75歳以上の医療保険料を引き上げへ 社保審・部会で厚労省案

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社会保障審議会 医療保険部会(第156回 10/28)《厚生労働省》

厚生労働省は28日、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で高所得者が支払う保険料の年間の上限額の引き上げを社会保障審議会・医療保険部会に提案した。高齢者の世代内で能力に応じた負担を強化するためで、一定の収入がある高齢者の負担増に強い反対意見は出なかった。部会では年末に取りまとめを行う。

同制度の保険料は、被保険者全員が負担する「均等割」と、所得に応じて負担する「所得割」を半分ずつ賦課しているが、年間の保険料に賦課限度額(上限)を設けている。給付と保険料負担のバランスを失えば、被保険者の納付意識に悪影響を及ぼす可能性などがあるため。

賦課限度額は、制度施行の2008年度には50万円だったが、徐々に増加して現在は66万円に設定されている。ただ、世代ごとの1人当たりの負担については、後期高齢者の保険料は制度創設時と比べて1.2倍に増えているが、現役世代による支援金は1.7倍と、伸びがより大きくなっている。

こうした状況を踏まえ、厚労省は部会で、高齢者世代内で能力に応じた負担を強化する観点から、賦課限度額を引き上げることを提案。また、現在は1対1となっている保険料の均等割と所得割の比率について、所得割の比率を引き上げることも案として示した。

議論では、世代間の公平性の観点から、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)が「現役世代の1人当たりの保険料負担額の伸び率を後期高齢者の1人当たり保険料の伸び率と同程度以下になるようにしていただきたい」と要望。ほかにも、高齢者にも能力に応じた負担をしてもらうべきだといった意見が出た。厚労省は、賦課限度額をどれくらい引き上げるかは現時点で未定だと説明した。