
国勢調査と人口動態統計の個票データリンケージにより日本人の教育歴ごとの死因別死亡率を初めて推計(3/28)《国立がん研究センター》
学校教育を受けた期間(教育歴)と死亡率が関連する傾向にあることが、国立がん研究センター(国がん)の研究結果で分かった。例えば、脳血管疾患の死亡率は大卒よりも高卒の人が、女性の乳がんは大卒の人のほうが、それぞれ高い。国がんは「教育歴が死亡率に関わる生活習慣や健康行動などを反映する代替指標となっている可能性が考えられる」と解釈を述べている。
国がんは、国勢調査と人口動態調査の匿名データを突合させるデータリンケージにより、日本人の教育歴と死亡率との関連を初めて推計。研究グループは、2010年の国勢調査から得た約800万人の人口データと、10年10月-15年9月の人口動態調査から得た約33万人の死亡データから、「性」、「生年月」、「住所(市区町村)」、「婚姻状況」、「配偶者の年齢」の5つの変数の組み合わせを個人識別情報(リンケージキー)とし、重複がなかった男性22万4,538人、女性10万1,286人(年齢30-79歳)を抽出。最終学歴が「大学以上卒業者」「高校卒業者」「中学卒業者」で分けた教育歴と死因別死亡率の関連を調査した。
その結果、女性の乳がんを除く、全ての死因で教育歴が短いほど死亡率が高かった。最も死亡率の差が大きかったのは脳血管疾患だった。ほかにも男性は肺がんや胃がん、虚血性心疾患での死亡率差が大きく、女性では肺がんや虚血性心疾患、胃がん、肝臓がんでの死亡率の差が目立った。
研究グループは「教育歴が死亡率に直接影響しているわけではない」としたうえで、教育歴の短さが喫煙率の高さや塩分摂取量の多さ、職業選択による健康への影響などに関連することが報告されており、脳血管疾患や肺がんなどの死亡率差が生じた可能性があると指摘した。
一方、女性の乳がんは教育歴が長いほど死亡率が高いという結果となり、これについては「妊娠・出産歴が少ないことがリスク要因とされていることから、教育歴が長いほど妊娠・出産歴が少なくなるという傾向を反映している可能性がある」とみている。
研究グループは「教育歴が死亡率に関わる生活習慣や健康行動などを反映する指標の一つとなることが考えられる」とし、今後はデータリンケージの精度を高めるとともに、ポイントとなる健康格差の指標を抽出し、格差の縮小につながるさらなる研究や提言を行っていく考えを示した。
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