田中元のニュース解説
◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)
昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。
立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。
2021年度改定の効果検証では、介護保険施設におけるリスクマネジメントも調査対象となっています。今後、介護給付費分科会でもリスクマネジメントにかかる対応策が議論されることでしょう。ここで論点に加えたいのが、リスクマネジメントでも労働災害にかか…
2024年の介護報酬改定は、診療や障害福祉とのトリプル改定です。この改定に向けては、毎回介護報酬側の審議会(介護給付費分科会)と診療報酬側の審議会(中央社会保険医療協議会)との間で意見交換が行われます。今回も3回にわたり開催が予定されています…
社会保障審議会・介護給付費分科会で、2021年度介護報酬改定の効果検証等の調査結果(2022年度調査)が示されました。その中から、介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究に着目してみます。たとえば、居宅における介護ロボット導入の可能性という観…
2024年度の介護報酬・基準改定に向けては、介護のデジタル化や人員基準の緩和などのテーマをめぐって、内閣府の規制改革推進会議の議論が大きく影響します。今回、介護給付費分科会の議論に、特に影響を与えるテーマが「アウトカム評価の拡充」です。 アウト…
厚労省が、「総合事業の充実に向けた検討会(仮称)」を設置します。昨年の介護保険部会の取りまとめを受け、従前相当以外の多様な主体も含めて支援体制の充実を図ることが目的です。検討会の設置にあたり、現場のケアマネ等が注目したいポイントは何でしょ…
政府は、マイナンバーカード(以下、マイナカード)と健康保険証の一体化を進め、2024年秋に現行の健康保険証を廃止する方針です。そして、介護保険証についてもマイナカードとの一体化が検討されています。現場の実務にどのような影響がおよぶのでしょうか…
2月27日に開催された介護給付費分科会の介護報酬改定検証・研究委員会で、2021年度改定にかかる2022年度調査の結果(案)が示されました。ケアマネにとって気になる調査結果の1つが、居宅介護支援や訪問系サービスでの「LIFE活用可能性の検証」です。 ケア…
2024年度から、ケアマネの各種法定研修のカリキュラムが見直されます。その改正内容が告示されました。全体を通して「適切なケアマネジメント手法」の反映や「他法・他サービス理解」の拡充が目立ちます。求められるスキルがどのように変わるのかを見すえま…
2月16日に開催された医療介護総合確保会議で、「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿(案)」が示されました。高齢者人口がピークに達する一方で、以降は生産年齢人口(15~64歳)が7000万人台を割り込むなど急減していきます。そうした時代を見すえて、…
2024年度は、介護・診療報酬の同時改定(障害福祉分野を含めるとトリプル改定)となります。都道府県では、介護保険事業支援計画とともに医療計画の策定を進めなければなりません。その同時策定の指針となる、医療介護総合確保の方針の見直し案が示されまし…
開催中の通常国会に提出された健康保険法等の改正案では、目玉の1つに「こども・子育て支援の拡充」があります。この部分の財源に、75歳以上に適用される後期高齢者医療制度からの支援をあてるしくみが示された。「高齢者も支え手」という全世代型社会保障…
現在開催中の通常国会(2023年常会)に、「全世代型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」が出されました。近年慣例化している複数の法律案を束ねて一括改正を図るものですが、この中に介護保険法の改正案も含まれ…
2024年度の介護報酬改定を左右するのが、介護事業経営にかかる調査です。2月1日の介護給付費分科会では、2022年度の概況調査の結果案に続き、2023年度の実態調査の実施に向けた基本方針や調査票の案も示されました。特に注意したい点などを取り上げます。 …
2月1日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、最新の介護事業経営概況調査の結果(案)が示されました。注目は、厳しい状況にあった居宅介護支援の収差率が、2021年度決算で4.0%(コロナ関連補助金を含まないケースでも3.7%)まで改善したことです。 20…
介護保険制度がスタートした当初、「保険あってサービスなし」になることの懸念がよく語られていました。独立行政法人・福祉医療機構のリサーチ結果や東京商工リサーチによる倒産・休廃業データを見ると、上記の懸念が現実となりつつあります。サービス調整…
