社会保障審議会 介護給付費分科会(第220回 7/24)《厚生労働省》
社会保障審議会・介護給付費分科会が24日開かれ、訪問介護の需要増が見込まれる中で職員の負担軽減につなげるため、デジタル化による業務効率化の取り組みを2024年度の介護報酬改定で評価するよう複数の委員が提案した。
厚生労働省によると、訪問介護の受給者は、09年4月の約77.7万人から、22年4月には約106万8,000人に増加し、今後も増える見通し。
また、訪問介護を担当する職員の平均年齢は54.4歳(21年10月時点)で、65歳以上が24.4%を占め、男女比は女性が77.7%を占めている。介護職員の22年度の有効求人倍率は、訪問介護が15.53倍で施設の3.79倍と比べて著しく高いほか、介護事業所の約8割が人で不足を感じていることも分かっている。
厚労省は、24日の分科会でこれらのデータを示した上で、訪問介護サービスを安定的に提供するための評価について議論を促した。
井上隆委員(経団連専務理事)は「今後の訪問介護サービスの需要が増大する一方で生産年齢人口が急減することを踏まえると、現在の延長線上だけで対応するのが難しくなってくる」と指摘した。その上で、訪問介護の利用の増加に伴って業務の効率化や職員の負担軽減が一層求められているとして「ICTを利活用するなどデジタル化によって効率化に取り組む事業所について投資する施策が望ましい」と述べた。
吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も、訪問系の介護サービスを効率的・効果的に提供する上で、ICT化の進展が有力な突破口になり得るという認識を示した。
処遇改善を求める意見も出た。石田路子委員(名古屋学芸大学客員教授)は、介護職員の処遇改善策が取られてきたものの、訪問介護では賃金が低いままだと指摘した。その上で「介護分野で処遇改善を考える時に真っ先に改善すべきは訪問介護だ」とし、経験が豊富な職員やスキルが高い職員を「きちんと評価すべきだ」と訴えた。