調査結果を、社会保障審議会・医療部会に報告した。委員から、まずは医療従事者の認知度の向上を図る必要があるとの意見が出た。
ACPは、もしもの時のために本人が望む医療やケアについてあらかじめ考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取り組み。厚労省はその普及・啓発を行っている。
厚労省が医療部会に報告した2022年度の「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」の結果によると、医師1,462人の45.9%、看護師2,347人の45.8%、介護支援専門員1,752人の47.5%が、人生会議を「よく知っている」と回答した。一方、「聞いたことはあるがよく知らない」という医師が29.1%、看護師は34.2%、介護支援専門員は40.6%おり、「知らない」という医師が24.6%、看護師は19.6%、介護支援専門員は11.5%いた。ほかに無回答もあった。
「よく知っている」の回答率は前回の17年度調査よりも上がったが、医師など医療従事者でも5割に満たなかった。
部会の議論では、神野正博委員(全日本病院協会副会長)が人生会議を「聞いたことはあるがよく知らない」「知らない」と答えた医療従事者が過半数いることを問題視。「医療従事者として恥じるところだ」と述べ、まずは医療従事者の認知度を上げる必要があると指摘した。
調査では、人生の最終段階での医療・ケアの充実のために必要なことも聞いた(複数回答)。その結果、医師や看護師、介護支援専門員の回答で最も多かったのは、「患者・利用者本人や家族等への相談体制の充実」だった。
厚労省は、22年11月から23年1月にかけて国民や医療・介護従事者を対象に調査を実施。その結果を本人の意思を尊重した人生の最終段階での医療やケアの在り方の検討に活用する。