12月の急な退院でも慌てない ケアマネ在宅受け入れの「確認ポイント」共有ワークショップ 【特定事業所加算・週1回会議で活用】(協賛)

突然の退院調整のイメージ図

12月は、病院の年末年始体制や病床調整の影響で、「予定より早い退院」や、家族の準備が追いつかないまま在宅復帰となるケースが増えやすい時期です。医療ニーズや介護力不足といった課題を抱えたまま在宅受け入れが決まると、ケアマネジャーが限られた時間のなかで、サービス調整・福祉用具・住環境など多くの検討事項を一人で抱え込んでしまいがちです。

本記事では、「急な在宅受け入れ」を想定した事業所内ワークショップをご紹介します。調整が難しいケースを題材に、「在宅立ち上げ時に何をどこまで押さえるか」を共有し、急な退院でも迷わず動ける事業所の「型」をつくることを目指します。

このワークショップで得られること

  • 退院前に確認すべき情報(医療・生活・家族体制など)の優先順位を整理し、共通のチェックポイントを持てる
  • 在宅受け入れ時に整える内容を、「退院当日〜数日以内に必要なこと」と「落ち着いてから順次整えること」に分けて、段階的にイメージできる
  • 特定事業所加算の週1回会議などを通じて、事業所としての判断フロー(まず何を確認し、次に何をするか)を揃えられる

こんな事業所におすすめのワークショップです

  • 12月前後になると、退院調整の依頼が立て続けに来て毎年バタついてしまう事業所
  • 新人・中堅ケアマネの視点や判断にバラつきがあり、共通のものさしを持ちたいと感じている事業所 
  • 特定事業所加算の週1回会議や、15〜20分の短時間ミーティングでも扱える題材を探している事業所

12月の退院が増える今だからこそ、まずは今週の週1回会議でこのワークショップを一度試してみてください。急な受け入れ時に「まず何を確認するか」を共有でき、事業所としての判断フローが整い始めます。

12月の退院集中とケアマネの課題

データで見る「12月の退院ピーク」とその背景

厚生労働省が公表している「医療施設(静態・動態)調査・病院報告」では、病床種別の平均在院日数が年次で示されています。一般病床(急性期・急性期に近い医療を担う病床を多く含む)の平均在院日数は、この数十年で大きく短縮しており、かつて30日以上だった時期と比べて、直近では15日程度で推移していることが報告されています。つまり、「入院してじっくり状態を整えてから在宅へ」という従来の流れから、医学的にある程度安定した段階で早めに地域・在宅へつなぐことが前提になっている状況へと、病院の受け入れ・退院体制の構造そのものが変化してきたといえます。(図1)

令和6年(2024年)「病院報告 全国編 第12表(退院患者数,月・病院-病床の種類別)」の退院患者数の月別推移を見ると、一般病院における退院患者数が月ごとに顕著に異なり、12月が最も多くなっています。
一般病院では月平均約133万人のところ、12月は約145万人と各月の中で最多となっています。(図2)

これらのデータを合わせて見ると、「退院までの期間が全体として短くなっている」ことと、「その退院が12月に集中しやすい」ことが数字として示されているといえます。

平均在院日数の折れ線グラフ

図1 一般病床の平均在院日数の推移

月の退院人数棒グラフ

図2 退院患者数の月別推移(一般病床・令和6年) 

ケアマネが整理しておきたい2つの視点

12月は退院が集中しやすく、「退院支援の依頼が立て続けに入り、事業所がバタつく」という感覚を持っている方も多いと思います。忙しさを「仕方ない」で終わらせず、少しでも慌ただしさを減らしていきたいところです。

そのときに立ちはだかるのが、退院調整そのものの難しさです。退院調整は、限られた時間と情報の中で、「在宅で本当に大丈夫か」「どこまで整えば退院可能と言えるか」など、状態に応じた判断を次々と連続で求められます。

