【石山麗子】なぜ福祉用具単品プランの報酬減が論じられるのか? ケアマネの存在価値を分かってもらうには

《 国際医療福祉大学大学院・石山麗子教授 》

財務省は4月13日、国の財政などを話し合う財政制度等審議会・財政制度分科会を開催した。長年議論し続けられているテーマが複数ある。ケアマネジメントもその1つだ。今年は福祉用具貸与のみのケースの報酬引き下げを実現するべき期限も示された(下に抜粋)。なぜ、福祉用具貸与のみのケースの報酬引き下げが提案されるのか。【石山麗子】

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抜粋:財政制度分科会において指摘された事項(※1)

福祉用具の貸与のみを行うケースについては報酬の引き下げを行うなどサービスの内容に応じた報酬体系とすることも、あわせて令和6年度(2024年度)報酬改定において実現すべきである。

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かつて居宅介護支援の基本報酬は、ケアプランに位置付けられたサービス種別の数の多寡によって評価された時期があった。サービス種別が多ければ手間がかかるという考えに基づく。この方式はわずか3年間で終わり、現在に至っている。

現在の基本報酬は、プロセスと手間を評価している。つまり、財政制度分科会は、福祉用具貸与のみのケースでは、手間は少ないという評価なのだろう。これはケアマネジャーの感覚とは乖離があるようだ。

ケアマネジャーは、他法に類をみない役割を果たしている。(1)定期的に、(2)居宅を訪問し、(3)生活全般に目を向けている。家に入れば本人や家族から語られずとも生活実態は目に入ってくる。面談をすれば家族も含めた生活課題が浮き彫りになる。

支援を必要とする家族構成員の存在などの第一発見者となることも多い。現に、福祉などの支援が必要でも十分な支援を受けていないケースを最初に発見したケアマネジャーは61.3%、うち地域包括支援センターにつないだのは7割を占めている(※2)。養護者による高齢者虐待の通報者は、警察に次いでケアマネジャーが2位(25.4%)である(※3)。

家の中は年々外から見えづらくなっている。新型コロナウイルス感染症の拡大は更に拍車をかけた。ケアマネジャーが実行上果たしている役割は、世帯も含めた危機対応や予防的対応であり、要介護高齢者の自立という枠を凌駕している。これがケアマネジャーの多くが感じる今日的なケアマネジメントであろう。

ケアマネジャーからみれば明らかなことにもかかわらず、このテーマが長く議論され続けるのはなぜか。筆者の想像の範囲にすぎないが、根底にあるのは価値の相違である。

もちろん国と国民を守ることは両者の共通目的に違いない。ただ、その実現に向けて選ぶ方策の判断基準は異なる。財務省は可視化された数字を重んじるが、生活実態は容易に数字にできない。しかし、それを打開することが尊厳あるケアの実現につながることであり、ケアマネジャーの存在価値を理解してもらう方法である。

※1 財務省:財政制度等審議会・財政制度分科会 2022年4月13日 資料1「社会保障制度」P79

※2 三菱総合研究所:令和元年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金 居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業

※3 厚生労働省:令和2年度高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果 資料2P11