予防訪問看護や予防通所リハの動向に注意。 介護予防支援に広がる「これからの課題」

2024年度から、居宅介護支援が予防支援の事業者指定を受けられることになりました。また、予防支援の基本報酬も引き上げられ、逓減制にかかる取扱い件数の算定法も緩和されています。気になるのは、予防給付のサービス調整を適切に行なうための資源状況です。予防支援を左右する課題も見え隠れします。

予防訪看は前回改定で頻回・長期評価見直し

予防訪問・通所介護は総合事業に移行しており、その資源の動向も気になりますが、ここでは予防給付サービスの状況を確認しましょう。注目したいのは、その時々の報酬改定等が予防給付サービスに与える影響です。

予防給付サービスの受給者で多いのは、介護予防支援や福祉用具貸与ですが、通所や訪問によるサービスでは、通所リハビリと訪問看護が目立ちます(介護給付費実態統計より)。介護予防が適切に進むかどうかは、両サービスの状況に目を凝らすことが必要です。

まず予防訪問看護ですが、2021年度に厳しい改定が行なわれました。基本報酬は引き上げられたものの、1日に2回を超えた訪問について、1回あたりの減算が「10%⇒50%」と拡大しました。また、12か月超の利用についても、1日5単位の減算となります。頻回・長期のサービス提供への評価が制限される中、要支援者の療養面での重度化防止がどうなっていくのか、今でも懸念材料となっています。

2024年度改定で予防通所リハはどうなる?

2024年度改定でテコ入れが図られたのが、予防通所リハビリです。もともと同サービスも、12か月超の長期利用に減算が設けられていました。それが以下のように変わりました。

まず、「減算を行なわない」規定が設けられたことです。その要件は、(1)3か月に1回以上、リハビリ会議を開催し、その内容を記録すること。(2)利用者の状況に関する情報を会議の構成員で共有し、利用者の状態の変化に応じてリハビリ計画を見直していること。(3)リハビリ計画等の情報をLIFEし、フィードバックを受けてリハビリの有効な実施のために活用していること──となります。

注目は、やはり(3)でしょう。それがなされてないと「減算」となる点で、実質的にLIFE活用が基本報酬の要件、つまり「長期利用に際しての基準化」がなされたことになります。これは、予防訪問リハビリも同様の扱いです。
ちなみに、上記の(1)~(3)がなされない場合の減算幅はきつくなりました。要支援1で「1月20単位減算⇒120単位減算」、要支援2で「月40単位減算⇒240単位減算」(訪問リハビリも、「1回5単位減算⇒30単位減算」)という具合に、6倍減算となっています。

要支援者の重度化防止に影響がおよぶ可能性

一定の取組みを行なっていれば「減算はない」というインセンティブ上のメリハリがついたとはいえ、これがサービス提供にどのような影響をおよぼすのかは計り知れません。仮に予防給付資源の縮小につながることなれば、要支援者の重度化防止をどこで担保するのかという議論が高まるかもしれません。

なお、予防リハビリ系サービスでは、さらに2つの見直しが行われています。

1つは、予防訪問・通所リハビリともに月120単位だった「事業所評価加算」が廃止されたことです。これは、要介護認定期間が延びたことを受けての改定ですが、国が力を入れているアウトカム評価をなくしたことで、2027年度改定に向けては、「代わりの評価」が議論として浮上する可能性があります。

もう1つは、予防通所リハビリにおいて、運動器機能向上加算が廃止されたこと。さらに選択的サービス複数実施加算も廃止され、代わって運動器機能向上と栄養改善、口腔機能向上を一体的に評価する「一体的サービス提供加算(月480単位)」が誕生しました。今改定の大きなテーマである「リハビリ(機能訓練)・栄養・口腔の一体化」という流れを予防リハにも導入したものといえます。

要支援者の在宅生活の継続は実現できるか?

要支援者であっても、たとえば認知症日常生活自立度が、日常の服薬管理などが難しいIIb以上の人が一定程度いることが確認されています。そうなると、家族としては、「まずは予防訪問看護や予防通所リハビリなどを利用しながら、本人の健康状況を整えたい」という意向も大きいと思われます。

ところが、その意向を叶える資源が今後どうなっていくのかが読み切れないとなれば、予防ショートや予防特定施設の短期利用などの活用ニーズも高まるかもしれません。その場合、本人の在宅生活の継続に影響がおよばないか(ショートから帰ってきて、家での生活リズムを取り戻せるのか)という懸念が、予防給付全体で高まる恐れがあります。

今後、現場のケアマネとして介護予防支援を手がけるケースは増えてくることが想定されます。その場合、予防給付サービス全体の改定に気を配りつつ、「利用者の在宅生活の継続」という観点での予防マネジメントのあり方を見直すことも必要になりそうです。

事業所から、(「要介護になること」を見すえた顧客確保という観点から)積極的に予防支援を受けなさい──という指示が強まる可能性もあるでしょう。そうなったとき、現場のケアマネとしては「今までと資源の状況が変わってきている」という点を、まず事業所全体で共有することが求められます。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。