多床室の室料負担導入を提言も時期には触れず 財政審建議

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令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》

財政制度等審議会は29日にまとめた2023年度予算の編成に関する建議に、介護分野の改革に関する提言も盛り込んだ。介護老人保健施設などの多床室の室料について利用者負担の導入への見直しを行うべきだと主張したが、実施時期には言及しなかった。ケアマネジメントの利用者負担に関しては、24年度に始まる第9期介護保険事業計画(次期計画)で導入することが「適切」との表現にとどめた。

介護保険制度では、05年度に食費と個室の居住費(室料と光熱水費)を給付対象外とする見直しが実施され、15年度には介護老人福祉施設の多床室の室料負担を基本サービス費から除く見直しが行われた。しかし、介護老人保健施設や介護医療院などの多床室については、室料相当分が保険給付の基本サービス費に含まれたままとなっている。

こうした状況を踏まえ、どの施設でも公平な居住費を求めていく観点から、財政審は給付対象となっている室料相当額を基本サービス費などから除外する見直しを行うべきだと主張している。

財務省は7日の財政審の財政制度分科会で、この見直しを次期計画の期間から実施するよう求めていたが、建議では具体的な実施時期には触れなかった。

また、ケアマネジメント(居宅介護支援)に必要な費用については現在、利用者に負担を求めていない。一方、介護施設で介護支援専門員が行う施設サービス計画の作成の費用は、基本サービスの一部として利用者負担が生じている。このため、財政審は施設と在宅の間で公平性が確保されていないと指摘した上で、次期計画でケアマネジメントに利用者負担を導入することが「適切」と提言した。

財務省は7日の分科会で「ケアマネジメントに利用者負担を導入すべきだ」と強調していた。

多床室の室料負担の見直しやケアマネジメントの利用者負担の導入は、社会保障審議会の介護保険部会でも議論されており、一部から反対意見や慎重な検討を求める声が根強くある。