人生最終段階の医療、医師2割「話し合いほとんど行わず」

イメージ画像

令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第3回 5/18)《厚生労働省》

人生の最終段階における医療・ケアに関する患者・利用者との話し合いの実施状況について、厚生労働省の調査で、医師の2割超が「ほとんど行っていない」と回答していることが分かった。18日に開かれた中央社会保険医療協議会と社会保障審議会・介護給付費分化会による意見交換会で示された。

厚労省のガイドラインでは、医療・ケアを受ける本人が医療・介護従事者などのチームと十分話し合い、本人による意思決定を基本に、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則だとしている(参照)。ただ、厚労省がこの日示した意識調査報告書(速報値)によると、話し合いの実施状況について「ほとんど行っていない」と医師の20.9%が回答したほか、看護師で26.4%、介護支援専門員では25.0%だった。

またガイドラインでは、本人が自らの意思をその都度示すことができるような支援を行い、家族なども含めて話し合いが繰り返し行われることが必要だとしている。時間の経過や心身の状態の変化などで本人の意思が変化することや、その意思を伝えられない状態になる可能性があるため。

調査では、話し合いをいつ行っているかの質問に、「人生の最終段階に限ることなく、日々の診察の中で話し合っている」と回答した医師が21.8%、看護師で19.5%、介護支援専門員では15.2%にとどまっていることも明らかになった。

厚労省はまた、本人の意思決定に基づいた医療・ケアを継続的に行うための家族や医療・介護従事者、関係機関も含めた情報共有の在り方について議論を促した。

意見交換では、多くの委員から連携が必要だとする声が上がった。古谷忠之委員(全国老人福祉施設協議会参与)は、「医療機関と特別養護老人ホーム等の介護施設の双方において医療情報や生活支援情報の伝達活用を推進するために診療報酬及び介護報酬に関連してインセンティブを設けること、また評価することを検討してほしい」と要望した。