田中元のニュース解説

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。

これからのケアマネ処遇のあり方

2021年度の介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数が公表されました。前年度比で7900人以上の伸びとなり、受験資格の変更によって急減した2018年度以降では、初の5万人台に回復しています。とはいえ、急減前と比較してまだ半分以下という数字です。 2021…

外来→訪問の流れとケアマネ実務

2022年度の診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会(中医協)の議論が、具体化の領域に入ってきました。10月13日の会合では、在宅医療にかかるテーマとして、患者が外来診療から訪問診療へと移行した場合の連携などが課題として取り上げられました。 入…

「現役世代の負担」とは何か?

日本経済団体連合会(経団連)が、「今後の医療・介護制度改革に向けて」と題した提言を公表しました。その中心には、「今後の高齢化や現役世代の減少のさらなる進行」により、「高齢者の医療・介護給付費の増加は現役世代の保険料の伸びにもつながる(可処…

新首相が目す処遇改善の制度設計

岸田文雄首相が就任後初の所信表明演説で、介護従事者等の賃上げに向けて「公的価格を抜本的に見直す」としました。具体策として、「公的価格評価検討委員会(仮称)」の設置を表明しています。実際にどのような施策が展開されるのかについて掘り下げます。 …

訪問介護が果たす「重大な役割」

10月から、新たなケアプラン検証のしくみがスタートしました。今回の検証プランの抽出基準の一つに、訪問介護の位置づけ割合が含まれています。その検証に際し、求められることは何でしょうか。地域で求められる「訪問介護の役割」という視点から掘り下げま…

在宅のおむつ支給等のこれから

今年9月21日に出された「2021年度の地域支援事業実施要綱の改正点」の中から、任意事業の一つ「介護用品(紙おむつなど)の支給にかかる事業」の見直しを改めて取り上げます。ご存じのとおり、2015年から廃止・縮小に向けた流れとなりましたが、激変緩和措置…

LIFE活用、当事者参加を忘れるな

社会保障審議会・介護給付費分科会で、2021年度介護報酬改定の効果検証等にかかる調査方法の議論が進んでいます。改めて注目したいのが、「LIFEを活用した取組み状況」について。調査票の内容等をもとに、これからの科学的介護に必要なビジョンを整理します…

0.1%特例の切り替え。その先を注視

2021年度の介護報酬改定で、新型コロナへの対応策として特例的に「基本報酬への0.1%上乗せ」が図られました、その特例期限(9月末まで)が迫る中、継続されるか否かなどの対応に注目が集まっていました。厚労省が示したのは「継続」ではなく「地域医療介護…

総合事業緩和と利用者の選択権

2021年4月より新たな介護報酬・基準が適用されています。と同時に、地域支援事業においても、新年度から新要綱が施行されました。その要綱見直しにかかる新旧対照の条文が、9月21日付けで改めて示されています。注意したいのは、ケアマネジメントとの関連で…

受験料値上げで拡大する地域格差

来年初頭に実施される三福祉士(介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士)の国家試験の受験料が、引き上げられました。引き上げ額の大きさから受験者数への影響が懸念されています。そうした中、兵庫県明石市が値上げ分の支給を行なうとしました。 介護福祉…

新プラン検証にどう向き合うか

10月1日より施行される、新たなケアプラン検証に向けた届出の基準が告示されました。具体的な基準(区分支給限度基準額に対する割合、サービス費総額に対する訪問介護の割合)は、7月28日の介護給付費分科会で提示された案の通りとなりました。 当然ながらケ…

ケアマネとLIFEの関係上の注意点

2021年度の介護報酬・基準改定をめぐる調査検討のための様式や要綱が示されました。ケアマネとして注目したいのは、居宅介護支援等における「LIFEの活用可能性」の検証に向けたモデル調査が含まれていることです。 今改定では、ケアマネにもLIFE関連の規定 …