だからこそ、この判断を少しでもスムーズにするには、

判断の優先順位を明らかにしておくこと

在宅受け入れ時の段階(ステップ)のイメージを持っておくこと

が重要になります。

このあと紹介するワークショップは、この2点「判断の優先順位」と「在宅受け入れ時の段階イメージを、事例検討方式で身に付けていけるものです。

ケース検討(ワークショップ)の実践

このケース検討は、個別事例の「正解のプラン」を決める場ではなく、急な在宅受け入れの場面で、何をどの順番で考えるかを事業所内で共有する場として位置づけています。

特定事業所加算の週1回会議や、15〜20分程度のミーティングでも扱いやすいよう、ねらいを次の2点に絞っています。

このワークショップのねらい

1 退院前に確認すべき情報の優先順位を共有する
医療情報・生活状況・家族の体制など、「時間が限られていても必ず押さえたい項目」に目を向け、「ここだけは外さない」という確認ポイントの共通認識を持つ。
2 在宅受け入れ時に整える内容を段階的にイメージする
サービス調整、福祉用具、住環境、家族支援などを一覧で眺めながら、「退院当日〜数日以内に必要なこと」と「落ち着いてから順次整えること」を分けて考えられるようにする。

この2点を事業所内で共有しておくことで、その先の退院前カンファレンスや担当者会議など、多職種が関わる場面でも、ケアマネジャー側の「問いの立て方」や「優先順位づけ」が揃いやすくなります。

次のセクションでは、実際にワークショップで使用する模擬事例(医療ニーズが高いケース/介護力不足のケース)と、その事例を使った話し合いの進め方をご紹介します。

ワークショップの準備物 (参加者1チームあたり)

  • 模擬事例シート(本記事よりダウンロード): 1枚/人
  • 個人メモ・筆記用具(ペン、付箋など)
  • ホワイトボード または 模造紙とマーカー: 1セット(全体のディスカッション用)
  • (任意)タイマー(進行時間管理用)

選択して使える「模擬事例」の紹介

このワークショップでは、日々の退院支援でもよく話題に上がる次の2つのケースを、ケース検討用の題材として用意しました。
事業所の今の状況に合わせて、どちらか一方、または両方を選んでご活用ください。

 

医療的な管理や観察が必要なケース(医療依存度高い)
利用者像 70代前半男性、要介護3、肺がん(緩和的な管理が中心)。妻との2人暮らし。
主な課題
疼痛コントロールや呼吸の観察(痰がらみ・吸引)が必要な状態。退院日が迫る中で、訪問看護や福祉用具の調整が未完了。妻は夜間・休日を一人で対応することへの強い不安を抱えている。
研修のねらい
医療ニーズが高く、家族の心理的な不安が大きい退院支援の場面で、退院前に確認しておきたい情報と在宅開始時に整えるべき体制について、事業所内で共通の確認ポイントを持つ。
独居・介護力不足のケース(介護力不足)
利用者像 80歳男性、独居、要介護認定申請中。誤嚥性肺炎で急性期病院から早期退院予定。
主な課題
嚥下機能の軽度低下(刻み+とろみ食が必要)。入院前はサービス未利用で、介護力(独居、家族は遠方)が乏しい。住環境は居室に段差が多く、再入院リスクが高い。
研修のねらい
介護力が乏しい独居高齢者の退院支援の場面で、再入院リスクを踏まえながら、退院前に確認しておきたい生活・支援体制の情報と、在宅開始時に優先して整えるべき支援について、事業所内で共通の確認ポイントを持つ。

15〜20分で実施できるケース検討の進め方

3つのステップで進めます

1 事例共有:状況をそろえる(2~3分)
2 個人メモ:自分の視点を書き出す(3~5分)
3 全体ディスカッション:優先順位を揃える(10~12分)

(1)事例共有(2〜3分)

事例を確認するイメージ図

目的:参加者が同じ状況認識を持つ

事例①または②を1つ選び、プリントまたは画面で共有します。まず1分ほど静かに読んでもらい、「利用者像」「主な課題」を把握します。

そのうえで、進行役が次のようにゴールを伝えます。

「今日はこのケースについて、 ①退院前に確認しておきたいこと ②在宅受け入れ時に優先して整えたいこと に絞って意見を出していきましょう。」

(2)個人メモ(3〜5分)

