特定事業所加算を取得している居宅介護支援事業所がやらなくてはならないことの一つに「週一回以上の定期的な会議」があります。新人ケアマネさんは「週1回の会議って何をやるの?」と迷ったことはないでしょうか。ここでは、週1回の会議とは何なのか、やらなければならない理由や実践的な準備や進め方、注意点などをわかりやすくご説明します。
- 週1回の会議(定期的な会議)とは?
- 週1回の会議の内容は指定されている?
- 目的を踏まえて進めよう!まずは会議の準備
- 特定事業所加算応援サイト「会議・研修資料集」の使い方
- 準備が出来たら慌てず挑もう!会議の司会進行
- 議事録はどのように作ればいい?
週1回の会議(定期的な会議)とは?
特定事業所加算を算定している居宅支援介護事業所がやらなければならないことのひとつに「週一回以上の定期的な会議開催」があります。
居宅介護支援事業所の「特定事業所加算」とは
- 重度者や困難ケースに対しての積極的な対応
- 専門性の高い人材(ケアマネジャー)の確保
- 質の高いケアマネジメントの実施
上のような取り組みを評価することにより、地域の居宅介護支援事業所のケアマネジメントの質の向上を図ることを目的とした加算で、算定中の事業所には(A)専門性の高いケアマネジャーを確保すること、(B)質の高いケアマネジメントを行うこと、が求められています。そのため、(A)のための「人員配置要件(主任ケアマネや常勤ケアマネ配置)」や、(B)のための「一人当たりの担当利用者数の制限」などたくさんの要件があるのです。そして、その要件の中の一つに「定期的な会議(週1回の会議)」があります。こまめに会議を行って情報を共有したり、事例についての対応方法を検討することは、(A)(B)どちらの目的にも見合ったものと言えるでしょう。
週1回の会議の内容は指定されている?
週1回の会議には、実は運営基準上の正確な呼び名があるのですが、その名前は【利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議】と言います。特定事業所加算の目的である(A)(B)のための会議なので、ケアマネの質の向上が図れる内容でなくてはなりません。
そのため会議内容には少なくとも以下の項目を含むことが定められています。
(1) 現に抱える処遇困難ケースについての具体的な処遇方針
(2) 過去に取り扱ったケースについての問題点及びその改善方策
(3) 地域における事業者や活用できる社会資源の状況
(4) 保健医療及び福祉に関する諸制度
(5) ケアマネジメントに関する技術
(6) 利用者からの苦情があった場合は、その内容及び改善方針
(7) その他必要な事項
会議担当者には上記の項目が含まれている議題を事前に準備しておくことが求められるでしょう。
目的を踏まえて進めよう!まずは会議の準備
特定事業所加算算定中の事業所に、会議の担当者をどのように決めているか尋ねたところ、「事業所内のケアマネが持ち回りで担当している」事業所が多いことがわかりました。ベテランケアマネ、新人ケアマネに平等で担当が回ってきてしまうので、慣れない新人ケアマネさんだと「来週の会議はどうしよう、、、」と頭を悩ませてしまうこともあるかもしれません。
そんな悩みを解決すべく、会議の準備の方法からお伝えしていきます。
検討したい事例があるか確認
定期的な会議の議題でやはり多いのが(1) 現に抱える処遇困難ケースについての具体的な処遇方針、です。現在抱えるケースについての対応を考えることは、ケアマネジメントの質を上げるだけでなく、交代制で24時間対応をする際の情報共有としても役立ちます。
今週の会議で検討したい事例があるか、事業所内のケアマネさんに確認しておくことで、会議での議題がある程度見えてくるでしょう。
処理しなければならない苦情があれば確認
1週間の間に苦情があった場合は、その苦情内容と対応方針について話し合うことが求められます。苦情の対応は管理者が行うことが多いので、話し合う苦情などがあれば確認しておきましょう。
議題が見つからない場合はどうする?
週に1回という頻回の開催のため、担当ケースも落ち着いており、検討事項などもなく「何を議題にしよう?」と悩んでしまう週もあるかも知れません。
その際はこちらの【特定事業所加算算定を応援! 会議研修資料集】を使ってみてはいかがでしょうか?
