田中元のニュース解説

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)
昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。
立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。
12月1日の介護保険部会で、「持続可能性の確保」のうち、2割負担者等の範囲、補足給付に関する負担のあり方、ケアマネジメントへの利用者負担という3つのテーマに関してさまざまな見直し案が示されました。 ソフトランディングを模索する厚労省 制度の「持続…
政府の「総合経済対策」の「医療・介護等支援パッケージ」にもとづき、2025年度の補正予算が編成されました。介護職員の賃上げは、1人あたり最大月1.9万円となります。一方、ケアマネもようやく処遇改善策の対象となり、月あたり1万円給付が実現の見込みです…
介護保険部会では、介護現場における事故や虐待・身体拘束の防止の推進策も議論されています。厚労省からは、事故報告書をケアの質向上に結びつけるフィードバックや不適切な身体拘束等を防ぐための規制強化の方向性なども示されました。ただし、現場にかか…
11月21日、政府が「『強い経済』を実現する総合経済対策」を閣議決定しました。これをベースとして、今国会に提出する補正予算が編成されます。注目の処遇改善策としては、「月あたり1万円(6か月分)」を期中改定までの「つなぎ」とする案が示されています…
ある程度予想されていたとはいえ、やはりショッキングな数字でしょう。厚労省が公表した、最新の介護職員等の処遇改善等調査結果の速報についてです。2025年と2024年のそれぞれ9月時点の基本給等(常勤・月給の者)の比較で、伸び率はプラス2.5%。対前年調…
介護保険部会で、中山間・人口減少地域等におけるサービス提供のあり方の議論が進んでいます。厚労省案では、特に事業所減少が著しい訪問介護等を対象に、包括報酬のしくみの導入や市町村事業によるサービス提供も上がりました。こうしたしくみは、ケアマネ…
「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」が取りまとめを行ない、具体的な制度化に向けた議論が介護保険部会に移っています。大幅な法改正も予測される一方、入居者の権利擁護が確実に図れるしくみとなるのかどうかが問われま…
「給付と負担の関係」にかかる論点のうち、軽度者(要介護1・2)の生活援助等のあり方について取り上げます。これを議論するうえでの焦点の1つが「認知症がある利用者」への影響です。訪問介護以外のサービスにも影響を与える可能性に注意が必要です。 要支…
介護保険部会では、政府の改革工程をベースとした「制度の持続可能性の確保」が引き続き議論されています。テーマの1つが、利用者負担における2割・3割負担の判断基準についてです。こうした議論で必ず打ち出される「応能負担」の考え方ですが、そもそも…
介護保険部会で、主任ケアマネの法令上の位置づけを明確化する案が示されました。現状の主任ケアマネが、事務的な管理業務に時間をとられ、現場のケアマネ指導等が十分にできていない等の指摘を受けたものです。具体的にどのようなものになるのでしょうか。 …
厚労省が、「ケアマネの更新制の廃止」を提案しました。同時に、現任者への研修も分割受講やカリキュラムの縮減などをかかげています。これらの実現に向け、クリアすべき課題はどこにあるのでしょうか。ケアマネの資質の確保・向上の観点も絡めつつ掘り下げ…
臨時国会で、新首相による所信表明が行われました。介護現場にとって気になる経営・処遇改善の支援も示されています。一方で、社会保障制度改革に関し、現役世代の保険料負担を抑える旨も示されました。仮に2号保険料等の軽減がなされた場合、現状の危機乗…
急速な物価高騰や混迷し続けた政局の影響などにより、介護現場はおろか地域の医療も崩壊の恐れが現実となりつつあります。現状の肌感覚では、来年度の介護従事者の減少等は驚くほど厳しい数字となるかもしれません。「人」を介護業務にとどめるため、処遇改…
次の制度見直しにおいて、ケアマネの業務負担軽減は重要課題の1つです。一方、地域の高齢者の「困りごと」はますます多様化し、そのニーズ対応も緊急課題となっています。両者をどのように両立させるのか、そのための体制づくりはどうあるべきなのか。地域…
2024年5月から2025年4月までの介護給付費実態統計の結果が公表されました。1年通しての動向としては、2024年度改定以降で初の統計となります。受給者数や費用額累計などのデータから、先の改定が制度利用にどのような影響をおよぼしているか注目します。 …
ケアマネの安定的な業務環境を確保するうえで、法定研修のあり方の議論は避けられません。厚労省は、研修の時間的・費用的負担の軽減に向け、オンラインによる全国統一的な教材作成などに乗り出しつつあります。現場が納得できる研修のしくみとなるでしょう…