個人作業をしている図

目的:自分の視点を言語化する

ワークシートに、次の2項目を2〜3個ずつ書き出します。

  • 退院前に確認しておきたいこと
  • 在宅受け入れ時に優先して整えたいこと

書く前に、進行役が一言添えます。

「完璧でなくて大丈夫です。思いついたことをそのまま書いてみてください。」

(3)全体ディスカッション(10〜12分)

全体ディスカッションのイメージ図

目的:意見を整理し、優先順位を揃える

ホワイトボードに次の2つの欄を作り、参加者に1〜2個ずつ読み上げてもらいながら書き写します。

  • 退院前に確認しておきたいこと
  • 在宅受け入れ時に優先して整えたいこと

出そろったら、次の作業を行います。

  • 「必ず押さえたい」項目に○をつける
  • 似た意見はその場でまとめて1つの見出しに整理する

さらに、「在宅受け入れ時に優先して整えたいこと」を次の2つに分類します:

  • 退院当日〜数日以内に必要なこと
  • 落ち着いてから順次整えること

※45分・60分・90分でしっかり実施する場合は、別途ご用意しているタイムテーブル案もご覧ください。
15分版・45分版・60分版・90分版のタイムテーブルと進行例はこちら

研修後の実践をサポート(パナソニック エイジフリー)
疾患特性に応じた住環境の整え方の参考として、 パナソニック エイジフリー「疾病別 環境整備」をご紹介します。 退院される方の疾患に合わせて、導線や移乗、福祉用具の検討に 抜けもれがないようご活用ください。

特定事業所加算・退院関連加算との関係

今回ご紹介したケース検討(ワークショップ)は、単に「12月の忙しさに備える工夫」にとどまらず、 特定事業所加算における体制づくりの一環としても位置づけやすい内容です。

週1回の会議・事例検討の題材として活用する

特定事業所加算では、ケアマネジャー同士による定期的な会議・事例検討・研修の実施が求められています。 本記事のワークショップは、次の点から、週1回の会議や研修のテーマとして活用しやすい構成になっています。

  • 急性期退院(誤嚥性肺炎・独居など)や医療ニーズの高いケースなど、「在宅移行時に課題が集中しやすい事例」を題材としていること
  • 退院前に確認すべき情報と、在宅受け入れ時に優先して整える支援内容を、事業所として「見える化」できること

特定事業所加算の概要や要件については、 特定事業所加算の解説記事 をご覧ください。

退院加算・ターミナル関連加算を支える視点として

まず、居宅ケアマネジャーが関わる主な加算として、退院・退所加算(居宅介護支援)とターミナルケアマネジメント加算があります。いずれも「病院・施設から在宅へ安全につなぐ」「在宅での看取りを多職種で支える」といったケアマネジメントの働きを評価する加算です。

居宅ケアマネジャーが関わる代表的な加算のイメージを整理すると、次のようになります。

加算名 評価される場面のイメージ
退院・退所加算(居宅介護支援) 病院・施設から在宅に戻る利用者について、退院前カンファレンス等で情報共有し、在宅生活を見据えたケアマネジメントを行った場合の評価。
ターミナルケアマネジメント加算 在宅で看取りが見込まれる利用者について、多職種と連携しながら、家族支援も含めたケアマネジメントを継続して行う場合の評価。

今回のケース検討で整理した次のような視点は、これらの加算の前提となる退院調整や在宅ターミナルケアの質を高めるうえでも重要です。

  • 退院前に、誰と何を確認しておくのか
  • 在宅開始時に、どの支援をどの順番で整えるのか

なお、病院側の退院調整・退院支援に関する加算や、介護保険施設・特定施設入居者生活介護における退院・退所時連携加算など、医療機関との入退院時の連携を評価する仕組みも設けられています。
ターミナルケアマネジメント加算の算定にあたっては、所轄行政庁への事前の届出が必要となります。詳細な算定要件や点数については、最新の告示・算定要領等をご確認ください。

