
財政制度等審議会 財政制度等分科会 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
財政制度等審議会が21日に取りまとめた「春の建議」では、居宅介護支援に利用者負担を導入し、利用者から質の高いケアマネジメントが選ばれる仕組みにするよう求めた。
居宅介護支援の費用は現在、利用者に負担を求めていないが、財政審の建議では介護保険制度が創設されてから20年以上が経ち、ケアマネジメントに関するサービスの利用が定着していると指摘した。
その上で、本来なら利用者が負担すべきケアマネジメントの費用を現役世代の保険料で肩代わりし続けることは世代間の公平の観点から「問題がある」と主張。公正で中立なケアマネジメントを確保するため、質を評価する手法の確立や報酬への反映と併せて居宅介護支援への利用者負担を導入するよう求めた。
2023年12月に閣議決定された医療や介護など社会保障の改革工程では、ケアマネジメントに関する利用者の負担などを包括的に検討し、27年度までに結論を出すとされた。一方、日本介護支援専門員協会は、ケアマネジャーが過不足なく公正中立な支援を展開しているサービスの調整に支障が生じるなどとして、利用者負担の導入に反対の姿勢を示している。
財政審の建議では、人材紹介会社への規制の強化も求めた。人手が不足している介護事業者が民間の紹介会社を活用して人材を採用する際には高額の手数料を支払っているのが現状だと指摘した。また、人材紹介会社経由での採用では離職率が高いとする調査結果もあるとし、「安定的な職員の確保につながっているとは言い難い」としている。
その上で、人材紹介会社への指導・監督のさらなる強化に加え、医療や介護業界の転職者が一定期間内に離職した場合は手数料分の返金を求めるなど、実効性ある対策を検討するよう求めた。
介護関連ではほかに、▽特別養護老人ホームや通所介護などでの人員配置基準のさらなる柔軟化▽経営の協働化・大規模化の早急な実施▽利用者の囲い込みや過剰サービスへの対応▽軽度者への生活援助サービスを地域支援事業に移行すること▽介護保険2割負担対象者の範囲拡大の早急な実現-などを提言した。政府が6月に閣議決定する新たな骨太方針への反映を目指す。
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