介護処遇改善3種類の加算、一本化求める声相次ぐ 社保審・分科会

社会保障審議会 介護給付費分科会(第223回 9/8)《厚生労働省》

介護現場で働く人たちの処遇を改善するための議論が8日、社会保障審議会・介護給付費分科会で行われ、処遇改善加算などをできるだけ多くの事業所に活用してもらうための方策が論点となった。現在、処遇改善関係の加算は3種類あるが、加算の取得のための事務手続きが煩雑だとの指摘が以前からあり、この日も委員からは一本化を進めてほしいとの声が相次いだ。

3種類の加算は、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」。

それぞれの加算の取得状況は、4月サービス提供分の集計で、介護職員処遇改善加算が93.8%、介護職員等特定処遇改善加算が77.0%、介護職員等ベースアップ等支援加算が92.1%となっている。こうした加算のうち、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している施設・事業所の介護職員(月給・常勤の者)の基本給等は、取得前と取得後を比べると1万60円(4.4%)増加していた。

その一方で、22年の賃金(賞与込み給与)は、全産業平均の36.1万円に比べて介護職員は29.3万円と、6万8,000円の差があった。賃金水準の低さなどを背景に、介護分野の有効求人倍率は全職業より高い水準を推移している。

こうした現状について、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、22年の「医療、福祉」の入職超過率が統計を取り始めて以来初のマイナスになったことに言及。「物価高騰にはさらなる緊急の支援が喫緊の課題」とし、基本報酬を引き上げるよう求めた。介護職員等特定処遇改善加算の取得率が70%台にとどまっている点にも触れ、さらなる精査を行って課題を分析する必要があるとした。

また分科会では、介護職員等ベースアップ等支援加算の届け出を行わなかった事業所に理由を尋ねた調査結果も示された。「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑」だとする回答の割合が最も高かった。このような状況を踏まえ、複数の委員から、3つの加算を一本化して事務手続きを簡素化し、事業所の負担を軽減すべきとの意見が出た。

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【資料1】介護人材の処遇改善等

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