慰労金の再支給は実現するか

介護系の事業者団体が、新型コロナウイルス感染症対策にかかる要望書を、厚労省あてに続々と提出しています。今年9月末に期限を迎える「基本報酬の上乗せ特例」の延長、あるいは「現場従事者への慰労金」の再支給など。果たして実現されるのでしょうか。 予…

訪問介護の危機は社会保障の危機⁉

介護労働安定センターが、2020年10月に実施した「令和2(2020)年度介護労働実態調査」の結果概要を公表しました。注目されるのが、訪問介護員のうち「65歳以上」が25%以上を占めるというデータです。訪問介護員の不足状況が8割を超えている状況も含め、訪…

コロナ後の給付費増より深刻なこと

介護保険事業状況報告の最新の年報が公表されました。「最新」ではありますが、実際は2019年度(要介護・要支援認定者数などは2020年3月末)の数字となっています。つまり、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前の状況ということになります。 今回示…

概算要求、問われているのは?

2022(令和4)年度・厚労省予算の概算要求が出されました。新型コロナ禍で医療・介護ともに設備や人員のひっ迫度が高まる中、思い切った施策も求められる点で注目が集まっています。特に中長期的にも深刻度を増している介護人材の確保についてチェックします…

診療報酬特例さらに拡大。介護は?

新型コロナウイルス変異株の感染拡大により、全国規模での病床ひっ迫が深刻化しています。そうした中、8月26日の中央社会保険医療協議会(中医協)で入院診療にかかるさらなる報酬上の特例案が示され、了承されました。在宅診療・看護、および介護側の評価…

釈然としない自宅待機ルール緩和

新型コロナ禍による介護人材不足が、ますます深刻化しています。その状況下、8月18日、日本医師会や全国老人福祉施設協議会など、医療・介護7団体が連名で厚労大臣あてに要望書を提出しました。「新型コロナウイルス感染症における濃厚接触者となった医療従…

従事者による暴行等の背景に何が?

今年に入り、施設等での介護従事者による暴行事件などが相次いでいます。もちろん、いずれもごくまれなケースであり、業界としては「大多数の従事者は良識をもって利用者と向き合っている」と強調したいところでしょう。とはいえ、これだけのケースが報道さ…

高齢者の地域安全がますます重要に

消費者庁が、「自動ドアによる事故」についての原因調査報告書を取りまとめました。医療・福祉施設での多発や、被害者が高齢者にもおよぶことから、厚労省も介護保険関連団体等に対して、今回の報告書にかかる周知を求めています。これを入口としつつ、高齢…

介護をめぐるオンラインの行方

新型コロナ禍で、懸念されるのが高齢者のADLや認知機能の低下です。最新の厚生労働白書でも、高齢者の活動時間の低下や社会参加機会の減少などにスポットを当てています。たとえば、高齢者の生活にオンラインツールなどをどのように浸透させていくかといった…

原則自宅療養、介護への影響は?

新型コロナウイルス変異株の感染が急拡大する中、政府は「緊急的な患者療養の考え方」を示しました。「自宅療養」を基本とし、「入院対象者」を重点化するという措置です。当初、入院対象者の基準や対象地域が明確でなかったことで大きな混乱が生じました。…

コロナ禍で踏ん張る現場の耐久力

新型コロナ禍での介護事業や人材の状況はどうなっているか──公益財団法人・介護労働安定センターが、昨年末から今年初頭にかけて実態調査を行ないました。調査時期は、最初の緊急事態宣言から半年が経過したタイミングです。見えてくるものは何でしょうか。 …

新プラン検証で懸念されること

7月28日の介護給付費分科会で、「居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証」に向けた対象事業所案が示されました。2021年度の居宅介護支援の運営基準改定を受けて、新たなケアプラン検証が10月にスタートします。その対象要件を示したものです。 改…

人材確保策に「焦り」はないか?

