特例要件となる連携システムの「利用」。 連携実績の必要性がもたらす課題とは?

2026年6月から、期中改定による新たな処遇改善加算が適用されます。介護報酬上の加算としては、居宅介護支援や訪問看護なども初めて対象となります。注目は、算定に向けたカギとなる2026年度の特例要件です。その中の「ケアプランデータ連携システムの利用」をめぐる課題について取り上げます。

連携システムの「利用」とはどういう意味か

2026年度の特例要件は以下の3つとなっています。

  • (1)居宅系等については、ケアプランデータ連携システムを「利用」していること。
  • (2)施設・居住系等については、生産性向上推進体制加算IまたはIIを算定していること。
  • (3)事業所の所属法人が社会福祉連携推進法人に属していること、です。

このいずれかを満たすことで、キャリアパス要件の一部や職場環境等要件については、2026年度中は実現の「誓約」でOKとされます。さらに、新たに処遇改善加算の対象となる居宅介護支援等では、加算IVに準じる要件、もしくは2026年度の特例要件((1)または(2))を満たすことの選択要件となります。

居宅介護支援等では、すでに(1)などを満たしているケースもあるでしょう。ここで注意したいのは、ケアプランデータ連携システムの「利用」が要件となっている点です。

ちなみに、2025年度の補正予算による処遇改善補助金の要件では、ケアプランデータ連携システムへの「加入」となっていました。実際にシステムを活用した「連携」が行われているかどうかは問われていません。

対して2026年度改定の処遇改善加算では、「加入」に加え「実績報告書」において「利用実績について記載する」ことを求めています(2026年度中に「利用」することを誓約したうえでの利用実績の報告でOK)。

使用画面のスクリーンショットで確認も?

上記については、疑義解釈(Q&A)の第1版でも明記されています。ともあれ、2027年3月末までには、地域の居宅系サービス事業所1か所以上との間で、ケアプランデータ連携システムを実際に活用したデータのやり取りを行なうことが必要となります。

なお、この利用の実績については報告にとどまり、確認等の添付資料を一律で求められてはいません。ただし、指定権者からの求めがあった場合には、(利用していることの)根拠資料の提出が必要です。具体的には、PC上等での使用画面のスクリーンショット(データ送信・受信の記録が分かるように撮影されたもの)などとなっています。

ところで、2024年度改定では、居宅介護支援費IIの算定要件として、やはり「ケアプランデータ連携システムの活用」が必須要件とされました。この「活用」の定義ですが、留意事項によれば「利用申請したうえでクライアントソフトをインストール」していればOKとされています。これとの比較でも、居宅介護支援事業所にとって、処遇改善のハードルは1ランク上がったことになります。

地域によっては処遇改善に不公平感も?

問題は、地域において普段から連携している居宅系のサービス事業者が、ケアプランデータ連携システムを「利用していない」ケースです。もちろん、1か所でも連携していればOKですから、「それほどハードルは高くない」という見込みもあるかもしれません。

とはいえ、サービス資源が乏しい地域において、ケアプランデータ連携システムを活用している事業所を探すのが困難というケースは、今も少なくありません。また、地域によって「ケアプランデータ連携システム以外のシステム活用」が主流となっている場合、これも要件充足の壁となることもあります。

後者については、今回の特例要件で「(ケアプランデータ連携システムと)同等の機能とセキュリティを有するシステム」も対象とし、3月13日時点で4つのシステムが挙げられています。今後もシステム評価検討会を通じて増えていくことが想定されます。

それでも、もっとも満たしやすい特例要件で不確定要素となりえます。地域によって処遇改善に不公平感が生じる可能性は無視できません。この点は、今年6月以降の算定状況で注視すべき点の1つと言えるでしょう。

連携する「相手」の状況に左右される問題

仮に、特例要件を満たすことが必須とされた加算I・IIのロ、そして新たに加算対象となった居宅介護支援等において、地域ごとの算定率で大きな差が生じた場合、サービス人材が他地域に流出する恐れも高まります。ケアプランデータ連携システムによる「実績」は相手の状況に左右されますから、自分の事業所だけではどうすることもできません。

気になるのは、たとえばサービス資源が不足しがちな地域において、居宅介護支援事業所が、(ケアプランデータ連携システムを導入している)特定の事業所にサービス依頼を集中させる傾向が高まる可能性です。これは中立公正にもかかわる課題ともなるでしょう。

また、ケアプランデータ連携システムを導入している事業所から「増収が進む」という流れも生じかねません。加算による増収とは別にもう1つのインセンティブが発生するわけで、この二重のインセンティブが、サービスの質と明確にリンクするのかが問われます。

本来的なサービスの質とは別の要因によって事業所の淘汰が進むとなれば、保険者や地域の職能団体としても、何かしらの対応が求められることになりそうです。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『ここがポイント!ここが変わった! 改正介護保険早わかり【2024~26年度版】』(自由国民社)、 『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。