認知症GHの夜勤体制緩和、条件満たす事業所はわずか 厚労省調査

社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会(第27回 9/21)《厚生労働省》

厚生労働省は、3ユニットの認知症グループホーム(GH)の夜勤職員体制の緩和が2021年度の介護報酬改定で行われたものの、その条件を満たす事業所がわずかしかないとする調査研究事業の結果を21日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会「介護報酬改定検証・研究委員会」で明らかにした。

21年度の報酬改定では、認知症GHの夜勤職員体制について、3ユニットの場合には一定の要件の下で例外的に夜勤2人以上の配置を選択できるように見直した(参照)。利用者の安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図るのが目的。

一定の要件は、3ユニットの場合で、▽それぞれのユニットが同一階に隣接▽職員による円滑な利用者の状況把握▽速やかな対応が可能な構造▽安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)-の全てを満たしていること。こうした見直しの影響を把握するため、厚労省が全国にある3ユニットのグループホームの事業所に調査を実施。8月10日までに190事業所から回答を得た。

ユニットの配置状況について、「3ユニットが同一階にあり、すべて隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造」に該当する回答した事業所が6.8%しかなかった。一方、86.3%が「当てはまらない」と答え、ほかは無回答だった。

また、「3ユニット2人夜勤体制」を導入していない事業所に理由を聞いたところ(複数回答)、算定要件に関することでは「構造上の問題で要件に該当しない」が57.4%で最も多かった。

一方、職員に関することでは「夜勤職員の身体的負担が増える」「夜勤職員の精神的負担が増える」が最多で共に67.4%を占めた。また、「非常災害時や利用者の急変時には、ユニットごとに1人以上の夜勤職員での対応が必要であるため」(60.5%)も多かった。

議論では委員から「ネガティブな影響が出ている」といった指摘や、「3ユニット2人夜勤体制で行った時に見守り機器などでどれくらいカバーできるかが課題になってくる」との意見が出た。

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【資料1-5】(5)認知症グループホームの例外的な夜勤職員体制の取扱いの施行後の状況把握・検証、必要な対応の検討に関する調査研究事業の速報値(案)

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