介護コラム

次の介護報酬改定をめぐる攻防が激化 今後を左右する「骨太の方針」の議論が山場に【斉藤正行】

《 全国介護事業者連盟・斉藤正行理事長 》 5月29日、財務省の審議会(財政制度等審議会)が政府の「骨太の方針」に向けた提言をまとめました。【斉藤正行】 毎年春に打ち出されるこの提言に、我々、介護事業者は戦々恐々としてきました。とりわけ今回は、次…

【衝撃】新たな人口推計が描く未来 介護保険制度は危機に瀕し、このままでは維持できない=高野龍昭

《 東洋大学 高野龍昭教授 》 ◆ 新たな人口推計のインパクト 4月26日、厚生労働省から「日本の将来推計人口(令和5年推計)」が発表されました。【高野龍昭】 これは5年ごとに推計・公表されるもの。今回は、2020年の国勢調査の確定数を出発点として全国の将…

経営者はケアマネに自社サービスを優先させないで 公正中立な自立支援のプラン作りを目指そう=田中紘太

《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》 今さら言うまでもないが、介護保険の基本理念は「尊厳の保持」と「自立支援」となっている。自立支援の概念は広く、単にADLや要介護度の改善だけを指すものではないと論じられることが多いが、今…

ケアマネの法定研修、法定外研修との連動も重要 資質向上へ求められる視点とは=石山麗子

《 国際医療福祉大学大学院・石山麗子教授 》 2024年度から介護支援専門員の法定研修を見直す厚生労働省は、先月17日に新たなカリキュラムの実施要綱とガイドラインを発出しました。【石山麗子】 とかくカリキュラム内容の変更に目を奪われがちですが、実は…

ケアマネ法定研修の見直し 「その人らしさ」を最期まで支えるマネジメント力を育もう【伊藤亜記】

《 株式会社ねこの手:伊藤亜記代表取締役 》 先月、仕事でお付き合いのある女性からお父様のケアマネジャーのご紹介をご依頼され、私がお繋ぎさせて頂きました。【伊藤亜記】 お父様は肺がん末期のご状態で、訪問診療も開始しておられましたが、状態が日々…

通所介護のニーズは変わった。5類になってもコロナ前には戻れない【小濱道博】

《 小濱介護経営事務所:小濱道博代表 》 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日から「5類」となった。対策が大きな節目を迎えた一方で、デイサービスなどの「稼働率が戻らない」という経営相談が増えている。【小濱道博】 ◆ 進む通所介護の二極…

介護現場もビジョンを持って伝えよう でも掲げるだけでは意味がない【山口宰】

《 社会福祉法人光朔会オリンピア・山口宰常務理事 》 新年度がスタートし、ひと月が過ぎました。ユニットリーダーや管理職に就任し、新たな仕事に奮闘している方もおられることでしょう。 チームを率いる存在になったとき、まず大切なのは「ビジョンを描く…

次の介護報酬改定、引き下げも十分あり得る 物価高騰だから報酬増、と楽観できない理由=斉藤正行

《 全国介護事業者連盟・斉藤正行理事長 》 次の介護報酬改定(2024年度)までいよいよ1年を切りました。これから具体的な議論が始まることになりますが、今年の年末ごろに決定される予定の全体の改定率について、どんな要素が影響を及ぼすか論考していきま…

「介護保険は黒字」「財源に余裕がある」は本当? 正しい財政システムの理解を=高野龍昭

《 東洋大学 高野龍昭教授 》 ◆ 全国紙にも踊る言説 介護保険制度は、財源の逼迫を最大の理由として制度の見直しが繰り返されています。【高野龍昭】 しかし一方で、「介護保険の収支は黒字」「財源には余裕がある」という意見も流布されています。更には、…

ケアマネは地域共生社会に欠かせない存在 法定研修の見直しを機に視野を拡げていこう【石山麗子】

《 国際医療福祉大学大学院・石山麗子教授 》 4月17日、厚生労働省は介護支援専門員法定研修カリキュラムの実施要綱とガイドラインを発出しました。【石山麗子】 カリキュラム案・ガイドライン案が発出されたのは去年の4月でしたので、そこからちょうど1年で…

ケアマネこそLIFE活用を推進すべき 次の介護報酬改定での早期対応に期待【田中紘太】

《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》 昨年12月、今後の介護保険制度の見直しを検討してきた社会保障審議会の部会が「意見書」をとりまとめた。【田中紘太】 ◆ 目立つ「適切なケアマネジメント手法」の記載 介護DX、科学的介護の展開、…

高齢者費用を少子化対策に使うな! 介護負担は子育て世代を苦しめる【結城康博】

《淑徳大学総合福祉学部・結城康博教授》 ◆ 社会保険の原理・原則は無視 現在、岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の財源について国会を中心に議論が活発化している。政府は6月にも方針を固める予定で、少子化対策の財源論は今まさに佳境に入りつつある…

入院して改めて痛感! 自立支援とQOL、環境整備の重要性【伊藤亜記】

《 株式会社ねこの手:伊藤亜記代表取締役 》 先月末に数日間、ポリープ切除のために病院に入院しました。【伊藤亜記】 数年前から経過観察をしていたポリープが、今年はじめの人間ドックで大きくなっていると分かり、病院の先生から「急ぐ必要はない」とは…

締め切り間近の処遇改善計画書、注意すべきポイントは? 今回から簡素化された、という幻想を捨てよ=小濱道博

《小濱介護経営事務所:小濱道博代表 》 介護職員の処遇改善に関する加算の計画書の提出期限が迫ってきた。今年度分から様式が変わり、かなりの部分で記載項目が簡素化されている。【小濱道博】 そのため、今年度から処遇改善関連3加算(*)の要件が大きく…

【まとめ】新年度は人材育成を見直す絶好の機会 介護現場で新人を伸ばす実践ノウハウ

《 社会福祉法人光朔会オリンピア・山口宰常務理事 》 4月になり、みなさんの事業所でも、期待に胸を膨らませた新入職員を迎えていることと思います。人材の確保や育成が難しくなっているいま、彼らをうまく育て導くことが、事業所を持続可能にしていくこと…