
この記事では、バイステックの7原則*1の中の「非審判的態度の原則」について、ケアマネジャーの現場の一場面に沿って解説します。利用者さんが直面する問題や過去の選択に対し、支援者が一方的に良し悪しをジャッジ(審判)しない姿勢の重要性を取り上げ、すぐに取り組める「実践ポイント」もわかりやすくまとめています。
こんな場面に心当たりありませんか?
責めるつもりがなくても、その内心の審判は、冷ややかな口調や呆れたような表情、厳しい視線となって相手に伝わってしまうことがあります。
「責められた」「間違っていること言ったのかな」と感じた利用者さまは心を閉ざし、本当の悩みを打ち明ける機会を逃してしまうかもしれません。
「非審判的態度」とは、援助者自身の価値観で利用者を「良い・悪い」と裁かない姿勢のことである。
援助者の価値観で〝良い・悪い〟や〝正しい・間違い〟を一方的に決めつけたり、問題の原因や責任が利用者にあるかどうかを判断するのではなく、まずは事実をありのままに捉えることを目指します。
多様な価値観、人生観、生活スタイルの方を支援する私たちケアマネジャーにとっては、自己覚知とともに重要な原則と言えます。
利用者が、一方的に判断されることへの恐れを感じず、安心してありのままの状況や感情を表現できてこそ、信頼関係が築かれ、その人にとって本当に必要な支援(ケアプラン)につなげることができるのです。
「非審判的態度」の視点で関わるとどう変わる?

その上で、「この健康食品が、〇〇さんの元気の源になっているのですね」と受け止め、 「どのような効果を期待して始められたのですか?」 と、行動の裏にある〝その人なりの理由〟に関心を示して尋ねます。
利用者は、自分の行動ではなく「気持ち」に関心を持ってくれたと感じ、安心して話し始めます。
「医者から見放されたような気がして、何かにすがりたかった」といった、行動の裏にある本当の悩みが明らかになり、そこから初めて本質的な支援の糸口をつかめるかもしれません。
- 自分の「心の声」に気づく練習をする
利用者と話しながら、自分の内心のつぶやき(例:「またか…」「それじゃダメだよ」)に気づく練習をしましょう。これが、相手を裁いているサインです。 - 行動の裏にある「その人なりの理由」を探す癖をつける
どんなに不合理に見える行動にも、本人なりの「良くなりたい」「安心したい」といった理由や肯定的な意図が隠されているものです。その「理由」に焦点を当てる意識が重要です。 - 「なぜ?(Why)」の前に「何が?(What)」を問う
「なぜそんなことを?」という問いは、相手を詰問する響きになりがちです。まずは「何があったのですか?」「どういうお気持ちですか?」と、事実や感情を尋ねることから始めましょう。
*1:参考文献:Biestek, F. P. (1957) The Casework Relationship. Loyola University Press. ( 『ケースワークの原則[新訳改訂版] 援助関係を形成する技法』(2006) F.P.バイステック 著 尾崎新/福田俊子/原田和幸 訳 誠信書房
心の中で「どうしてそんな無駄遣いを…」「他に必要なものがあるだろうに…」と思ってしまいませんか。