厚生労働省は、入院患者の家族等による付添いに関する実態調査結果を3日の中央社会保険医療協議会・総会に報告した。2021年10-11月の状況で、「病院側から依頼することがある」が33.0%、「医師の許可で認めることがある」が59.1%など、多くの病院が付添いを認めている状況が明らかになった。診療側、支払側の双方から、病院からの事前の説明が重要との意見があった。
入院時の家族などによる付添いは、療養担当規則で原則として禁止されている。ただし、患者の病状により、あるいは治療への理解が困難な小児患者または知的障害のある患者などの場合は、医師の許可を得て、家族などが付添うことは差し支えない。
調査は、都道府県別に大規模、中規模、小規模別に2施設程度を無作為抽出した300の病院と、各病院に21年10-11月に入院していた患者の家族など計3,000人(1病院当たり10人)を対象に実施した。回収率は、病院が29.7%、患者家族などは1.37%。
病院調査では「患者家族等の付添いは一切認めていない」と、療担規則を厳格に守っていることを示す回答は3.4%と少なかった(複数回答)。新型コロナウイルス感染症対策のため「現在は患者家族等の付添いは認めていない」は、51.1%と半数を超えた。
一方、「入院患者・家族等が付添いを希望した場合、医師の許可を得て付添いを認めることがある」は、59.1%とほぼ6割に達し、「入院患者の病状により、病院側から家族等に付添いを依頼することがある」も33.0%あり、多くの病院が家族などの付添いを認めていることが明らかになった。
「患者家族等調査」は回収率が低く、約6割が小児科だった中で、付添いを始めたきっかけは「病院側からの依頼」が53.8%で最も多く、付添いが必要な理由は「乳幼児または小学生以下だから」が60.5%で最多だった(いずれも複数回答)。
また、病院からの付添いに関する説明が十分かどうかでは、「非常にそう思う」39.5%と「ややそう思う」50.0%を合わせると、89.5%が十分だとした。
これらの結果について、診療側も支払側も回収率の低さを指摘し、参考として受け止める姿勢を示した。
その上で、日本医師会常任理事の城守国斗委員は「付添いの家族に丁寧な説明が必要との方向性は十分に理解でき、しなければならない」と指摘。病院からの依頼については、患者の不安が強い場合や容体の急変が考えられる場合に家族などが付添いを希望するケースが多いことを踏まえて行っているとの見方を示した。
支払側からは「事前に病院からどの程度の説明があるかがポイントになっていく」との意見があり、家族などが付添いを希望すれば個室になると言われ、経済的な負担の面からできないケースもあるとして、こうした実態も把握すべきとの意見もあった。
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