ケアマネの入院時情報連携加算等の見直し。 診療報酬側の「改定事情」にも注意を

2024年度の介護報酬・基準改定では、ケアマネの対医療連携に関係する内容も多岐にわたっています。診療報酬も同時改定となるタイミングを考えれば、円滑な対医療連携を進めるうえで、医療側にどのような「事情」が生じているのかを知ることが重要です。

ケアマネ側の対医療連携にかかる改定を整理

まず、居宅介護支援の対医療連携に関連した改定項目を、改めて整理しましょう。

(1)入院時情報連携加算……入院医療機関への利用者情報の提供タイミングの短縮が図られたこと。Iで「3日以内⇒入院当日および入院日以前」、IIで「7日以内⇒入院日の翌日・翌々日」です(営業日・時間の関係で特例あり)。各単位数も引き上げとなりました。

(2)通院時情報連携加算……歯科医師の診療時の同席・情報連携も対象になったこと。こちらは、単位数に変更はありません。

(3)ターミナルケアマネジメント加算……終末期の利用者の対象疾患を「末期がんに限定しない」という要件見直しが行われたこと。なお、終末期の医療ケアの方針に関する利用者・家族の意向把握も必要となりました。

(4)特定事業所医療介護連携加算……(3)の改定にともない、ターミナルケアマネジメント加算の前々年度3月~前年度2月の算定回数が「5回以上⇒15回以上」と引き上げに。

(5)ケアプランに訪問・通所リハビリを位置づける際の取扱い……主治医に意見を求めることが必要ですが、この場合の「主治医」に、「入院中の医療機関の医師」も含まれることが取扱い方針で明確になりました。

入院時情報連携加算と入退院支援加算の連動

上記のうち、特に注目したいのが(1)です。ここでは、ケアマネ側の情報提供にかかる実務のスピードアップが求められています。ケアマネとしては負担となるわけですが、納得のいく実務をこなすうえでは、「なぜスピードアップが求められているのか」について医療機関側の事情を知ることも必要になります。

そこで気になるのが、診療報酬の動向です。診療報酬については、中央社会保険医療協議会で基本方針についての諮問・答申が行われました。2月4日時点では、基本方針を受けての具体的な項目案が審議されています。

ケアマネ側の入院時情報連携加算に深くかかわる内容といえば、入院医療機関側に算定される入退院支援加算があります。と同時に、入院前からの支援を評価する入院時支援加算にも注目しておきましょう。

診療側の事情(1)──退院支援計画の内容拡充

まず入退院支援加算ですが、同加算の現行の要件では、「退院困難な要因を有している患者」の抽出について「3日以内」「7日以内」の期限が定められています。ケアマネ側の現行の入院時情報連携加算でも、このタイミングとの整合性が図られています。

その入退院支援加算ですが、患者の入院後に退院支援計画を立て、その計画に沿って円滑な退院に向けた入院中の療養支援を行なうことが求められます。2024年度改定では、この退院支援計画の内容として「リハビリ、栄養管理、口腔衛生管理などを含む療養支援の内容」を含むことが明確に定められました。

入院医療機関側としては、患者の在宅での生活状況を、今まで以上に考慮しながら退院支援計画を作ることが求められます。そのための手間と時間を考えれば、「ケアマネからの少しでも早い情報提供」が必要になるでしょう。その点で、今回のケアマネ側の情報提供のスピードアップは、入院医療機関側の実務の見直しにかかわっているとも言えます。

診療側の事情(2)─入院前の情報ニーズ拡大

もう1つ注意したいのは、診療側の入院時支援加算との関係です。2024年度診療報酬改定における入院時支援加算の見直しでは、入院前からの支援をより充実・推進する観点から、「入院前の患者評価」の全項目を満たす場合の区分Iの評価が見直されます(現行230点から引き上げとなる可能性が高い)。

医療機関側にとってハードルが高いのは、「退院困難な要因の評価」です。もともと「生活困窮者であるかどうか」や「家族から虐待等を受けている疑いの有無」、「ADLの状況」など、入院前の生活状況の確認項目が多かったのに加え、2022年度改定では「ヤングケアラーの存在の有無」なども加えられました。

そうなると、ケアマネからの「入院前」の情報提供もカギとなります。入院時情報連携加算Iの改定では、「入院当日」という情報提供のタイミングに「入院前」も加えられています。これも、診療報酬側の入院時支援加算の見直しに連動させたと見ていいでしょう。

地域包括診療料ではケアマネ相談の対応明記

なお、かかりつけ医機能を評価した地域包括診療料等において、算定要件に「ケアマネ等からの相談に適切に対応する」という要件とともに、そのことを院内に掲示するというしくみが設けられました。さらに、施設基準において、サ担会議への参加実績や医療機関でのケアマネとの対面相談(ICT相談も含む)の機会を設けていることも必須となります。

加えて診療報酬では、ケアマネ等によるICTを用いた記録等(支援経過記録等が想定されている)を活用し、訪問診療医等が計画的な医学管理を行なうことを評価する加算(在宅医療情報連携加算など)も誕生しています。この中には、在宅歯科医を算定対象とした加算も含まれています。

こうして見ると、ケアマネ側の(2)、(3)の加算などに対応する医療機関側のインセンティブも拡充されています。連携する医療機関側の対応がどう変わっていくのか、ケアマネ側の加算見直しに加えて注意したい点です。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。