「2021年の介護サービス施設・事業所調査」では、サービス種別によって事業所数の増減に明らかな差が生じています。特に対前年からの伸びが目立つサービスが、訪問看護や看護小規模多機能型。事業所数の伸びが停滞している訪問・通所介護や、減少の一途をた…
年明けの通常国会がスタートし、政府は「こども政策の強化」を主要課題にかかげています。2023年度の予算案審議に加え、こども施策関連の法案提出・審議なども想定されます。こうした動きが、介護関連の施策などにどうかかわってくるのでしょうか。 こども施…
早期アルツハイマー病への適応を目指す新薬「レカネマブ」について、厚労省への新薬承認の申請が行われました。すでに米国では、迅速承認がなされています。今回の新薬が仮に日本で承認されたとして、認知症のケアのあり方にどのような影響がおよぶでしょう…
2022年12月に、厚労省が高齢者虐待の防止等に関する法律にもとづく、2021年度の調査結果を公表しました。まず目に入るのは、養介護施設従事者等による虐待が、相談・通報件数、判断件数ともに過去最多を記録したことです。虐待の判断件数に至っては739件と、…
将来的に労働力人口が減少していく中、国は限られた介護人材による業務効率化を図るための施策を大きな柱としています。2023年度予算案で新たに設置するとしたのが、介護生産性向上推進総合事業の一環となるワンストップ型の総合相談支援の窓口「介護生産性…
新型コロナウイルス感染症の第8波が、依然として猛威をふるっています。中でも注意したいのが、1月に入ってから最多を更新した死亡者数です。死亡者の割合で高いのが高齢者ですが、長引くコロナ禍での間接的な要因による死亡も急増する恐れが強まっています…
高齢者人口の増加による介護ニーズの拡大、少子化にともなう将来的な担い手の不足、社会環境の変化にともなう生活課題の多様化と複雑化──2024年度の介護保険制度見直しは、この3つのテーマが絡み合う中で進められます。困難な壁を乗り越えるカギの1つとし…
2024年度の介護保険制度見直しで、地域のサービス資源のあり方が大きく変わることが予想されます。たとえば、既存サービス組み合わせによる新たな複合型サービスの設置、そして事業経営の大規模化・協働化の推進など。具体化に向けた課題はどこにあるでしょ…
介護保険制度見直しに向けては、介護ニーズの増大と従事者不足の深刻化が同時に進む中で、負担増の拡大や業務の効率化という観点からの議論が主流となりがちです。そうした時代だからこそ、揺らぐ制度の理念をもう一度固め直す視点が必要ではないでしょうか…
マイナンバーカード(マイナカード)と健康保険証の一本化に向け、デジタル庁が具体的な課題をめぐる検討会をスタートさせました。たとえば、要介護高齢者などによる申請補助・代理受取りなどを誰が担うのか。ケアマネにも深くかかわる論点が提示されていま…
社会保障審議会・介護保険部会が、「給付と負担の関係」を含めた「介護保険制度の見直しに関する意見」をまとめました。「給付と負担の関係」についての主な論点は7つ。それぞれの改革スケジュールを整理しつつ、これからの議論のポイントを取り上げます。 …
次の介護保険制度の見直しでは、「福祉用具のあり方」も重要なテーマとなっています。たとえば、2022年9月に整理された「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の議論がどう反映されるのかにも注意が必要です。その場合、居宅のケア…
12月5日の介護保険部会で示されたとりまとめ案、「在宅医療・介護連携」の項では、愛護と医療の連携強化にかかるかかりつけ医機能のあり方にふれています。現在、同じ社会保障審議会内の医療部会で「かかりつけ医機能」の検討が行われていますが、介護保険…
12月7日の全世代型社会保障構築会議で、「論点整理(全世代型社会保障の構築に向けた各分野における改革の方向性)」が示されました。それによれば、介護保険の「給付と負担の関係」にかかる負担増や給付制限は、多くが見送りになりそうな気配です。一方、…
社会保障審議会・介護保険部会で、取りまとめに向けた議論が始まりました。11月5日に示された前半部分の取りまとめ案から、「地域共生社会の実現」の中の「認知症施策の推進」について取り上げます。先のニュース解説で述べた「要介護1・2の一部サービス…
介護保険制度の見直しに向けて、利用者負担増や給付制限の多くが見送られるかもしれない…という見方が強まっています。一方、財務省の財政制度等審議会は実施を強く求める姿勢を崩していません。その1つが、要介護1・2一部サービスの総合事業への移行です…
11月28日の介護保険部会で、注目テーマである「給付と負担の関係」が議論されました。利用者側の各種負担増や給付制限にかかる論点では、全体的に見送りを求める意見が目立つ一方、「現役世代の負担増」への懸念から少しずつでも実現を求める意見も見られま…
介護保険部会の議論も大詰めを迎えましたが、今回は「地域包括ケアシステムの深化」にかかる論点から「財務状況等の見える化」を取り上げます。医療法人や社会福祉法人だけでなく、幅広い介護サービス事業者に財務状況の公表を求める流れとなる中、現場実務…
