保険外サービス活用の推進に向けた課題。 ケアマネのシャドウワーク解決との関連も

厚労省から、「保険外サービスを含む多様な地域資源について利用者や家族等に情報提供する際の手引き・ポイント集(以下、保険外サービス等手引き集)」(2025年度老人保健健康増進等事業)が示されました。ケアマネの法定外業務(シャドウワーク)軽減を図ることも意図された手引きとも言えます。

ケアマネのシャドウワーク対策はどうなる?

ケアマネのシャドウワーク対策に向けては、現在審議中の介護保険法の改正案における「新たな支援会議の規定(社会福祉法における地域福祉全般にかかる支援会議含む)」や、「(シャドウワークとなりやすい)頼れる身寄りのない高齢者等を対象とした事業の拡充」など、さまざまな施策を複合させながら対応していくというビジョンがうかがえます。

今回の「手引き集」も、包括やケアマネ向けという点もさることながら、自治体にも共有を図ることで、地域資源の開発・把握やコーディネートをさらに推進するという狙いも浮かびます。一方、自治体向けには、別に「頼れる身寄りがない高齢者等への支援」に関するガイドブックも示されています。今後も、地域支援の拡充に向けて、こうした手引き等の続編等が出てくる可能性は高いでしょう。

さらに、財務省の審議会では、今年度も「保険外サービスの活用」がテーマとして上がっています。事業者における保険内外のサービスを柔軟に組み合わせたサービス提供の推進や、その際にハードルとなるローカルルール(保険内外のサービスの組み合わせを認めていない等)への対応なども提言に含まれます。

保険外サービス相談対応への費用負担の行方

ちなみに財務省側の資料では、ケアマネによる(保険外サービスにかかる)相談・要望対応について、「(原則あるいは条件によって)費用を徴収してもよい」とする自治体が5割に達したというデータも上がっています。

こうした「保険外サービスにかかる相談対応への費用徴収」に関し、厚労省としても、より明確な通知等を出すことになるかもしれません(運営基準でも「利用料等受領」の規定はありますが、保険外サービスの紹介・手配に重点化したものなどが考えられます)。

もっとも、サービス手配等に拠るとはいえ、アセスメントから始まるケアマネジメントの基本的な流れはほぼ同じです。費用徴収を統一的に認める通知を発したとして、それは実質的に「ケアマネジメントに利用料が発生する」という解釈にもつながりかねません。しかも、その費用発生が「使うサービスで左右される」となれば、介護保険の平等性に抵触するのではという指摘も出てくるでしょう。

いずれにせよ、ケアマネジャーのシャドウワーク解決策の一環として、「保険外サービス手配に関する費用徴収」が盛り込まれるとすれば、大きな議論になることは必至です。

自治体によるサポートのあり方が問われる

こうしたビジョンも視野に入れながら、ケアマネと保険外サービスの関係を見ていくと、まだまだ解決すべき課題は少なくありません。

たとえば、保険外サービスの調査研究事業等では、保険外サービスは利用料が高額となるケースもあり、「自身に紹介責任が発生するのではないか」を危惧するケアマネもいます。

もちろん、保険外サービスの利用は当事者の自己決定によるもので、原則としてケアマネに法的責任は発生しません。ただし、その後の利用者との関係性への影響を考えた場合に「紹介しにくい」と考えるケアマネも一定程度いることが調査等から浮かんできます。

そうしたケアマネとしては、「(費用の多寡も含めて)できるだけ選択肢を広げる」と考えるでしょう。となれば、情報収集の労力がかかるうえ、利用者側としても「選ぶのが大変」となってしまい、そこでケアマネのサポートが増えることも考えられます。

そうなると、国が保険外サービスを推進するほど、ケアマネの業務負担は増しかねません(その負担も考慮しての費用徴収という考え方も改めて浮上することになります)。

この点では、自治体として「地域資源の情報収集を一元的に担いつつ、利用者への選択サポートも行なう」など「保険外サービスセンター」的な機能の創設も求められそうです。

保険外サービス事業者の倫理にも焦点を

もう1つの課題が、「保険外サービスを手がける事業者が居宅介護支援を行なう」というケースも考えられることです。事業者としては、ケアマネジメントを通じながら、自事業所の保険外サービスの「売り込み」に誘導することも起こりえないとは限りません。介護保険サービスに関して求められる中立性の原則が、果たして保険外サービスでも機能するのかどうかが問われることになります。

もちろん、介護関連サービス事業協会などは、その認証制度でガイドラインの遵守を求めていて、その中に「不当な働きかけの禁止」を定めています。ただし、厚労省が定める運営基準でも明確化を図る必要もありそうです。

居宅介護支援の運営基準では、「利用者が複数の居宅サービス事業者等の紹介を求めることができる」旨を説明する義務が定められています。ここには「等」が含まれているので、保険外サービスも含まれるとも解釈できますが、この点などを通知で明記するわけです。

ケアマネの働き方や立ち位置にも影響を与える点を踏まえつつ、適切かつ有効な保険外サービスのあり方が問われています。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『ここがポイント!ここが変わった! 改正介護保険早わかり【2024~26年度版】』(自由国民社)、 『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。