
要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会(第4回 6/29)《厚生労働省》
厚生労働省の「要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会」は29日、市町村や都道府県による第8期介護保険事業(支援)計画の策定の本格的な着手を前に、最終的な議論を行った。同省が示した報告書の修正案に対して、「リハビリテーション指標」の医療計画上の位置付けや訪問看護事業所に所属する理学療法士などが提供するサービスに関する指摘があり、最終調整は田中滋座長(埼玉県立大学理事長)に一任された。報告書は一部修正の上、厚労省のウェブサイトで公表する予定。
・要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会(第4回 6/29)《厚生労働省》
同検討会では、第8期介護保険事業(支援)計画における訪問リハビリテーション事業所、通所リハビリテーション事業所、介護老人保健施設、介護医療院のリハビリテーションサービスの役割や整備目標について議論を重ねてきた。要介護者・要支援者が受けることができるサービスを市町村が把握し、地域差を均てん化するための「指標」などについて考え方をまとめる。
厚労省はこの日、リハビリテーション指標の位置付けについて報告書の修正案で図式化して示した。第8期の計画期間では、指標の構成や範囲について「ストラクチャー指標」と「プロセス指標」を優先し、「アウトカム指標」の提示をしないことや、指標の活用は地域資源の現状把握を中心とすることなどを表している。その上で、将来的な方向性として、アウトカム指標の項目を国が提示すること、訪問看護や地域リハビリテーション活動支援事業など4サービス以外にも指標を展開して、要介護者などに対する地域のリハビリテーション提供体制構築についてPDCAサイクルの好循環を回していくことなどを示している。
岡島さおり構成員(日本看護協会常任理事)は、要介護者などに対するリハビリテーション提供体制の地域差があることについて、「小規模市町村であれば人材確保が難しい。あるいは、利用者が少なくてサービス事業者が参入してきてくれない」といった側面による影響が大きいことを指摘。そうした自治体は、「訪問看護ステーションを整備することによってリハビリも提供し、医療的ケアにも看取りにも対応できるようなサービス事業所を整備している」ことから、「市町村の選択肢を狭めるような誤解が生じないように十分配慮する必要がある」と求めた。
今村知明構成員(奈良県立医大公衆衛生学教授)は、リハビリテーション指標について医療計画へも記載を求めていくよう提案した。
報告書ではこのほかに、市町村の事業計画策定者と地域の専門職や関係団体が共通認識を持ってリハビリテーションサービスに関するコミュニケーションをするための用語の定義などもまとめる。
また、検討会では報告書と併せて、保険者・都道府県に対して指標の意味やデータの見方、計画策定に当たっての活用方法などを示す「手引き」も取りまとめる。