外来→訪問の流れとケアマネ実務

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2022年度の診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会(中医協)の議論が、具体化の領域に入ってきました。10月13日の会合では、在宅医療にかかるテーマとして、患者が外来診療から訪問診療へと移行した場合の連携などが課題として取り上げられました。

入院→在宅の移行上の評価を再確認すると…

現行の診療報酬では、入院医療から在宅医療(外来・訪問)への移行(退院)に際して、(1)多職種による退院時カンファレンスや(2)在宅医療等への診療情報提供を評価の対象にしています。具体的には、(1)に際して退院時共同指導料が、(2)に際して診療情報提供料が、入院医療機関側にそれぞれ算定されます。

一方、ケアマネ側については、(1)(2)に対応する介護報酬上の評価として、退院・退所加算が算定されます。(1)のカンファレンスに参加した場合には上位区分が算定されますが、それ以外は(2)の診療情報についての連携を要件とした区分での算定となっています。

今回、論点となった「外来診療から訪問診療へ」のケースですが、現行の診療報酬では、(2)の診療情報提供に際してのⅠが外来診療側に算定されます。ただし、多職種でのカンファレンスなどは評価の対象となっていません。

ちなみに、中医協の事例で示されていた事例では、地域の在宅医療・介護連携支援センターを介した取組みが紹介されています。同センター職員によるアセスメントを行ない、訪問診療につなげるといった流れになります。

外来→訪問の移行でも新評価が誕生する!?

想定されるのは、「外来から訪問に移行する」ケースとして、ターミナル期などでADL等の低下により「通院が難しくなった」というパターンです。すでに介護保険サービスを使っていても、サービスの再調整が必要になる可能性もあるでしょう。また、その時点で介護保険を使うというケースも考えられます。

こうした状況では、外来側の主治医と、訪問診療医やケアマネ等がどこかのタイミングで密度の高い情報共有を行なう必要があります。今回の中医協の議論は、こうした情報連携のあり方をどのように評価するかという点にスポットを当てたことになります。

患者のADL状況や(主治医判断による)ターミナル期かどうかといった要件を付すかどうかが議論となりそうですが、何らかの新評価が誕生するのは間違いなさそうです。

ここで、ケアマネとして気になるのは、新たなカンファレンス開催(感染対策の観点からオンラインも含む)のしくみが設けられるとして、介護報酬にかかる評価でしょう。

介護報酬側との整合性は図られるのか?

現行では、外来診療→訪問診療の移行に際して、退院・退所加算に該当する加算はありません。強いて言えば、利用者が末期がんでターミナル期に入ったケースでのターミナルケアマネジメント加算、あるいは特定事業所加算から移行した特定事業所医療介護連携加算が上げられます。ただし、いずれも診療報酬側の「外来→訪問」というタイミングを直接反映したものとはいえません。

となれば、2022年度に診療報酬側に新たなしくみが誕生したとして、その2年後の介護報酬改定まで実務上のタイムラグが生じることになります。ケアマネ側から見れば、対医療連携の頻度・密度が上がること自体は、ケアマネジメントの質を上げるチャンスではあります。ただし、介護報酬上で評価されない実務が増えるとなれば、その業務負担とのバランスは新たな課題となるでしょう。

当然ながら、診療報酬との整合性を取る観点から、2024年度の介護報酬改定で、ケアマネにかかる新たな評価が誕生する可能性は高くなります。新たな対医療連携加算を誕生させるのか、あるいは、先の特定事業所医療介護連携加算などに上位区分を設けたうえで要件に組み込むのか。事業所としても、2022年度の診療報酬改定をチェックしながら、シミュレーションを行なう必要がありそうです。

ACPをめぐる実務ハードルのUPに注意

気になるのは、仮に診療報酬上での「外来→訪問」の連携に新たな評価が誕生するとして、先に述べたようにターミナル期といった要件が絡んでくることです。少なくともACPの取組み強化を求める可能性はあります。

2020年度の診療報酬改定では、地域包括ケア病棟入院料などの算定に際して、以下の要件をプラスしています。「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、「適切な意思決定支援に関する指針」を定めることです。先の「外来→訪問」への移行についても、同要件が定められる可能性があります。

居宅介護支援でも、ターミナルケアマネジメント加算の算定に際し、上記のガイドライン等を参考にした多職種連携や情報共有が必要です。ただし、「指針の定め」までは求めていません。診療報酬側との整合性を図る流れが新たに生まれるとして、この「指針の定め」が必須となることも考えられます。

この点に関連して、今回の中医協では、上記の指針(取組方針)の定めについてのデータが示されました。それによれば、取組方針が「ない」という回答は居宅介護支援で約6割。在支診や訪問看護の約2倍です。居宅介護支援事業所にとっては、このあたりの実務格差が2024年度改定のネックになってくるかもしれません。先行きをにらめば、今から注意したいポイントの一つと言えます。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。