特定事業所加算応援サイト「会議・研修資料集」の使い方
このサイトには大きく二つの役割があります。
(1)週1回の会議の議題、資料の提供
週1回の会議の議題として取り扱わなければならない項目である
・地域における事業者や活用できる社会資源の状況
・保健医療及び福祉に関する諸制度
に関する最新の資料を取り揃えております。
(2)ケアマネさんの個別研修に利用できるセミナー情報の提供
ケアマネさんの個別研修に利用出来るスキルアップのセミナー情報を、リアル開催、オンライン開催含めて揃えております。
今回はこちらの(1)についてご説明します。
会議議題の見つけ方
【特定事業所加算算定を応援! 会議研修資料集】トップページにアクセスします。
上記図にある「厚労省通知解説」ページ、もしくは「お役立ち社会資源」ページを選ぶと、以下のように会議資料に使える記事一覧を見ることが出来ます。
ここでは「厚労省通知解説」ページについて解説します。
最新の厚労省通知の解説付き記事が項目別に分かれているので、会議で使用したい記事を選び印刷することで、会議資料としてそのままお使いいただけます。会議資料があると、参加者全員が見ながら情報共有ができるため、司会進行の助けになります。
また、会議録作成の項目で詳しくお伝えしますが、会議録に慣れない新人ケアマネさんのために「会議録見本」をダウンロード(※無料会員登録が必要)して参照出来る機能もついていますのでぜひご活用ください。
準備が出来たら慌てず挑もう!会議の司会進行
準備が出来たら落ちついて会議に挑みたいところですが、人前で話すことに苦手意識のあるケアマネさんは、本番になると緊張で何を言っているかわからなくなってしまった・・・という心配が多いのではないでしょうか。落ち着いて話せる先輩ケアマネを見て「あのようになってみたい」と憧れた経験のある方も多いかもしれません。
ここでは、落ち着いて司会進行をするための方法についてお伝えします。
司会進行用のメモを用意する
「なんの目的で、何を話す会議か」ということが大まかに見えているだけで、頭が真っ白になってしまっても戻ってくることが出来ます。また、議題の順番も決めておくことで、自分が今どこを進行しているのかがわかり落ち着いた進行の助けになるでしょう。
会議のレジュメがある場合はそこにメモを書き込んでおき、ない場合は自分だけが読めるメモを用意しておきます。冒頭の挨拶など、躓いてしまいそうな言葉があれば、項目のはじめにセリフのように書いておくことにより読み上げながら話すこともできるようになります。
会議の最初に「本日の議題」を簡単に説明する
会議で話すべき議題を、参加者全員に話しておくことで全員が会議の目的を知ることが出来るため、会議がスムーズに進むだけでなく進行中に迷ってしまっても参加者が助け舟を出してくれるかもしれません。「今日は○○を目的として△△について検討します」ということをまずは落ち着いて説明しましょう。
緊張してしまったら「良く話す人」に意見を尋ねる
途中で緊張してしまって言葉が続かなくなったら、参加者のうち流暢に話せそうな人に意見を尋ねると、その人が話してくれている間に緊張をほどく時間を作ることが出来ます。また、相手の反応がないと余計緊張してしまうので、参加者のうち、うなずいたり反応してくれる人に向かって話す時間を作ることによって落ち着いて話すことができるようになります。
会議の最後には「今日決まったこと」について確認を行う
会議の最初に説明した「なんの目的で、何を話す会議か」について、それがどのように決まったかについて確認しましょう。
「〇〇について、△△のように決まりました」と参加者全員で確認することにより、お互いの認識の食い違いも防ぐことができ、「目的に基づいて会議ができた」と参加者に思ってもらうこともできるでしょう。
また、会議の最後に「スムーズな進行にご協力いただきありがとうございました」と感謝を述べることで、参加者は「次の会議も協力しよう」と思ってくれるようになります。
議事録はどのように作ればいい?
特定事業所加算の週1回会議開催の要件に「議事録を作成して2年間保存すること」があります。
一般的に議事録に盛りこむべき項目は
- 会議の表題
- 会議開催の日時
- 開催場所
- 出席者
- 議事(何について話したか)
- 議事決定事項(どんな結論に至ったか)
のようなものですが、週一回の会議には、それに加えて、ケアマネの質の向上が図れる【7つの項目】が議事に含まれているかがわかる記録でないといけません。そのため、それにあたる議事には「7つの項目のうちどれにに当たるのか」がわかる記載をしておきましょう。
それぞれの議事にはこのような記載があるとわかりやすく見ることができます。
- 議事名(〇〇様の急な歩行困難、その対応について)
- 担当者(現在の事例についてであれば、その担当者名)
- 検討した内容と決定事項(その課題に対して、誰がどのように対応することになったか)
慣れるまでは難しいかも知れませんが「議事録はこのように書くものだ」と覚えていくとスムーズに書けるようになっていきます。
それでも議事録が上手く書けない時は?
【特定事業所加算算定を応援! 会議研修資料集】では、忙しいケアマネさんのために、各会議資料に会議録見本をお付けしました。必要に応じて書き換えて議事録作成にお役立てください。