ケアプランデータ連携システム稼働へ。 その先にあるLIFEとの関連に注意

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2022(令和4)年度の予算案で、ケアマネとして気になる項目の一つに、「ケアプランデータ連携システム構築事業」(2.7億円)があります。システム構築は2021年度から進められていますが、今回は本格的な運用に向けた環境整備が目指されます。現場のケアマネジメントにどのような影響を与えるでしょうか。

新システム稼働がICT導入支援にも影響を

ご存じの人も多いでしょうが、「ケアプランデータ連携システム事業(以下、連携システム事業)」をひと言でいえば、居宅介護支援事業所とサービス提供事業所との間で交わされるケアプランについて、統一されたシステムによるデータ共有を進めるものです。これにより、郵送やFAX、手渡し等の紙媒体による手間やコストが軽減されるほか、実績データの手入力の手間も省けることになります。

この連携システム事業の運用にともない、2022年度からのICT導入支援事業のしくみにも変更が加わりました。ICT導入支援事業といえば、介護事業所・施設での介護ソフトやタブレット等の端末、wi-fi機器などの購入費用を補助するもので、現場の業務効率化を推進するカギと位置づけられる施策です。

このICT導入支援事業では、「補助要件」として「記録→情報共有→請求」の一連業務が転記不要で実施される、さらに「LIFEによる情報収集・フィードバック」に協力していることなどが定められています。また、2020年度の第三次補正予算からは、「一定要件のいずれか」を満たした場合に「補助率を1/2→3/4」と引き上げる方策も加えられました。

新システムの利用でICT導入の補助率UP

上記の一定要件ですが、すでに「事業所間でケアプランの連携で負担軽減を実現していること」が含まれています。2022年度からは、ここにもう一歩進めた要件が加わりました。

それが、本格稼働する「ケアプランデータ連携システム」を利用することです。さらに、補助対象についても「ケアプランデータ連携システムの利用料」が新たに加わっています(2021年度全国厚労省部局長会議資料より)。

これを見ても、厚労省としては同連携システムについて、かなり力を入れている様子がうかがえます。ケアマネだけでなく、サービス提供側の実務負担の軽減を図るという目的に向けて、「次の一手」の位置づけが徐々にはっきりしてきたと言っていいでしょう。

気になるのは、この連携システムが本当に「ケアプランデータの共有にかかる実務負担の軽減」だけなのかという点です。

新インフラの活用が広がっていく可能性も?

たとえば、ケアプランのデジタルデータによる共有は、すでに事業所および地域単位で行なっているケースもあります。そうした状況も見られる中、あえて「全国一律の連携基盤」を構築する必要性はあるのでしょうか。

これについて、厚労省の2021年度の行政事業レビューシートでは、以下のように説明されています。それは「県域・市域をまたいで複数地域で連携する事業所・法人も少なくないこと」を理由としているものです。

確かに、広域での連携を想定すれば、全国統一の連携基盤が整っている方が合理的ではあるでしょう。ただし、そうした基盤が整った場合、そのインフラを活用した新たなしくみの浮上も頭に入れる必要があります。

それが、すでに全国一律で稼働している科学的介護推進システム、つまりLIFEとの関連です。たとえば、居宅介護支援事業所とサービス提供事業所との間で、統一基盤のもとでデジタルデータが共有できるとなれば、サービス提供側からケアマネに対して「LIFE提供情報やフィードバック情報」を提供するしくみとしても活用できる可能性があります。

ケアマネとLIFEの関係が論点となる中で…

そもそも、2021年度の基準改定では、居宅介護支援に対しても「LIFE関連の情報」を活用して、ケアマネジメントにおいて「PDCAサイクルを機能させる」という旨が努力義務として定められました。これを現場でさらに浸透させるとするなら、(たとえば2024年度改定などで)「サービス提供側からケアマネへのLIFE関連情報の提供を義務化する」といった流れも想定されることになります。

事実、居宅介護支援に対して、「LIFEデータのケアプラン見直し等への活用」に向けたモデル事業(アンケートやヒアリングの調査含む)が実施され、すでに分析・検証の段階に入っています。その結果、先の「LIFE関連情報」の共有の義務化に向けた議論が進むとなれば、その円滑な施行をどうやって担保するかが問われることになるでしょう。

そこで考えられるのが、先の「データ連携システム」の活用です。厚労省としては、相応の予算をかけて構築したシステムゆえに、できるだけ「活用ケース」を増やしたいと考えるはずです。そのためには、「省令による基準」で後押しするしくみを作ることが望ましいという展開は容易に想像できるでしょう。

考えてみれば、介護サービス情報公表システムも、「省令による基準」との結びつきが強まっています。2021年度改定で、居宅介護支援に新たに設けられた「サービス利用割合等の説明義務」でも、公表システム上での情報の公表が求められました。同様の流れは、データ連携システムでも考えられるわけです。

新システム稼働の先に、どのようなしくみが待っているのか。居宅介護支援事業所としては、注視しておく必要がありそうです。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『介護事故完全防止マニュアル』 (ぱる出版)、『ホームヘルパーの資格の取り方2級』 (ぱる出版)、『熟年世代からの元気になる「食生活」の本』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。