貸与→販売やケアマネなど論点 厚労省、福祉用具の適正化策の検討を開始 

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《 17日の有識者会議 》

厚生労働省が介護保険の福祉用具貸与・販売の見直しについて話し合う有識者会議を新たに立ち上げた。17日に初会合を開催。サービスの適切な利用を担保しつつ給付費の抑制を図る方策など、極めて重要なテーマを俎上に載せる意向を示した。【青木太志】

福祉用具貸与・販売の制度のみにとどまらず、関係が深いケアマネジメントのあり方も論点として扱っていく。福祉用具のより安全な利用、事故の防止などに向けた手立ても併せて検討していく。

第1回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会に関する資料

今年夏にも中間的な整理を行い、それを社会保障審議会・介護保険部会などに示す方向で調整中。秋から佳境に入る2024年度の制度改正をめぐる議論に影響が及んでいく。政府・与党の最終的な意思決定は年末となる。

やはり給付費の抑制策が最大の焦点だ。財務省はこれまでの提言(建議)で、制度の持続可能性を高める観点から次のように厚労省へ要求してきた経緯がある。

◯ 歩行補助杖、歩行器、手すりなど廉価な福祉用具を貸与から販売に切り替え、ケアマネジメントの費用がかからないようにすべき

◯ ケアプランの内容が福祉用具貸与のみの場合、居宅介護支援の介護報酬を引き下げるべき

こうした主張には、保険料負担が更に重くなっていくことを警戒する経済界も強く賛同しており、政府に具体化を働きかけている。

一方、介護現場の関係者の間では慎重論が支配的だ。この日の会議でも、

◯ 貸与から販売へ切り替えると、状態像の変化に応じて適時・適切に福祉用具を使ってもらう機能が弱まる

◯ かえって利用者の重度化が進み、それが給付費の膨張につながる

◯ 結果として福祉用具貸与のみのケアプランになるケースでも、ケアマネは他の様々な支援を実施している

などの反論が出た。

厚労省の立場は、「利用者の自立した日常生活の支援と制度の持続可能性の確保、両方を考慮して検討していく」。突き詰めた賢明な施策を立案できるのか、今後の会議の進め方に大きな注目が集まりそうだ。業界では今のところ、コロナ収束後の厳しい財政状況から一定の給付費抑制策をとらざるを得ないのではないか、と睨む人が多い。