
社会保障審議会 介護給付費分科会(第229回 10/26)《厚生労働省》
社会保障審議会の介護給付費分科会は26日の会合で、大規模な通所リハビリテーション事業所の基本報酬を2024年度の報酬改定で見直す厚生労働省の対応案におおむね合意した。人員体制などによって評価にメリハリを付け、リハビリを充実させる狙いがある。
厚労省の担当者は分科会後の記者説明で、対応案は「人員体制などが手厚い大規模型は通常型の報酬に近づけていき、そうでない所は引き続きスケールメリットを考慮した評価体系にする」内容だと説明した。
通所リハビリなどは、事業所の規模や提供した時間に応じて基本報酬が設定されている。前年度の平均利用者数が月901人以上(いずれも延べ数)の「大規模型(II)」の事業所は、月750人以内の「通常規模型」よりも単価が低い。
例えば、7時間以上8時間未満の通所リハビリを要介護3の人に提供した場合、大規模型(II)は1回当たり973単位で、通常規模型の1,039単位よりも66単位低い。これは、大規模型の事業所が通所リハビリを提供する際のスケールメリットに着目した評価体系で、いわゆる「大規模事業所減算」とされている。
ただ、大規模型でも、利用者ごとのニーズに応じてリハビリテーションマネジメントを実施する体制などを充実させている事業所では、スケールメリットが限定的だと厚労省はみており、大規模型への評価で「一定の見直し」を行う対応案を分科会に示した。
東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、意見交換で、大規模型事業所への評価のメリハリを求めた。具体的には、リハビリテーションマネジメントの実施率が低く、職員の配置が手薄で、要介護度が低い利用者が多い事業所には、より厳しい減算を科し、その逆の事業所には減算をなくすといった、サービスの内容に基づいた評価の見直しを提案した。
江澤和彦委員(日本医師会常任理事)も「例えばリハマネ加算の算定率が高い所はしっかりと評価していくべきだ」と主張。提供するサービスの質が高い大規模型(I)と(II)の事業所は通常規模型と同じ評価にするよう求めた。
厚労省の対応案への反対意見はなかった。ただ、鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は、リハビリテーションマネジメントの実施体制を充実させている大規模型事業所のスケールメリットは本当に限定的になのか、データを示すよう厚労省に求めた。酒向里枝委員(経団連経済政策本部長)は「大規模型の基本報酬を見直す場合は財政面で膨らまないよう全体の見直しが必要だ」と釘を刺した。
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【資料3】通所リハビリテーション
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