介護医療院への「移行定着支援加算」算定は97.2% 厚労省

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社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会(第19回 3/26)《厚生労働省》

厚生労働省は26日、社会保障審議会・介護給付費分科会の「介護報酬改定検証・研究委員会」に、「令和元年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」の結果概況案を示した。2018年度介護報酬改定の影響を調べるもの。新設された介護医療院への調査結果では、「移行定着支援加算」を97.2%が算定していて、開設に当たって有用だと84.7%が回答した。

・第19回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会

調査は、「介護保険制度におけるサービスの質の評価」や「医療提供を目的とした介護保険施設におけるサービス提供実態」など7項目について行われた。

医療提供を目的とした介護保険施設におけるサービス提供実態等の調査では、▽介護医療院のサービス提供・生活環境等の実態調査▽介護医療院への転換に関する自治体の取組状況の把握-などを目的に行った。

18年度改定で新設された介護医療院は、19年6月30日時点の開設数223を対象に郵送調査した。回答件数は72で、開設主体は「医療法人」が87.5%、入所者数は平均61.4人、類型は「I型介護医療院サービス費(I)」が55.6%で、75.0%が病院を併設していた。開設前の施設は、「介護療養型医療施設(病院)」が59.7%で、「既存建物をそのまま活用」が65.3%だった。また、97.2%が「移行定着支援加算」を算定していて、開設に当たって有用だと感じた支援策は、「移行定着支援加算」が84.7%で最も多かった。

介護医療院の開設を決めた理由は、「自院には介護医療院にふさわしい患者が多いと考えられた」が77.8%、「退院先となる場合には自宅等と扱われることに魅力を感じた」が58.3%、「移行定着支援加算に魅力を感じた」が55.6%の順で多かった。

また、アドバンスケアプランニング(ACP)に取り組んでいるのは48.6%で、このうち71.4%が「本人の意思が明確ではない時の支援」が困難だと答えている。ACPは、人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセスだが、介護医療院に入る前に本人の同意が取れなくなっている状態が大半で、介護医療院は「ACPができない施設になっている」と、調査の検討チームで委員長を務めた今村知明委員(奈良県立医科大教授)は説明した。

一方、都道府県などへも調査を実施。「介護医療院に関する医療機関・施設からの相談の有無」では「有」との回答が、都道府県(回答数47件)は100%、指定都市・中核市(同79件)は84.8%、保険者(同1,205件)は20.1%だった。

相談が多かった項目は複数回答3つまでで、都道府県は「設置基準について」が78.7%、指定都市・中核市は「開設手続きについて」が83.6%で最も多かった。

今回の結果概況案に対し委員からは、「集計の母数が回収集、回答数、n数と統一されていない」などの指摘があったため、厚労省が再度整理し、結果は議長に一任された。後日、分科会へ報告する。 

厚労省は、18年度改定の影響を見るための調査を3年にわたり3回行う予定で、今回は改定から2年目の調査結果概況に当たる。これらの結果や、20年度中に行われる介護事業経営実態調査の結果などが、次期改定の基礎資料になる。