与党・自由民主党の新総裁が誕生し、約2か月空白だった国会の再稼働にめどが立ってきました。本来であれば、一段と物価上昇や賃金格差が広がりがちな10月を前に、介護・医療への迅速かつ手厚い支援が必要でしたが、その分の巻き返しは可能でしょうか。 2026…
介護保険部会で「給付と負担のあり方」が議論され、「ケアマネジメントへの利用者負担導入」も論点に。これまで見送られてきたテーマですが、次期改正でどうなるでしょうか。厚労省は「導入された場合の影響」の調査などを実施する予定ですが、多岐にわたる…
厚労省より、2024(令和6)年度老健事業による「ケアプラン点検項目」等の更新についての通知が出されました。「ケアプラン点検」をめぐる研究事業については、2021年度から継続的に実施され、2022年度には「ケアプラン点検項目」等も策定されています。今…
介護従事者をめぐる勤務環境が、日増しに厳しくなっています。カスタマーハラスメントや事業所・施設内の人間関係の軋轢、人手不足によるストレス増加など、他業界に比べても状況の悪化は目立ちます。個々の法人によるサポートだけでは限界もある中、地域に…
住宅型有料老人ホーム等での「囲い込み」問題などにどう対処するか。あり方検討会が検討の方向性を示し、介護保険法や老人福祉法の大幅な改正も視野に入ってきました。ケアマネの独立性担保の議論も出ている中、具体的にどのような対策が想定されるでしょう…
ケアマネの採用状況が厳しい中、事業所として人材確保を効果的に進めるには、どのような方法が考えられるでしょうか。現時点で「できること」は限られるかもしれませんが、少しでも労働市場から注目を集めるための働きかけについて戦略を練ることが求められ…
2021年に「適切なケアマネジメント手法」の手引きが公開されてから、4年が経過しました。今年9月には老健事業の一環で、「疾患別ケア」についての新たな手引きや「実践ガイド」が示されています。ただし、これを「活かしきる」うえでの課題も少なくありま…
人口減少等地域でのサービス提供体制のあり方の議論が進んでいます。厚労省から輪郭は示されましたが、人員基準等の弾力化や柔軟化、包括報酬の導入、市町村事業でのサービス実施など、いずれも「サービスの質の担保」という課題が、最後まで付いて回りそう…
今内閣の退陣により、次年度予算編成はともかく、想定される期中改定までの「つなぎ」施策の行方が見通せなくなりました。この状況は、処遇改善加算のない居宅介護支援にとって特に深刻です。ケアマネ不足が進行する中、現場として何をなすべきかを考えます…
全労連(全国労働組合総連合)が、介護保険制度の抜本改善と大幅な処遇改善を求める請願署名を募っています。注目は、請願項目に介護保険の財源構成の改編や、処遇改善にかかる財源のあり方が含まれていることです。 処遇改善を全額国庫負担とする「原点回帰…
2026年度の厚生労働省の概算要求では、ケアマネの人材確保や業務負担軽減が注目されています。地域のケアマネジメント体制の強化や処遇改善に関する詳細な取り組みを解説します。
今年も新年度(2026年度)予算の概算要求が示されました。予想される期中改定は、その動向がまだ明らかでないため今概算要求時点では反映されていません。あくまで給付以外での現場支援の上乗せが焦点です。今回は、特に存続が危ぶまれる訪問介護に着目しま…
介護報酬上でLIFE対応加算が誕生してから、4年以上が経過しました。次期定期改定では、訪問系サービスにも適用される可能性もあります。気になるのは、LIFEを導入し対応加算を算定している事業者・施設が、現場のケアの質向上へ真に活かせているのかどうか…
ケアマネの年齢層が年々上がっている様子は、厚労省の審議会データや先の介護労働実態調査でも明らかです。この状況が続くことで、ある時期から「ケアマネのリタイア」が集中する懸念も指摘されています。若年世代のケアマネを増やすための処遇改善は当然と…
2024年度の介護労働実態調査の結果には、首を傾げるケアマネもいるかもしれません。「ケアマネの採用率」が対前年度比で3.5ポイント超上昇し、増減率も介護職員+ホームヘルパーの1.9を大きく上回る3.6となったからです。ケアマネ不足が指摘されて久しいです…
介護事業所の経営状況が、危機的状況にあるのは周知の通りです。同様に注意する必要があるのは、地域の医療機関も厳しい状況に追い込まれていることです。対医療連携の環境も損なわれかねず、介護現場にとっては利用者の健康維持が厳しさを増す恐れもありま…
今夏参議院選挙で与党が大敗し、衆・参議院ともに過半数割れとなりました。これにより、一部野党が提出中の介護従事者等処遇改善法案等の成立や、期中改定による介護報酬引き上げの道筋がおぼろげながら見えつつあります。しかし、それで間に合うのでしょう…
