介護主体の社会福祉法人、21年度に40.1%が赤字 福祉医療機構調べ

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2021年度(令和3年度)社会福祉法人の経営状況について(1/17)《福祉医療機構》

介護サービスを中心に提供する3,289の社会福祉法人の4割超が2021年度に赤字だったとする集計結果を福祉医療機構が公表した。赤字法人の割合は16年度以降の6年間では最も高い。

福祉医療機構では、貸付先の8,351法人から提出された21年度決算のデータを集計した。業態別の内訳は、介護主体が3,289法人、保育主体が3,159法人、障害主体が1,360法人など。

集計結果によると、介護主体での赤字法人の割合は、20年度の33.3%から6.8ポイント上昇し、21年度は40.1%と4割を超えた。赤字法人の割合は16-20年度には30%台で推移していて、21年度はこの6年間で最高になった。

本業の介護サービスでどれだけ利益を得ているかを示す「サービス活動増減差額率」は平均1.7%だった。20年度の2.4%から0.7ポイント下がり、16年度以降では最も低い。

業態別の離職率は、介護主体が15.1%、保育主体が12.9%、障害主体が12.2%。8,351法人の全体では14.0%だった。介護主体では、「入職後1年未満」(4.9%)と「入職後1年以上3年未満」(4.0%)の離職率が3つの業態でいずれも最も高く、福祉医療機構では「人材定着に苦慮する状況がみてとれる」としている。

一方、20年度と21年度の介護主体3,000法人を対象に収支を集計すると、サービス活動に伴う21年度の収入は平均9億7,684.8万円で、20年度から1,550.8万円増えた。これに対し、費用は2,098.9万円増の平均9億5,898.6万円。費用の伸びが増収分を上回り、21年度は増収減益だった。福祉医療機構では、21年度に介護報酬のプラス改定(0.70%)が行われて増収になったものの、人件費のほか、物価高騰に伴うコスト増の影響で減益になったと分析している。