登録型有料での新たな相談支援類型。 条文から見える「足りない部分」とは?

今回の介護保険法等の改正案で、ケアマネにとって気になる項目の1つに、登録制となる一部有料老人ホームでの新たな相談支援類型「登録施設介護(予防)支援」があります。どのようなケースで、どのようにケアマネジメントが提供されることになるのでしょうか。

まず、住宅型ホームに導入の登録制を確認

前提として、一部の住宅型有料老人ホームに導入される登録制(登録有料老人ホーム。この登録は5年ごとの更新が必要)について、まず押さえておきましょう。

登録対象となる住宅型ホームは、入居者(予定含む)が一定の要介護状態の区分に該当する、もしくはそれに準じる状態であることです。この状態像は、政令で定められます。その入居者に介護等を供与することが、登録有料老人ホーム事業と位置づけられます。

この登録有料老人ホームに該当するか否かを把握するカギとなるのが、従来の有料老人ホームの届出における新規定です。具体的には、入居者の要介護状態区分や、厚労省令で定める介護の供与が必要な状態などです。

加えて、入居者に供与する介護等の内容や介護サービスを提供する事業者との連携等に関する内容も届出項目となります。これらにより、その有料老人ホームの実態が登録制に該当するかどうかが確認されます。

登録制ホームでの新たな介護支援の内容とは

さて、この登録有料老人ホームで入居者のケアプランを作成したりサービス調整を行なうのが、登録施設介護支援(予防含む)です。

その登録施設介護支援事業者が手がけるべき支援内容は、居宅介護支援事業者に規定されているものに準じています。ただし、従来の居宅介護支援と異なる点も見られます。

それは、(1)地域住民等の行なう「地域での自立支援・重度化防止に資する活動」に、利用者が参加することへの援助が明記されたこと。(2)アセスメントに際し、利用者の状況について「登録有料老人ホームの設置者」からの聴取が追記されたことです。

(1)については、社会福祉法に規定された地域住民等による活動が対象ですが、ここに総合事業も加わることが想定されます。もちろん、居宅介護支援でも、利用者の意向や住民団体等との合意によって利用の調整を行なうケースはあります。しかし、居宅介護支援側の法律上の条文では明記されていません。

その点では、有料老人ホームが陥りやすい閉鎖性を解消すべく(つまり、透明性を確保するべく)、登録施設介護支援事業者のケアマネ等が「利用者と地域」の「つなぎ役」となることが法律上で意図されたと考えられます。

この条文の意図については、改正法成立後の運営基準改定等の議論で、重要なポイントとなってくる可能性があります。

ホーム側のアセスメントへのかかわり

次に(2)ですが、これについてはポジティブな見方とネガティブな見方があります。

ポジティブな見方としては、普段から入居者の身の回りの支援を行なっているホーム事業者からの情報収集を明記することで、登録施設介護支援事業所のケアマネ等だけでは気づきにくい課題が明らかになることです。

たとえば、住宅型有料ホームの入居者のケアマネジメントを手がける場合、サ担会議にホーム側の職員が誰も参加しない(それ以外のやり取りも、ケアマネ側から働きかけないとなかなか協力してくれない)といったケースを見聞きすることがあります。

その点では、少なくともアセスメント時点から「ホーム事業者側からの聴取」を法律で明記することで、利用者の日常生活における課題の掘り下げが進む期待は高まります。

一方で、ネガティブな側面としては、ホーム事業者側の「処遇への意向」を優先するための “お墨付き”が生じかねないことです。今条文を見ても、「利用者や家族の希望等の勘案」の前に記されている点が気になります。

登録施設介護支援事業者を「利用者や家族」の権利を擁護する立場として位置づけるなら、「ホーム事業者側からの(事情の)聴取」と切り離した条文とすべきではなかったでしょうか。あくまで条文上のテクニカルな問題ですが、登録施設介護支援事業者の「立ち位置」が問われがちな中で注意したい点の1つです。

新支援類型の中立性はどこで担保される?

というのは、この新設された登録施設介護支援事業者が、どこまで施設側との間の中立性を確保できるかという点について、今法案では十分な規定が設けられていないからです。ホーム側の登録要件や、先の(1)のような透明性確保を図る条文はあっても、新たな支援類型の中立性にまでは踏み込んでいません

住宅型有料老人ホームについては、そこで提供されるケアマネジメントの公正中立性の担保が課題となってきました。今後厚労省令で明記されるのでしょうが、新たな支援類型だからこそ、「支援の中立性」という理念を条文で明記しておくべきではないでしょうか。

今法案では、登録施設介護支援の利用について「1割負担」が明記されました。その「1割負担」について被保険者に理解を求めるうえでも、この新たな支援類型をめぐる規定のさらなる明確化が求められるところです。

ちなみに、この登録施設介護支援の施行は2027年度改定後となる可能性があります。その時間を考えれば、施行までに条文修正を可能とする付帯決議なども問われそうです。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『ここがポイント!ここが変わった! 改正介護保険早わかり【2024~26年度版】』(自由国民社)、 『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。