ケアマネをめぐる大きな改革が続々。 現場が注目したいポイントは?

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厚労省老健局による2021年度の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」が開催されました。提示された資料の中から、ケアマネが頭に入れておきたいポイントを大きく2つ取り上げます。1つは法定研修について。もう1つはケアプラン点検に関することです。

法定研修のカリキュラムが見直される予定

まず、法定研修についてです。現在、老人保健健康等増進事業の一環として、「介護支援専門員の資質向上に資する研修等のあり方に関する調査研究事業」が進められています(2021年度分。2020年度分の報告書は取りまとめ済み)。この事業での議論を受けて、厚労省は法定研修のカリキュラムやガイドライン等の改正を予定しています。

改正点としては、先ごろ取りまとめられた「適切なケアマネジメント手法の手引き」にもとづいたカリキュラムの見直しがあげられます。すでに一部地域の職能団体による実践研修が実施されていて、研修の実施方法についての解説動画などが各都道府県に周知される予定です。特に、対医療連携の強化という観点から、疾患別のケアに関するカリキュラムが大きく改編される可能性があります。

「仕事と介護の両立支援」についての改定も

次に法定研修カリキュラムに組み込まれる予定なのが、「仕事と介護の両立支援」に関する内容です。このことは、政府が2019年に策定した規制改革実施計画でも明記されています。その目的とは、介護離職ゼロに向けて、ケアマネが「就労している家族の勤務実態も踏まえてケアプランを作成できるよう」にすること。すでに専門の研修カリキュラムは策定され、自治体等が実施する家族介護者支援の任意研修に取り入れられています。

このカリキュラムでは、「家族が就労している場合の支援の視点」や「両立支援制度(介護休業制度など)の活用も踏まえたケアマネジメントの方法」などが示されています。企業が医療の「産業医」に該当する「産業ケアマネ」と契約する時代も見込まれる中、法定研修に組み込まれるとすれば、両立支援が標準的なスキルと位置づけられることになります。当然、2024年度の基準改定等に反映されることも想定するべきでしょう。

プラン様式等の改定や精神障害者支援も反映

その他、法定研修に反映される予定なのが、2021年3月に発出された「ケアプラン様式および記載要領」の改正です。これについては、第1表の「利用者および家族の生活に対する意向(改定後は、意向を踏まえた課題分析の結果が追記)」をはじめとして、多くの見直しが行われました。いまだに改定趣旨が十分につかめず、現場では混乱も見られるようです。

今回の課長会議では、上記の改定について「認知症施策・地域介護推進課」が別添資料を提示しています。そのうちの参考資料2において、改定の主なポイントが示されています。このポイントは、ケアプラン点検支援マニュアルにも記載されているので、改めて現場で目を通しておきたいものです。

もう一つ注目したいのが、「精神障害者支援の障害特性と支援技法を学ぶ研修等」についてです。国は、診療施策等において精神障害者の地域移行を進めていますが、当事者が高齢の場合は介護保険による対応が必要となるケースも多くなります。その際には、ケアマネ等も精神障害者を支援するためのノウハウの習得が不可欠となるでしょう。

すでに、国は都道府県の任意事業で「精神障害者支援の障害特性と支援技法を学ぶ研修事業」のメニューを設けています(ケアマネも参加可能)。この研修事業については、ケアマネ等の受講促進に向け、一部見直しも図られています。こうした研修カリキュラムも、法定研修に反映される予定です。

AIによるケアプラン点検もスタート!?

以上が法定研修に関してですが、もう1つ注目したいのがケアプラン点検に関してです。ケアプラン点検については、「頻回の生活援助にかかるプラン」に加え、2021年10月から「区分支給限度基準額+訪問介護の利用割合」によるプラン抽出など(サ高住における併設事業所で区分支給限度基準額の利用割合が高いケース含む)がスタートしました。

国は、今後も給付費の適正化を図る観点から、基準上でのケアプラン点検機会の拡大を図る可能性があります。そうした中では、点検を実施する市町村の体制や負担が課題となります。これを受けて、国が進めようとしているのが「AI(人工知能)を活用したケアプラン点検」の実施です。すでに調査・研究事業も継続的に行われています。この結果を受けて、2022年度中に「ケアプラン点検支援マニュアル」が改訂される予定です。

AIによるケアプラン点検と言われても、ピンと来ない人もいるかもしれません。たとえば2021年3月に出された報告書では、「アセスメント情報とサービス内容・目標との整合性を見極める」、「点検者の主観に左右されない統一的な視点の確保」などについて、AIへの期待が大きいとしています。

このように、2022年度(今年4月)から2024年度の改定に至る間に、ケアマネの修得知識の範囲や業務環境は大きく変わろうとしています。一方で、ケアマネの処遇改善や有資格者不足への対応という課題も待ったなしの状況です。これらのバランスをきちんと取れる施策が展開されるのか。地域の連絡会等もしっかり声を上げ続けることが必要です。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。