あわせて、次の算定要件も参考にしてください。

・退院・退所加算についてはこちら

・ターミナルケアマネジメント加算についてはこちら

繁忙期の退院調整を助ける「お試し」と「ツール」

急な退院が決まったとき、ケアマネジャーは短期間で「サービス・用具・住環境」を整え、 その内容を限られた面談時間の中でご家族に分かりやすく伝える必要があります。
特に12月のように退院が集中しやすい時期は、1件ごとの説明時間も限られがちです。 在宅復帰支援の場面でケアマネジャーが活用しやすい、パナソニック エイジフリーのツールやサービスをご紹介します。

12月の退院調整「あるある」と福祉用具導入の悩み

12月は退院が集中しやすく、次のような「ケアマネあるある」に直面することも多いのではないでしょうか。

急な退院。サービス調整中に「福祉用具だけは入れたい」ケース

福祉用具だけはいれたいイメージ図

認定申請中・退院直後に『用具もサービスも手厚くしたい』ケース

退院直後で単位数が心配なイメージ図

調整期間をつくる「最大1カ月お試しサービス」の活用

先ほどのような「年末退院」「認定前でサービス量が決まらない」といった場面でも、 パナソニック エイジフリーの最大1カ月お試しサービスを使うことで、 次の3つのポイントから在宅受け入れをフォローできます。

開始日はご相談の上調整いたします!

年末退院でも、開始日を年明けに調整しやすくなり、まず安全確保のために導入しやすくなります。

申請中はお試しあつかいに!開始日を会議後にできます!

認定・サービス量が固まる前でも、お試し扱いで先に用具を導入し、正式な開始日は会議後に設定できます。

病院でもお試し対応 とても助かります!

退院前に病院で試せるため、ご家族も在宅での生活イメージを持ちやすくなります。

家族への説明にも役立つ「在宅環境チェックシート」

自宅の動線・段差・寝具・トイレ・浴室など、在宅復帰時に確認しておきたいポイントを1枚にまとめたチェックシートです。
本記事で整理した「退院前に確認したいこと」「在宅受け入れ時に整えたいこと」を、このシートの項目に沿って確認していくことで、 個別の住環境や家族状況に応じた支援内容へ落とし込みやすくなります。

退院前カンファレンスでの説明時や、在宅復帰の相談時に1枚添えておくと、 「どこに相談すればよいか」「どこから整えていけばよいか」がご家族にも伝わりやすくなります。

▶︎ 在宅環境アセスメントチェックシート(パナソニックエイジフリー)はこちら

退院支援を事業所全体で支え合うために

12月は、退院患者数が増えやすく、家族の準備が整わないまま在宅復帰の調整に入るケースが多い時期です。
一般病床の在院日数短縮という長期的な流れも加わり、ケアマネジャーには 「短い期間で在宅受け入れの段取りを整える力」がこれまで以上に求められています。

本記事でご紹介したケース検討(ワークショップ)は、次のような内容です。

  • 調整が難しくなりやすい2つの模擬事例を題材とし
  • 15〜20分程度の所内ミーティングで実施できる形にまとめ
  • 「退院前に何を確認するか」「在宅受け入れ時に何を優先して整えるか」を事業所として共有することをねらいとした内容

まずは、12月の週1回会議や短時間の打ち合わせの中で、1事例だけでも構いませんので一度試してみてください。
実際の退院支援の場面で「このポイントは必ず確認しよう」という共通認識が持てるようになると、 急な依頼が続く時期でも、事業所内で支え合いやすくなります。

資料ダウンロード

記事で紹介したワークショップ等にそのままお使いいただける資料をご用意しました。 所内研修やケース検討の際に、ぜひご活用ください。

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参考文献

まつもと みのりのプロフィール画像
まつもと みのり(ペンネーム)
看護師・主任介護支援専門員/研修・記事の企画制作
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターでの実務経験を重ね、現在はケアマネジャー向けの研修・記事の企画制作やビジネスケアラー支援にも携わっています。現場で日々悩みながら支援にあたるケアマネジャーの方々に、明日からの支援に少しでも生かしていただける情報をお届けできればと考えています。