社会保障審議会 介護給付費分科会(第226回 10/2)《厚生労働省》
日本作業療法士協会、日本理学療法士協会、日本言語聴覚士協会は、2日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会のヒアリングで、認知症の人への支援について、状態像に応じて早期からリハビリテーションを推進するよう求めた。
ヒアリングで日本作業療法士協会の山本伸一会長は、認知症の人への支援とリハビリテーションに関して、アルツハイマー型認知症の機能評価尺度に触れ「軽度アルツハイマー型認知症と称される状態では、IADL(手段的日常生活動作)の遂行でつまずくことが特徴」などと説明。作業療法士や理学療法士、言語聴覚士が関与することで、生活の維持や生活困難の改善が可能であることが示唆されていることなどを取り上げ、「認知症の状態像に応じて、専門職による支援体制の整備が必要となる」との考えを示した。
また、介護領域における作業療法士、理学療法士、言語聴覚士の従事者数が少ない要因の1つに「給与の問題がある」と指摘。「医療職の中でも給与水準がこの20年間横ばい状態であり、他の職種との伸び率の差が大きく生じている」とし、処遇が改善されなければ、優秀な人材の確保が困難となり、リハビリテーションの質の低下につながりかねないため、処遇改善加算のような「明確な仕組み」が必要と訴えた。
山本会長は、アルツハイマー型認知症の人へのリハビリテーションの評価・計画・介入について、服薬管理や在宅の実生活に即した環境調整の事例も説明した。服薬管理に関しては「うまくできないからといって、単に服薬ボックスやカレンダーを用意すればいいわけではない」と指摘。デジタル時計とカレンダーを組み合わせた環境調整や反復練習などにより、劣化した記憶機能を残存している遂行機能でカバーし、本人による服薬管理ができるようになった事例を紹介した。
在宅の実生活に即した環境調整に関しては「訪問によって、その人が生活する場面、使っている道具、作業の様子など実際に見て関わることが大切」などと説明。「こうした残存する能力を生かし、日常生活の活動を高める認知症リハビリテーションの実践は、認知症の方が自分らしく暮らし続けることができる社会に向けて寄与できる」との見解を示した。
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【資料10】日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会、日本理学療法士協会
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