診療報酬の入退院支援にかかる見直しで、 対応するケアマネの2027年度改定の行方は

2026年度の診療報酬改定では、患者の入退院支援に関するいくつかの見直しが図られました。ここには、以前述べた介護支援等連携指導料の見直しも含まれます。これを受け、2027年度の介護側の改定では、ケアマネ関連でどのような見直しが予想されるでしょうか。

介護支援等連携指導料の見直しを改めて…

まず、改めて介護支援等連携指導料について整理します。もともと同指導料は、患者の在宅復帰後に導入が望ましい介護サービスについて、医師や看護師等が(患者の同意を得て)居宅のケアマネ等と共同しつつ、患者に説明・指導を行なうことで算定されます。

今回の見直しでは、以下の新たな要件を設定した単位数上乗せの区分が誕生しました。

  • (1)居宅ケアマネ等と共同する医療機関側の職種として、入退院支援および地域連携業務を担う部門の担当者が指定されたこと。
  • (2)上記(1)の担当者が、地域ケア会議やサ担会議に出席し、医療・介護関係職種等の連絡先などを共有したうえで、平時から連携体制を構築していること──とされています。

つまり、地域医療連携室の担当者などが、地域ケア会議など地域の多職種が参加する会議への出席を通じ、居宅のケアマネ等と連絡先を交換したうえで「平時」から連携する。その連携している居宅ケアマネ等が、患者への説明・指導に関与することが想定されます。

「平時からの連携」でケアマネの実務は?

気になるのは、「平時からの連携」の内容です。上記の(2)によれば、ケアマネと連絡先を交換したうえで、退院患者への「共同による説明・指導」が生じた場合の「事前依頼を行なう(患者の同意を得ての入院時からの情報共有を含む)」ということになりそうです。

ケアマネとしては、その説明・指導を通じ、患者の意向を受けたうえで、そのまま担当を受け持つ可能性が高いでしょう。居宅介護支援事業者が「医療機関に営業をかける」ケースがありますが、新区分の場合だと、地域ケア会議などを媒介とすることでも、医療機関側とのパイプを築く機会が生まれるわけです。

もちろん、医療機関側としては、過去に退院患者のケースを受け持ったケアマネに、引き続き「平時」からの連携を依頼するパターンが多いかもしれません。その一方で、地域ケア会議などの幅広い多職種連携機会を通じた「つながり」が重視される流れとなれば、地域課題の解決に向けた取組みへの積極参加も、居宅介護支援事業者にとってはケース確保につながる窓口になるとも言えます。

地域ケア会議通じた多職種連携強化も視野?

介護保険側でも、次期改正では地域ケア会議の位置づけがさらに重視される方向性が強まっています。同時に、主任ケアマネの役割の明確化により、(シャドウワークを含めた)多様な地域課題の解決に向けて、「主任ケアマネが地域ケア会議に関与すること」の推進が図られる可能性も大きいでしょう。

ただし、ケアマネの業務負担が課題となる中では、主任ケアマネによる事業所内ケアマネへの日常的なサポートの責務も膨らみがちです。そうした中で、主任ケアマネ等を地域ケア会議への参画に導くことは簡単ではありません。こうした事情は、医療機関側の地域医療連携の担当者においても同じでしょう。

仮に、地域ケア会議の場でのつながりが、(ケアマネにとっては)ケース確保、(地域医療連携室の担当者にとっては)円滑な退院促進の機会になるとして、これらは会議参画のインセンティブとなりえます。その点で今改定は、多様な地域課題解決に向けた介護・医療連携の強化も視野に入っているといえます。

ちなみに、医療側の入退院支援加算の改定では、「退院困難な要因」に「患者の意思決定支援および退院後の生活に向けた調整を行うに当たって、家族や親族との連絡が困難であること」が追加されました。

ここには、地域ケア会議での課題として重視される「頼れる身寄り等がない高齢者」などが視野に入っています。これを「退院困難な要因」として位置づけることで、入退院支援担当の地域ケア会議への参加を促進するための動機づけとする意図も浮かんできます。

ケアマネ側にも連携加算が誕生する可能性

「平時からの連携」の内容として、連携指導料の新区分要件には、もう1つ注目したい点があります。それが、昨年4月から施行されている改正医療法の「かかりつけ医機能」にもとづき、患者の病状が急変した場合等に入院などを支援することについて、ケアマネと取り決めを結ぶということです。

これは、あくまで「望ましい」とする推奨規定にとどまります。ただし、こうした取り決めは、居宅介護支援事業所にとって、連携する医療機関を施設等における協力医療機関の位置づけに匹敵するものとなりえます。

これにより、2027年度の居宅介護支援に関する改定では、(利用者のかかりつけ医とは別に)連携する医療機関に「施設における協力医療機関的な機能(利用者の容態急変時等に優先的に相談できる等)」を求めることができるなどが規定されるかもしれません。

加えて、たとえば、医療機関側の求めに応じた(介護支援等連携指導にかかる)平時連携を行なった場合の連携加算のようなものが、ケアマネ側に誕生することも考えられます。

以前述べたように「ケアマネジメントの公正中立性」の課題は残りますが、多職種連携の論点として見守りたいテーマの1つです。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『ここがポイント!ここが変わった! 改正介護保険早わかり【2024~26年度版】』(自由国民社)、 『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。