外国人介護人材の受入れをめぐり、解決すべき課題はまだまだ山積しています。その様子を端的に示したのが、全国老人福祉施設協議会(老施協)の外国人介護人材対策部会が実施した2つの調査です。受入れにかかる新たなしくみ(育成就労制度)も間もなくスタ…
再び2024年度介護労働実態調査の結果について取り上げます。今回の焦点は、介護労働者の「直前の仕事を辞めた理由」についてです。事業者にとっては、現在勤務する従事者の離職を誘発させないため、どのような配慮が必要なのかを考えるヒントとなりそうです…
今年も、介護労働安定センターによる介護労働実態調査の結果が公表されました。今調査は、2024年度改定から半年後の10月に実施されたものです。今改定が、介護現場の働き方にどのような影響を与えたのか。調査結果からうかがえる状況を掘り起こします。 採用…
システム構築が進む介護情報基盤ですが、市町村による情報基盤連携の対応の遅れにより、全国的な運用は2028年度からとなりました。現場としては「まだ先」ですが、どのように向き合うことが求められるでしょうか? 介護情報基盤を軽視できない2つの理由 202…
「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」の取りまとめや、業界団体からの提案などで急浮上しているのが、訪問・通所介護の複合型サービスの創設です。2024年度改定時の議論では見送りとなった論点ですが、実際の展開には課題も付きまといます。 …
ケアマネ不足が加速する中、「担当できるケアマネがいない」など、いわゆる「ケアマネ難民」も顕在化しつつあります。長年の国の不作為がもたらした深刻な事態下で、どのような施策が求められるでしょうか。 現場ヒアリングにより改めて浮かぶ深刻事態 今年…
介護分野での外国人在留者数は約5.5万人(2023年12月から2024年3月データ)。今後も、介護現場での外国人就労者はさらに増えていくことは確実です。現場で外国人従事者との協働が日常の光景となる中、円熟の関係性を築くうえで必要なことは何でしょうか。 …
日本介護支援専門員協会が実施したケアマネの賃上げを求める署名は、7月3日時点で24万筆以上が集まっています。ケアマネの従事者数が(居宅以外も含めて)約18万3000人なので、現場従事者以外の署名も含まれていると言えます。この署名に実効性を持たせる…
介護現場での事故や虐待を防ぐうえで何が必要か。6月30日開催の介護保険部会では、この深刻化する課題が話し合われました。実態把握やその分析が重要なのはもちろん、事故や虐待につながっている現場の苦境に一刻も早く手を差し伸べることが不可欠です。 介…
7月20日が投開票日となる参議院選挙が近づいてきました。急速な物価上昇による国民生活の疲弊が大きな課題ですが、崩壊の瀬戸際にあえぐ介護現場への支援策がどうなっていくかも、社会全体で関心が高まっています。今回は、貴重な一票のあり方を考えます。 …
介護情報基盤とケアプランデータ連携システムが統合されることになりました。2023年の法改正で介護情報基盤の整備が制度化され、その時点から示されてきたビジョンですが、いよいよ実現へ踏み出したことになります。 データ連携システムの普及率は依然1桁台…
有料老人ホームのあり方を議論するうえでは、介護保険制度の「今」をもっと凝視する必要があるかもしれません。今回「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」が議論の整理案を提示しました。掘り下げると、居宅介護サービス側…
次の介護保険制度の見直しに向け、大枠のキーワードとなっているのが、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービスモデル・支援体制の構築」です。ただし、ピンと来ない人も多いかもしれません。たとえば、分野の枠を超えた体制構築を入口としながら、…
ケアマネ不足の要因が改めて示された──と思う人も多いでしょう。2025年3月公表の「居宅介護支援事業所における業務実態等に関する調査研究事業」報告書で、2024年度改定以降の処遇改善を「行なっていない」事業所が5割強に達したことです。処遇改善加算の…
政府の骨太の方針2025では、介護・医療分野等の処遇改善に向けた公定価格の引上げ等が明記されました。一方で、今年1月に複数野党が共同で国会提出した「介護・障害福祉従事者処遇改善法案」等は、1度も審議されず会期末後の閉会中審査となっています。 1…
規制改革実施計画での指摘を受け、要介護認定における一次判定プログラムの見直しに向けた調査・検討が行われます。ポイントは、現行の施設入所者データ基本で構築されているプログラムに、在宅介護サービス利用者のケア時間・ケア内容を加味すること。今後…
通信機能を備えた福祉用具について、介護保険の給付範囲の見直しが行われようとしています。これまでも、福祉用具の給付のあり方はたびたび見直されてきましたが、今回は今まで以上に大きな転機となるかもしれません。今回の見直し内容を整理しつつ、その先…