全国社会福祉協議会・中央福祉人材センターの統計によれば、2021年1~3月期の福祉分野の有効求人倍率は4.01。依然として人材不足は深刻です。国は新規分も含めたさまざまな介護人材確保策を打ち出していますが、どこまで効果が期待できるでしょうか。 介護分…

介護福祉士の任用範囲を考える

介護保険をめぐる報酬や運営規程が揺れ動く中、介護福祉士の実務負担と処遇のバランスがますます大きな課題となっています。掘り下げたいのが、介護福祉士の社会的な位置づけです。その就労状況にも着目しつつ、「これからの介護福祉士」のあり方を考えます…

2022年の「骨太の方針」に注意

6月18日、政府が「経済財政運営と改革の基本方針2021」を閣議決定しました。負担と給付の関係(利用者負担の見直しなど)にかかる踏み込みは見られないものの、予定される2年後の法改正、3年後の報酬・基準改定への「布石」となりそうな内容が見られます。…

介護職員数の統計にかかる疑問

第8期介護保険事業計画(以下、事業計画。第8期は2021~2023年度)にもとづく「介護職員の必要数」が公表されました。全国の保険者が導き出した「介護サービスの必要量」から算出されたものです。第8期末となる2023年度までに、約233万人(対2019年度比で+…

ケアマネ処遇改善、どこで図る?

介護給付費分科会(介護事業経営調査委員会)で、2021年度の介護従事者の処遇状況等調査が行われます。ただし、そこではケアマネの処遇状況は含まれていません。ケアマネ不足が深刻化する中、その処遇改善は避けて通れないテーマです。今後どのような対応が…

環境激変に見合った処遇調査を

6月28日に開催された介護給付費分科会で、「令和3年(2021年)度介護従事者処遇状況等調査の実施」をめぐる調査項目等の案が示されました。今調査では、介護従事者の処遇についてさまざまな環境変化などを加味する必要があります。そうした点を含め、処遇状…

保険外支援拡大でケアマネ実務は?

国が掲げる地域包括ケアシステムでは、介護保険外サービスの活用も大きなテーマとなっています。課題となるのが、ケアマネジメントの位置づけです。「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」(老人保健健康増進等事業)の報告書が公表されましたが、…

オンライン認知症支援の広がり

新型コロナウイルスの感染状況は、依然として予断を許しません。さまざまな生活上の制限が長期化する中、認知症の人とその家族の状況も厳しさを増しています。中核症状の進行やBPSDの悪化などのリスクも高まる中でのサポート強化が問われます。 新型コロナ禍…

誤解なき「手引き」活用のために

「『適切なケアマネジメント手法』の手引き」(老人保健健康増進等事業・日本総研)が公表されました。2016年の「ニッポン一億総活躍プラン」で示された「適切なケアマネジメント手法の策定」から始まったものです。この手引きにより、今後のケアマネジメン…

8月からの負担増がもたらす影響

この8月に、介護保険サービスの利用をめぐるさまざまな負担増が施行されます。すでに厚労省は、周知のためのポスターやリーフレットなどを公表しました。サービスの利用意向や提供者・利用者間の関係に影響が及ぶ可能性もある中、どんな注意が必要でしょうか…

過失責任の緩和期待と注意点

日本老年医学会と全国老人保健施設協会が、「介護施設内での転倒に関するステートメント」を公表しました。介護施設等での利用者の転倒・転落を老年症候群の1つととらえ、「すべてが過失による事故ではない」ことを広く共有することを目指しています。 利用…

改めて「同意署名」の規定を整理

2021年度の基準改定で、現場の解釈が未だに錯そうしているものの一つに「利用者の各種同意にかかる署名・押印」があげられます。たとえば、押印は不要として署名はどうなのか。代替え手段はどうすればいいのか。もう一度確認しておきましょう。 規制改革推進…

LIFEフィードバックの活用と課題

今年4月から、新たなデータベースLIFEが稼働しています。運営サイトの告知によれば、6月上旬からLIFEからの初回フィードバックもスタートします。このフィードバックを現場としてどのように活かせばいいのか、課題はどこにあるかなどを掘り下げます。 LIFEか…

ケアマネへのハラスメント実態は?

