社会保障審議会 介護給付費分科会(第227回 10/11)《厚生労働省》
2021年度の介護報酬改定で受講が義務付けられた「認知症介護基礎研修」について、11日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会では、受講した人たちの半数近くがケアの知識を習得できたという調査結果(速報)の報告があり、委員からは「義務化の効果があった」とする肯定的な意見が出た。
認知症介護基礎研修は、認知症について理解をし、本人主体の介護を行う観点から、介護に直接携わり、医療・福祉関係の資格を持たない職員に受講させるための措置を講じることがサービス事業者に義務付けられた。3年の経過措置期間を経て、24年度からは完全施行される。
11日の分科会では、受講を義務付けた効果を検証するために行ったアンケートで、研修修了者(回収数3,008)と管理者(同1,934)から得た回答の分析結果が厚生労働省から示された。
それによると、修了者への調査に対する設問ごとの回答は、研修を受けたことで「ケアに関する知識を習得できた」という回答が全体の半数近い45.5%だったほか、「ケアに関する考え方が変化した」が44.5%、「ケア方法が変化した」が40.4%となった。
また、この研修を職員に受講させた理由を管理者に尋ねた項目では、「21年度の改定での義務化がきっかけ」だという回答が全体の82.4%と大半を占めた。
分科会に出席した正立斉委員(全国老人クラブ連合会理事・事務局長)は「管理者が研修を受講させた理由で報酬改定での義務化がきっかけという受動的な理由が多かったのは残念」だとしながら、修了した人の多くが「効果がある」という回答をしたことに「義務化の効果があったという結果」だと見解を述べた。
また古谷忠之委員(全国老人福祉施設協議会参与)も「研修を受講して効果が示されているという結果だ」との認識を示した。
一方で、この研修を受講した時間帯を修了者に尋ねると、「すべて業務時間外」(39.0%)と「業務時間内外」(14.4%)を合わせて全体の53.4%が業務時間外に受講していたほか、研修を受講する場所の確保が難しかったとする回答も7.9%あった。経過措置の期間が23年度末で終了することを踏まえ、委員からは「いまだに受講できていない職員がいるという事実もあり、未受講者への支援をお願いしたい」とする要望も出た。
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【資料1-6】(6)認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査研究事業の速報値
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