介護ロボットなどの導入でインセンティブ求める意見 社保審分科会

イメージ画像

社会保障審議会 介護給付費分科会(第215回 3/16)《厚生労働省》

社会保障審議会の介護給付費分科会は16日、介護施設・事業所の3割が介護ロボットの一種の見守り支援機器を既に導入しているとする調査研究の結果を了承した。この研究では、介護ロボットやICT機器の導入に当たって高額な費用が障壁になっていることが明らかになっており、複数の委員が報酬の加算といったインセンティブの付与や補助金の増額を検討するよう求めた。

厚生労働省が2022年度に実施した調査研究事業によると、回答した4,842カ所の介護施設・事業所のうち、30.0%が見守り支援機器を既に導入していた。また、入浴支援機器を導入済みの施設や事業所は11.1%、介護業務支援機器では10.2%だった。

介護ロボットを導入していない施設や事業所に理由を聞いたところ、「訪問系」の40.0%、「通所系」の55.5%、「入所・泊まり・居住系」では64.6%が「導入費用が高額」と回答。また、ICT機器やソフトウェアなどを導入していない場合の理由についても、いずれの類型も5-7割の施設・事業所が導入費用の負担が大きいことを挙げた。

介護ロボットやICTといったテクノロジーを介護の現場でさらに導入・活用すれば、職員の業務の負担軽減や効率化、生産性の向上につながることが期待されている。

分科会の議論では、その導入・活用を介護現場で促進する方向性に異論はなかった。研究事業で明らかになった課題を踏まえ、古谷忠之委員(全国老人福祉施設協議会参与)が「導入費用の補助金の増額や加算などによるインセンティブの検討を進めてほしい」と厚労省に要望した。

吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も、インセンティブの付与や補助金の引き上げといった支援策により、介護分野でのテクノロジーの活用を進める必要性を強調。このほか、導入に伴う好事例を現場に共有すべきだとの意見も出た。