熱中症予防、コロナ対策との両立呼び掛け 4学会が対応の手引き改訂

イメージ画像

「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)」について(7/15)《日本救急医学会》

新型コロナウイルスの感染が広がる中で熱中症への適切な対応を促そうと、日本救急医学会など4学会のワーキンググループは、2020年に作った予防や診断・治療に関する手引きを改訂した。新型コロナと熱中症の予防を両立させるため、職場や教室など人が集まる屋内では、自然な風の流れが生まれるように2方向の窓を開けて換気を適切に行いながら、エアコンの温度設定を調節することを求めている。

また、健常な成人がマスクを着用しても熱中症の危険因子になる「根拠はない」と指摘した。これは、若年の成人6人を対象に行われた研究結果が根拠で、高齢者や小児ではマスクの着用が危険因子になるかどうかの報告がないという。

手引きは日本救急医学会のほか、日本臨床救急医学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会で構成するワーキンググループが20年に初版を作った。改訂版には、その後の2年間で集められた新たな知見や、従来のエビデンスを反映させた。

新型コロナと熱中症の診断に関しては、いずれも多彩な全身症状を伴うため臨床症状のみから見分けるのは困難だとする一方、新型コロナに特徴的な症状として鼻汁やのどの痛み、せき(咳嗽)、嗄声、呼吸困難などを挙げた。

これらのうち、呼吸困難は熱中症でも起きることがあるが、熱中症の症状のうち、筋けいれんは新型コロナではほとんど報告されていないという。

新型コロナへの感染が疑われる熱中症の患者の治療として、初版の手引きでは、スプレーや霧吹きで全身の表面を微温湯で湿らせて扇風機やうちわで水分を蒸発させ、体表から気化熱を奪う蒸散冷却法を原則使用しないとしていた。

体表から水分が蒸発して発生するエアロゾルに患者の体表面や呼気中のウイルスが取り込まれ、広範囲に拡散するリスクを踏まえた判断だった。しかし、表面を40度に温めた人形に蒸散冷却法を行う実証実験では、人形表面の冷却効果が認められた一方、体表からの水分蒸発でエアロゾルは発生しなかった。このため改訂版では、蒸散冷却法でエアロゾルを介する「感染のリスクはない」とする一方で、患者が新型コロナに感染していた場合には会話などによる感染のリスクが残るため、これを避ける感染対策を継続する必要があるとした。

ただ、蒸散冷却法を特に推奨はせず、それぞれの医療機関で迅速に行える冷却法を選択するのが望ましいとしている。

 

 ※この記事の詳細はリンク先をご参照ください。

新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)