医療・介護・保育分野の職業紹介、てこ入れへ 厚労省

社会保障審議会 医療部会(第106回 2/9)《厚生労働省》

医療・介護・保育分野の人材確保を支援するため、厚生労働省は、優良な民間事業者を認定する際の基準として紹介先を6カ月以内に離職した場合に手数料を返還する「返戻金制度」の導入を追加することや、ハローワークごとの職種別の就職実績を公開するなど、順次てこ入れを行う。

厚労省職業安定局の担当者は、社会保障審議会の医療部会が9日に開いた会合で、官民の職業紹介の機能を強化することで、3分野の人材確保の支援を進める方針を説明した。

医療・介護・保育3分野の職業紹介を巡っては、民間事業者を利用する際、高額な手数料の請求や、紹介された職員が採用後に短期間で退職するケースが問題視されている。

そうした中で国は職業安定法や関連の指針を2017年に改正し、紹介手数料などの開示を事業者に義務付ける一方、採用後2年間は転職勧奨を禁止するなどした。さらに23年11月には、3分野の紹介手数料の平均値・分布や、採用後の離職率などのデータを地域や職種ごとに集計し、公表した。

厚労省職業安定局の担当者は9日の医療部会で、優良な民間事業者を認定する「適正事業者認定制度」の基準として、紹介先を6カ月以内に離職した場合の返戻金制度の導入を追加する方向で検討を進めていることを明らかにした。認定基準の年度内の見直しを目指すという。

さらに、職種別の就職実績をハローワークごとに集計し、年度内に公開することも予定しているといい、担当者は「各分野の所管部局と連携しながら、官民の職業紹介の機能を強化して人材の充足・定着支援に引き続き取り組みたい」と説明した。

加納繁照委員(日本医療法人協会会長)は意見交換で、看護師1人の紹介に100万円近い手数料を請求されるケースがあることを明らかにして、各都道府県の看護協会が運営する看護職の無料職業紹介事業「ナースセンター」へのてこ入れを求めた。

また、同じ地域に同じ職種に紹介手数料に格差があることを指摘する意見もあり、厚労省は、エリアごとの需給バランスや、ハローワークの存在感の違いなどが手数料の水準に影響している可能性があるという見方を示した。

その上で、求人側が適切な紹介事業者を選択できるように、手数料や離職率などのデータを事業者ごとに「見える化」する方針を説明した。

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資料4 その他(医療・介護・保育分野における職業紹介事業について)

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