介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会(第1回 4/10)《厚生労働省》
厚生労働省の有識者検討会は10日、市町村が運営している「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)を充実させるための議論を開始した。事業サービスの質の向上や多様な運営主体の参入といった制度・実務面で必要な措置などを議論し、夏ごろに中間整理を行う。その後、検討を加速化させるとともに、必要な対応を行う。
検討会では、総合事業の対象者モデルの検討と地域のデータの把握を踏まえた多様なサービスの整備も論点となるほか、住民も含めて多様な主体の参入を促進するための方策も議論する。さらに、中長期的な視点に立った取り組みの方向性として、▽総合事業への国民や市町村の理解の推進▽総合事業の実施状況を含む地域づくりの評価の視点-などについても話し合う。
検討会は今後、月1回程度のペースで開催。5月31日に開催予定の次の会合で、今後の総合事業の多様なサービスの担い手として期待される、民間企業や福祉サービス提供者などにヒアリングを行う予定。
10日の検討会では、江澤和彦構成員(日本医師会常任理事)が総合事業の詳細な実態が把握できていないとし、「見える化」を進める必要性を強調。総合事業に移行した要支援1・2の参加者のADL(日常生活動作)や認知機能がどう変わったかを分析するよう求めた。このほか、国民や市町村に理解してもらうため総合事業の目的を明確にすべきだとの意見も出た。
総合事業は、2015年の介護保険法の改正に伴ってスタートした。市町村が中心となり、地域の実情に応じて多様な主体が参画する事業で、さまざまなサービスを充実させることにより要支援者などへの効果的・効率的な支援を行うことを目指している。
社会保障審議会・介護保険部会が22年12月にまとめた介護保険制度の見直しに関する意見書では、総合事業の充実化に向けて包括的な方策の検討を早急に開始するとともに、工程表を作成した上で第9期介護保険事業の期間(24-26年度)に集中的に取り組んでいくことが適当だとの考え方を示していた。