LIFE等で収集・分析される介護情報をめぐり、活用拡大の1つとされるのが「利用者自身の介護情報の閲覧」です。これにより、自立支援・重度化防止に向けた「セルフケア」を推進するのが目的です。現在開かれている介護保険部会でも、この狙いを示すとともに…
障害者総合支援法など、一括法の改正案が今の臨時国会で審議されています(精神保健福祉法や難病法など含む)。介護現場として注目したい改正点や、今後の介護保険のあり方を視野に入れたポイントなどを取り上げます。 「居住地特例」の対象に介護保険施設等…
11月14日の社会保障審議会・介護保険部会で、新たなサービス類型が提案されました。主に都市部のニーズを想定しつつ、通所・訪問サービス等を複合的に提供するというものです。狙いはどこにあるのか。また、実現される場合、たとえばケアマネジメント等にど…
介護保険をめぐる「給付と負担の関係」、財務省側が強く実現を求めている内容の1つが、「ケアマネジメントへの利用者負担の導入」です。やはり職能・当事者団体等からの反発が強いテーマですが、今後の展開はどうなるのでしょうか。議論を尽くすうえで押さ…
介護保険部会の「給付と負担の関係」にかかる論点は、いずれも議論が紛糾しています。中でも「要介護1・2の訪問・通所介護の総合事業への移行」については、業界・職能・当事者団体ともに強く反発し、財務省の審議会でも一部トーンダウンが見られ始めまし…
介護保険部会で論点となった「その他の課題」の中から、「介護現場の安全性の確保、リスクマネジメント」を取り上げます。2021年度改定では、介護保険施設においてリスクマネジメントにかかる基準強化(担当者配置)や、減算・加算が誕生しました。次の改定…
9月26日に開催された社会保障審議会・介護保険部会で、要介護認定のあり方がテーマに上がっています。論点の1つが、認定の遅れによるさまざまな支障を解消するための「簡素化」です。「AIによる特記事項チェック」などの実証実験も進む中、これからの要介…
2025年度末までに、(対2019年度比で)+約32万人の介護人材が必要とされています。ただし、生産年齢人口の長期的な減少により、当初のニーズに追いつくか否かは予断を許しません。そうした中、介護保険部会で取り上げられたのが「介護助手の活用」です。制…
ケアマネの業務範囲が不明確になりがちなのは、長年指摘されてきた課題です。どこで線引きをすべきなのか、現状の追認などによって業務範囲の変化が生じた場合、報酬上の評価はどうあるべきなのか。要介護世帯をめぐる状況も刻々と変化する中、2024年度改定…
労働力人口が減少する中、将来に向けた介護・福祉人材の確保は、国をあげてのテーマとなっています。国が力を入れている施策の1つが、社会に向けて介護・福祉の魅力を伝えていく「介護の仕事魅力発信等事業」です。現場からの「魅力発信」に関して、広い視…
多くの国民にとって唐突なイメージは拭えないでしょう。河野デジタル相が「現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカード(マイナカード)と一体化する」旨を発表したことです。この工程通りに実施された場合、どのような影響がおよぶでしょうか…
厚労省が、ケアマネ法定研修のカリキュラム見直し案についてパブリックコメントを募集しています(11月5日まで)。改正の概要内で注目したいのが、「適切なケアマネジメント手法」の内容が反映されていることです。特に「疾患別ケア」をめぐり、対医療連携…
公益社団法人「認知症の人と家族の会」が、介護保険の負担増に反対する署名活動を行なっています。オンラインと書面によるもので、オンライン署名(Change.org)は10月11日時点で4万人を超えています。こうした署名の集まりは、現在進んでいる介護保険部会…
10月3日から第210回の臨時国会が開かれています。コロナ禍からの経済回復はもちろん、ここへきて大きな課題となっているのが急速な物価高への対応です。さらに、疲弊している介護・医療現場への支援がどうなっていくのかも見逃せません。今国会の位置づけや…
2024年度からのケアマネにかかる法令・通知等の改正に向け、重要な論点の1つとなるのが「家族支援の強化」です。現場のケアマネ実務がどのように変わる可能性があるのでしょうか。たとえば、国が力を入れる「ヤングケアラー支援」などをもとに読み解きます…
介護保険部会における「給付と負担の関係」の論点をめぐり、さっそく議論が紛糾しています。特に「軽度者(要介護1・2)の生活援助サービス等の総合事業への移行」については、業界団体や利用者団体からの反発が強く、どうなるか予断を許しません。 身体介…
社会保障審議会・介護保険部会が、「給付と負担の関係」を議論する段階に入ってきました。9月26日の部会では、さまざまな論点ごとに、過去の同部会や財務省の審議会、各種閣議決定などでの指摘事項が示されています。押さえたいポイントをあげてみましょう…