物価高騰で賃上げの余裕なし、介護11団体が財政措置要望

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物価・賃金高騰対策に関する要望書(5/16)《介護系11団体》

物価が高騰する中、公定価格で経営する介護業界では一般企業と同程度の賃金引上げができず異業種への人材流出を招いているとして、介護関係の11団体は16日、2023年度中の緊急的な財政措置や24年度の介護報酬改定での対応を求める要望書を政府に提出した。要望書を提出したのは、全国老人保健施設協会や全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会など介護関係の11団体。

要望書では岸田政権が掲げる「インフレ率を超える賃上げ」を受けて、一般企業では30年ぶりの高水準の賃上げが報じられている一方で、介護事業所の現場では、日常の業務や新型コロナ感染者の対応に追われていることに加え、物価高騰の影響から「過去にないほどの厳しい経営状況に追い込まれている」としている。さらに、一般企業と異なり国で定める公定価格(介護報酬)により経営するため、改定を待たなければ賃金が上げられない状況だとした上で、「賃金引き上げまで行う余裕はない」と訴えている。

また要望書では、介護関係団体で緊急に調査したところ、23年度の賃上げ率が春闘の賃上げ率を大きく下回っていることや、22年度の離職者は前の年度より増加し、ほかの業種への人材流出を招いている状況だとしている。

そのため団体では、介護事業所でも一般企業と同程度の賃金引上げができるよう、23年度中の緊急的な財政措置や、24年度介護報酬改定における対応の実施を要望書にまとめ、岸田文雄首相に提出した。