健康保険証を24年秋に廃止しマイナンバーカードと一体化 政府

イメージ画像河野大臣記者会見(10/13)《デジタル庁》

河野太郎デジタル相は13日、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化すると発表した。医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を考える際、マイナンバーカードをはじめとする基盤整備が必要になるとの考えも示した。

マイナンバーカードの保険証としての利用推進に関しては、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(6月7日に閣議決定)で、24年度中をめどに保険者による保険証発行の選択制を導入する方針を明記し、オンライン資格確認の導入状況などを踏まえ「保険証の原則廃止を目指す」としていた。

河野デジタル相は13日に開いた記者会見で、マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、将来的な医療の質や利便性の向上につながるとの考えを示し、マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認に対応したカードリーダーにも言及した。

具体的には、カードリーダーの申し込みが医療機関の8割を超えているが、システムの改修が必要なため、運用を開始したのは3割と「ギャップがある」とした。また、医療を受ける国民や医療を提供する医療関係者の理解が得られるよう、丁寧に取り組んでいく必要があるとの見解を示した。

健康保険証が廃止されることに、医療関係者・患者から不安や懸念の声が出ている。河野デジタル相の会見と同じ日に開かれた社会保障審議会・医療部会では、角田徹委員(日本医師会副会長)が「廃止するのであれば国民の理解を深めるため、国は丁寧に説明していただきたい」と要望。安部好弘委員(日本薬剤師会副会長)も「マイナンバーカードを作っていない高齢者から不安の声を聞いている。国民に対して分かりやすい対応をしていく必要がある」とした。

同日開かれた社会保障審議会・医療保険部会でも、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)が、健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化することは、日本における医療DXの推進につながるため、その方向性に賛成するとしながらも、「既に発行されている保険証については、廃止後、全て回収するのかどうか」「全て回収しない場合について、保険証の不正利用につながる恐れがあり、その確実な対処方法を期限までに確立できるのかどうか」といった懸念などがあるとした。