介護従事者へのハラスメント対策では、今基準改定で事業所の取り組みが明確化されました。ただし、利用者・家族によるハラスメントへの対策は「推奨」にとどまっています。社会状況も頭に入れつつ、これから追加的にどのような施策が必要になるのでしょうか…

ICT導入支援事業は「使える」か?

国は、中長期にわたるICT導入の促進を、介護分野の「生産性向上」のカギと位置づけています。たとえばインフラ部分での推進策として、2019年度から「ICT導入支援事業」の予算化を図り、補助上限額の引き上げや補助対象の拡大にも着手してきました。 プランデ…

介護現場のフェーズが限界に

5月21日、厚労省は「高齢者施設等における感染防止対策および施設内療養を含む感染者発生時の支援策」について事務連絡を発出しました。新型コロナウイルス感染症をめぐり、地域によって病床がひっ迫し、高齢者が自宅療養のみならず施設療養も余儀なくされる…

伴走型支援、望まれる制度設計

2021年度より、国の認知症総合戦略推進事業の一環として「認知症伴走型支援事業」がスタートしました。認知症GHなどを活用し、地域の認知症の人と家族のための「伴走型支援の拠点」を整備するというものです。その効果的な運営に向けた課題に焦点をあてます…

ヤングケアラー支援に必要な土台

大きな社会的課題として注目されてきた「ヤングケアラー」の存在。厚労省は、ヤングケアラー支援に向けたプロジェクトチームを立ち上げ、報告書を取りまとめました。その中では、自治体やケアマネなど専門職への「支援に際しての周知」なども示されています…

コロナ禍でも進まぬ?ICT活用

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業(2020年度老人保健健康増進等事業・実施主体は三菱総合研究所)」の報告書が公表されました。内容は多岐にわたっていますが、この中から「サービス提供事業所や医療機関との連携」にかかるアンケート…

保険料UP+2.5%をどう見るか?

第8期計画期間の第一号介護保険料の月額平均が公表されました。2021年度からの3年間に適用される基準額の平均です。それによれば、月額6,040円と初めて6,000円台に達しています。一方で、第7期からの伸び率としては+2.5%と小幅にとどまりました。これをど…

なぜ? 社会福祉施設の労災急増

今年4月末、厚労省より2020年の労働災害発生状況が公表されました。介護関連では、業種別カテゴリーから「社会福祉施設」に注目します。その社会福祉施設では、「休業4日以上の死傷者数」が1万3267人で、対前年(2019年)比で32.1%の大幅増となっています。…

集中検査に向けた「壁」に注意

新型コロナ感染症について、厚労省のアドバイザリーボード(医療・公衆衛生分野での専門家等による助言等)で、高齢者施設等でのクラスター急増が指摘されています。これを受けて、国は高齢者施設の従事者等への集中的な検査実施の要請などを発出してきまし…

LIFE活用を起動に乗せるには?

新たな介護報酬・基準の適用から、早くも1月半が経過しようとしています。複雑な実務も増える中、混乱の目立つのが「LIFEとのデータ連携」を要件とした加算の取得です。厚労省は、4月算定分のデータ提出についての期限延長を示しましたが、うまく起動に乗せ…

認知症の人の接種、課題は多い

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が、高齢者に対しても始まっています。同ワクチン接種は任意であり、「副反応リスク」などを理解したうえで本人の意思決定が尊重されます。課題となるのが認知症の高齢者ですが、厚労省からは、本人の意思決定支援に…

入浴介助加算見直しの「本筋」

居宅介護支援外の加算でありながら、ケアマネの関心を集めているのが、通所系サービスの入浴介助加算の新区分(II)です。その疑義解釈(Q&Aのvol.8)が出されました。これを読むと、そもそもの新区分の目的がどこにあるのか──が浮かんできます。 まずは、入…

利用者負担導入で財務省の次の一手

財務省の財政制度分科会が、新年度の議論をスタートさせました。次の介護保険制度の見直しに向けた厚労省側の議論にも、大きく影響するのは間違いありません。財務省側の提言の中で、ケアマネとして注目したいのは、やはり利用者負担の導入等についてです。 …