かかりつけ医機能をあわせもつ医療機関を都道府県が確認・公表

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全世代型社会保障構築会議(第12回 12/16)《内閣官房》

政府の全世代型社会保障構築会議は16日、「かかりつけ医機能」の発揮を促す制度の骨格を盛り込んだ報告書をまとめた。「かかりつけ医機能」が地域にどれだけ整備されているかを都道府県が把握できるように、医療機関からの報告制度の創設を盛り込んだ。「休日・夜間の対応」など複数の機能について、連携での対応を含めてカバーできる医療機関を「かかりつけ医機能」の担い手として都道府県が確認・公表することを想定している。

国は、2023年の通常国会での医療法改正を目指す。また、都道府県ごとの「医療機能情報提供制度」も拡充させ、患者が医療機関を適切に選択できるように支援する。

報告書では、「医療・介護制度の改革」「こども・子育て支援の充実」「働き方に中立的な社会保障制度等の構築」ごとに基本的な方向性と大まかな工程を示した。

医療・介護制度改革では、「かかりつけ医機能」のほか、出産育児一時金の増額など医療保険制度の見直し、医療法人改革を「足元の課題」に位置付けた。いずれも年内に決着させ、次の通常国会での関連法改正を目指す。医療・介護DX(デジタルトランスフォーメーション)などは「来年、早急に検討を進めるべき項目」とされた。

報告書を受け取った岸田文雄首相は、「足元の課題」とされた項目の法案作成を速やかに進めるよう厚生労働省に指示した。

「かかりつけ医機能」の制度整備では、医療機関・患者双方の手挙げ方式をベースにすることを明記した。財務省などが主張していた「かかりつけ医」の登録制・認定制は盛り込んでいない。その代わり、「かかりつけ医機能」の報告制度を作る。制度の大枠は、社会保障審議会の医療部会で年内に固める。

11月28日の医療部会で厚労省は、診療所の「かかりつけ医機能」の例として、外来医療の提供、休日・夜間対応、入退院の支援、在宅医療の提供、介護サービスなどとの連携の5つを挙げた。このほかの「かかりつけ医機能」の有無、機能ごとの中身について今後詰める。

厚労省案によると、医療機関がそれらの機能ごとに、▽単独で提供可能▽連携で提供可能▽担う意向はあるが現時点では提供できない▽担う意向なし-のどれに該当するかを都道府県に報告する。都道府県は、単独か連携かにかかわらず、これらの機能を提供できる医療機関を「かかりつけ医機能」の担い手として確認・公表する。24-25年度ごろ報告を始め、「かかりつけ医機能」の底上げを地域ごとに議論する。

今回の報告書では「かかりつけ医機能をあわせもつ医療機関を都道府県が確認・公表できるようにすることが重要」と、素案の段階よりも踏み込んで記載した。提供する「かかりつけ医機能」の内容を医療機関が書面などで患者に説明するスキームも明記した。「継続的な管理が必要」と医師が判断した患者を対象に想定している。

一方、医療機能情報提供制度は厚労省案によると、情報提供の内容や方法については23年夏をめどに固め、24年度以降に運用を始める。都道府県ごとに情報提供する現在の仕組みから全国統一のシステムでの提供に切り替える。