介護キャリア段位制度、活用進まず 「インセンティブがない」との声も

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介護職員の実践的なスキルの向上を後押しする国の「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」− 。厚生労働省が昨年度に実施した調査の結果で、介護施設・事業所や自治体に必ずしも十分に活用されていない状況が改めて報告された。

ただ、制度に取り組んだ事業所からは一定の前向きな評価も得ている。今後、サービスの質を高めるツールの1つとしてうまく機能させられるかが課題だ。【Joint編集部】

介護キャリア段位制度は、個人の主観などによらない"共通のものさし"で介護職員の能力をレベル認定する人材育成プログラム。講習を受けたアセッサーらが個々の「できる度合い(実践的スキル)」を評価し、それを効果的なOJTなどにつなげてレベルアップさせる仕組みだ。

厚労省はシルバーサービス振興会とともに、今年1月から3月にかけて調査を実施。実際の活用状況などを尋ね、全国995の事業所、47の都道府県から回答を得た。

「介護技術の再確認ができた」。制度に取り組んだ事業所があげた効果としては、これが77.5%で最も多かった。このほか、

○ 自ら介護の内容を振り返り、気付きにつなげるようになった=53.3%

○ 根拠に基づく指導・助言ができるようになった=51.7%

○ 介護方法の標準化がはかられた=43.3%

なども目立っていた。また、86.8%が人材育成の観点から他者による評価の仕組みが「必要」と答えていた。

一方、全体の19.5%が「制度を知らない」、53.9%が「知っているがレベル認定者やアセッサーはいない」と回答。これをあわせると73.4%にのぼっていた。この割合は在宅サービスの方がより高く、訪問介護では86.5%、通所介護では91.6%を占めていた。

これほど顕著ではないが、十分に活用していないのは自治体も同じだった。

都道府県の6.3%が「制度を知らない」、51.1%が「知っているが事業所に積極的な活用を促していない」を選択。これから制度を施策に反映させていくか聞いたところ、29.8%が「あまり知らなかったため今後検討する」、42.6%が「反映する予定はない」を選んでいた。

「反映する予定はない」の理由では、「事業者にインセンティブが働かない」「現場からのニーズがない」「費用の割に効果が分かりづらい」「他の施策を優先している」などの声があった。

制度の活用を広げるために必要なことでは、「介護報酬上の位置付けの明確化」が68.1%で最多。以下、「成果に対する事業所への助成・支援の推進」が34.0%、「実施環境の整備に向けた助成・支援の推進」が29.8%、「成果に対する介護職員に紐づく補助・支援の推進」が27.7%と続いた。

調査結果のレポートではこうした状況を踏まえ、「介護の実践現場で制度が自走していくよう政策的に向けていくことが必要」と指摘されている。