社会保障審議会 医療部会(第94回 12/5)《厚生労働省》
厚生労働省は5日、公民館や郵便局など患者に身近な場所でオンライン診療を受けられるようにするためのルールの見直し案を社会保障審議会・医療部会に示した。医療が少ないへき地や離島に対象を限定し、医師が常駐しない診療所を公民館や郵便局内に開設することを原則とする内容。
ただ、厚労省案では、▽おおむね週2回以上反覆・継続して行われない▽おおむね3日以上一定の場所で継続して行われない-のどちらかに該当する場合は巡回診療の特例として、診療所の開設を不要とする取り扱いも盛り込んだ。代わりに、巡回診療の実施計画の届出を求める。また、医師が常駐しない診療所をどの公民館や郵便局に開設するかの判断には都道府県が関与することとした。
オンライン診療の適切な実施を促すために厚労省が作った指針では、患者がオンライン診療を受ける場所を病院や診療所などの「医療提供施設」か、自宅や養護老人ホームなど「患者の居宅等」に限定している。
これに対し、政府が6月に閣議決定した規制改革実施計画では、地域の公民館など患者にとって「身近な場所」でオンライン診療を利用できるように、へき地などに限定せずに見直しを検討することになった。
スマートフォンなどのデジタル機器に明るくない高齢者でもサポートを受けながらオンライン診療を利用できるようにすることで、新たな需要を生み出す狙いがある。2022年度中に結論を出すこととされている。
政府の規制改革推進会議は、医療へのアクセスを高めるため、オンライン診療を受けられる場所をできるだけ広げるべきだと主張しており、引き続き調整を進める。
角田徹委員(日本医師会副会長)は、オンラインから対面診療への切り替えに対応するため、医師が常駐しない診療所の開設を地域の医療機関に限定すべきだと主張した。