生鮮食料品店の近くに住むと介護費用抑制できる可能性 千葉大学

望ましい地域環境により介護費用が抑制できる可能性(4/12)《千葉大学》

千葉大学予防医学研究センターの研究チームは、居住地域の環境によって将来の介護費用に影響を及ぼす可能性があるとの研究結果を発表した。例えば、高齢者1万人が生鮮食料品店の近くに住むことで、その後の介護費用を年間約1.6億円も抑制できるという。

研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)のデータを使用。2010-19年の介護レセプトデータを結合可能な7市町(宮城県岩沼市、千葉県柏市、山梨県中央市、愛知県名古屋市、同碧南市、同常滑市、同武豊町)に居住し、10年時点で日常生活動作が自立していた65歳以上の高齢者3万4,982人(平均年齢73.5歳)を対象とした。

対象者の居住地域を▽運動や散歩に適した公園や歩道▽魅力的な景色や建物▽生鮮食料品店▽気軽に立ち寄れる家や施設-など8つの有無で分類し、追跡期間中に発生した累積介護費用を比較した。

その結果、追跡期間中に21.6%が介護保険サービスを利用し、生鮮食料品店が近くにある人は、ない人に比べて介護費用が1人当たり月1,367円低かった。これにより、高齢者1万人が生鮮食料品店の近くに住んだ場合、年間約1.6億円の削減が可能と試算している。

先行研究では、生鮮食料品店が多い地域で野菜や果物の摂取頻度が高く、要介護認定者の割合が少ないという報告もある。そのため研究チームは、生鮮食料品店へのアクセスのしやすさが健康管理に良い影響をもたらした可能性があると考察を提示している。

ほかに介護費用との関連が見られたのは2項目で、夜の一人歩きが危ない場所がある人はない人より介護費用が低く、気軽に立ち寄れる家や施設がある人はない人より高かった。

夜の一人歩きが危ない場所は、駅周辺の地域が多く、公共交通機関の利用のしやすさや生活の利便性が高いことが介護費用の低さにつながったのではないかと研究チームでは分析している。また、気軽に立ち寄れる家や施設がある人はフレイルを抑制しやすい傾向があるものの、飲食店が近くにある場合は肥満に関連することも報告されており、今回の研究では、そうしたネガティブな影響が表れた可能性を指摘している。


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望ましい地域環境により介護費用が抑制できる可能性

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